神の加護を受けて異世界に

モンド

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無双とはこういう事だ

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ーー カムイ ー


あの村で井戸を掘った時に、貴重な鉱石が沢山取れた。

村長は水のお礼にと全てをくれたが僕だけ得をした気がして少しばかり後ろめたかったので、

灌漑用水をセットで敷設しておいた。

この国は水さえ得ることができればとても裕福な国に生まれ変われると思う、

王様にあったら山を削る事を真剣に話してみようかな。

ここから3日ほどの距離にそこそこ大きな街がある、交易で栄えている街だ。

そこもご多幸に漏れず雨が降らないが、オアシスがあるため街として栄え始めた歴史がある。

3日の後その街オアシーズに着くと街は寒々とした感じで寂れていた。

宿泊先を探し街でも大きめの宿泊先を訪れた時に店主に聞いてみた

 「旅をしながらこの街にきたんですが、ここは交易で栄えていると聞いてきたんですが、

 人があまりいませんがどうかしました?」

と聞くと、

 「ええ、この街唯一のオアシスが干上がり始めたため人が離れ出したんです。」

と困り顔で話してくれた。

そこでオアシスを見に行くと、先日の村に作った灌漑用水用の泉位の大きさだが、

その半分も水は溜まっていない、濁りも見えるので湧き水が枯れ始めた可能性がある。

土魔法を働かせ地下の様子を調べるとこの泉の水は、

深さ100mほどの岩盤が割れて水が湧き出していることが判ったが、

その岩盤が何かの原因で塞がれつつあるようだ。

さらに地中深くを探査してみると地下300mの所付近に大きな地下水脈が見つかった。



次の日僕はこの町の教会に立ち寄ると神父に話しを聞いた、

昨日の宿屋の主人と同じような話であり、町中が節水しながら暮らしていると言う。

そこで新たな水脈まで井戸を掘り泉を豊かにすることができると話すと、

そんなことが可能なんですか?

と急に真剣に詰め寄るのでこの先の村でも同じ事をして来ましたのでと話すと

 「その話は本当だったんですね。
 昨日その村から来た者がそう言う話を領主様にして帰ったと言う事で、

 事実確認に人をやったと聞いたばかりなんです。」

と話をしそれが本当なら街長と領主様を呼んでくるので、

改めてお話ししてくださいませんかとお願いするので、

了承すると6日後にと日取りを決めて来た。

しばらく時間ができたのでこの街で病人などの治療をしながら待っていると事件が起きたのです。



ーー 砂漠の魔物 サンドスネークの襲来 ー


この世界には魔法と共に魔物が存在する。

砂漠の国サハラ王国でもそのことは同じ、

ここで多いのが毒系の蛇と蜘蛛やサソリと言った

虫系の魔物で巨大化するのが特徴である。

神父に会った2日後、街の南の砂漠からサンドスネークの群れが、

襲来して来たと情報が流れると、兵士や冒険者が集まり始め緊張が街を包み始めた。

召喚魔法で空の神獣「雷鳥」を呼び出し様子を見に行かせた。

僕と神獣の間には魔法的なつながりがあるため雷鳥の見たものが

そのまま僕の頭に映像として映し出される。

街から南1km程のところにサンドスネークの群れが、

街を目指して進んでくるのが見えて来たその数50ほど、

サンドスネークは長さ10mから30mほどの大蛇で毒を持つことで、

厄介な魔物であるが意外とその肉は美味しい。


兵士の数はおよそ200冒険者は150ほどこの数では、サンドスネークの群れには少なすぎる。

教会の神父が宿を訪ねて来て

 「使徒様にはお願いがありまして来ました、
 
 既にお聞きと思いますが魔物の群れがこの街に向かって来ており、

 この街の兵士と冒険者では心許ない状況です、
 
 できますなれば聖騎士のお力添えをお願いできませんでしょうか。」

と協力を願い出て来たものだった。

すると聖騎士のエストレーナが

 「カムイ様、貴方様のそばを離れて街の防衛に助力することに、ご許可をお願いします」

と頭を下げ頼み込んだので

 「エストレーナ、当然なことですでもね一つだけ間違えています。

 僕から離れるのではなく僕の横で討伐するのです。」

と答えると暫く理解できなかったようだが

 「カムイ様も防衛に出られるので?」

と思わず呟くので

 「防衛?違います討伐のため先頭に立つのです。」

と言い切ると

 「ええ!それは危険では」

とあわてるエストレーナを抑え、神父に対し

 「安心して良いですよ、僕の力の一端をお見せしましょう。」

と言ってスタスタと宿を出て街の南側に歩いて向かった、後からエストレーナがついて来た。



街の南側の防壁に着くと街から約200m程のとこまでサンドスネークの群れがきており、

先行の防衛力の約200ほどの混成部隊が魔物と戦い始めていた。

サンドスネークはその巨体に似合わず砂に潜ったり素早く移動しながら、

毒のブレスを吐くためあっという間に防衛線を食い破られていた、

このままではこの街の防壁も1日も持たずに食い破られる可能性がある。


最前線を見に来ていた街長とその隣の貴族、

多分ここの領主であろうが心配そうに成り行きを見ている。


魔物が街まであと100m先まで迫って来たところで僕が魔法を行使する。

使う魔法は水と氷魔法、当然魔物たちは砂の中に逃げることが、

予想されるので事前に周りの砂の下を固い石で固めている。

突然の水に砂に潜って逃げようとするが地面が硬く潜れないそこに氷魔法で一面を凍らせる。

サンドスネークは体温が下がると身動きができなくなる、

半分氷漬けの状態の数十匹のサンドスネークの頭を聖騎士エストレーナが剣で切り裂いてゆく。

5分もしないうちに50ほどのサンドスネークの屍の山ができたところで僕は街中に戻る。




ーー オアシーズの街を所領する領主ドランクス伯爵 ー


冒険者ギルドからもたされた情報は耳を疑うものだった。

砂漠の魔物サンドスネークの群れがこのオアシーズの街に向かっていると言う。

その数50ほど、普段サンドスネークは群を作らないのに50もの数が襲っては、

この街は滅びてしまうのも時間の問題である。


この街の兵士は200、冒険者は150ほどこれでは、

災害級の事案には対処できないしかも逃げる時間さえない。

第一防衛隊として混成部隊を布陣してみたがあっという間に突き破られ、

まさにこの街の命運も尽きたかと思ったその時。



何処からか大量の水魔法がサンドスネークの群れに降りかかった。


水を苦手とするサンドスネークらは砂の中に逃げようとするが何故かもぐれない、

そこに大規模な氷魔法が発動しサンドスネークの群れの動きが止まる。

すると1人の聖騎士が城壁から飛び出してサンドスネークの頭を次々に切り裂き討伐してゆき、

あっという間にサンドスネークの屍の山に変わった。


この街は助かったのだと分かった瞬間私はその場に座り込んでしまっていた。

するとそばにいた街長が

 「あれは、使徒様に付いている聖騎士様だ」

と興奮したようにわたしに話しかけて来た。



そこに教会の神父が現れサンドスネークの屍を見ながら

 「使徒様には奇跡をふるわれた様ですね」

と呟いたのを耳にし

 「神父よそれはどう言うことだこれは今この街に訪れている使徒様の身技というのか?」

と問い詰めると神父は頷くと

 「先程、魔物の群れがこの街に向かっているとお伝えしたところ、

「使徒様」は先頭に立ち討伐しますとこちらに向かわれたのです。」

と言うではないかそれでは先ほどの大規模な魔法は「使徒様」と呼ばれる者の奇跡の行使なのか。


この街を守れたことよりも災害級の魔物の急襲を何でもない様に僅かな時間と人数で消し去る

「使徒様」に恐怖を感じていた。




ーー 冒険者ギルド キルド長爆炎のカーガイル ー



この街も不幸が続きそして災害級の魔物で終わるのか、

赤竜の革鎧を着込みながら俺は職員に指示を出す。

 「いいか、多分この街はサンドスネークの群れが直撃すれば1日持たずして滅ぶ。
 
 北門を解放し住民を避難させたのち門を閉め魔物をここに封じ込めて、

 少しでも時間を稼ぐのが俺らの最後の仕事だ。最後まで生き残れよ。」

手早く手配させ住民を送り出した俺は南の城壁へと急ぐ。


途中で12・3歳ほどの少年とすれ違う呑気な顔で街中を歩いている、

 「お前!早く逃げねえか。」

と怒鳴りつけると

 「逃げる必要はないよ、魔物は討伐済みだから」

と言いながらニコニコしながら歩き続ける少年、

「まさか」と思いつつも足を早めて城壁に登るとそこからサンドスネークの群れの屍の山が見えた。


 「何が起こったんだ!」

思わず近くにいた兵士に聞くと

 「女神の奇跡です。」

と言いながら神に祈りを始めた、さらに近くに領主の姿を見つけ慌てて近付き

 「領主様これは誰が・・・」

と屍の山を指差したところでサンドスネークにトドメを刺していた聖騎士の格好の騎士1人が、

歩いて街中に向かうのが見えた。


 「まさかあの聖騎士が1人で・・いやいくら何でも無理だ。」

と思わず呟き領主を見ると

 「ギルマスよ、この街は救われた様だ見ていたワシでも信じられない光景であった。」

と言いながら城壁から降りていった。


 「凄かったですよ。
 
 魔法でサンドスネークの群れを足留めすると、

 氷魔法で動きを止めその後は聖騎士様が首を跳ね落として終わりでした。」

と街長が興奮した様子で討伐の様子を教えてくれた。

俺は直ぐに近くの冒険者に、街の住民を呼び戻すことと怪我人の収容を命じた。




ーー 冒険者ギルド近くの救護施設で ー



魔物の防衛に当たった200ほどの兵士と冒険者には少なからずの怪我人が出ていた。

死者は出ていないが重症なものも多く別の意味で戦場の様な状況であった。

そこに1人の少年が現れ次々に怪我人を治してゆく、

怪我人らはさっきまで死にかけていた者まで何事もなかった様に

怪我が消え信じられない風に自分の体を確かめている。


全ての怪我人が治ると少年は何処かに立ち去っていった。



すると誰からでもなく

 「女神様有難うございます。」

と祈る声と姿が広がってゆく、一面祈りの会場となり静けさがその場を覆う。

そこに戻って来たギルマスが

 「怪我人たちは何処へやった?」

と職員に尋ねていく

 「怪我人はここにいるもので全てですが」

答える職員にギルマスが

 「死にかかった奴やかたわになっら者が少なからずいただろうが!」

イライラした様に問い詰めるが職員は同じことを繰り返す

 「ですから、ここにいる者がその怪我人です。さっき少年が治していったんです。」

と答える

 「少年!」

思い当たったのかギルマスは、ギルド内に入っていった。




ーー 4日後 ー


宿泊している宿に領主の使いが訪れ、

明日昼に迎えに来ると面会の用意が整ったことを伝えて来た。

僕はこの4日街の中と周りを歩きながら水脈を確認していた。


どうも水脈が塞がったのは、サンドスネークの繁殖が関係していた様だ。

サンドスネークのメスは繁殖期に巣穴を作るがそれが丁度この街のオアシスの水の湧き出る近くで

大きな体で巣穴を作る際に水の通り道を塞いだ様ださらに巣穴に多くのオスを従えて向かって

来たのがこの間の急襲の真相だ。


今度作る井戸はそれに対応するため複数のイドを掘り、硬い石で周りを固めることが重要であろう。

地図を作り候補の地に印をつけ終わった僕は明日の会見の準備を行った。




ーー オアシーズの領主との会合と街の発展 ー


領主邸は砦と城の中間の様な規模と大きさがあった。

馬車で向かい案内に付いて僕と聖騎士のエストレーナ2人が、

大きな会議室の様な部屋に案内されたそこには、領主と思われる男性と街長、

ギルマスが並び数人の文官と騎士が同席していた。

 「早速のおいで心から感謝します。」

領主と思われる男性がそう言うと席を勧めた。

 「お初にお目にかかります、中央教会から派遣されて来ましたカムイと申します、

そしてこれがわたし付きの聖騎士エストレーナです。」

と挨拶をして席に着くと、先ほど席を勧めた男性がが改めて

 「私がここの領主をしているドランクス伯爵です、

 先日はこの街の危ないところをお救いいただき改めてお礼申し上げます。

 更には兵士などの怪我もお治しいただき感謝に絶えません。」

と真摯にお礼を言う姿が好感が持てた。



その後は列席する者の紹介があり改めて僕のオアシス復元の案が求められた。

 「ここにこの付近の地図があります、これを見ながらお話しします。」

と地図を広げ説明始める僕の地図を見た者がみんな地図の精巧さに目を見張る。


 「この地図には地下を通る水脈が書かれています青い線がそれで、

太さで水脈の規模を表していますが深さは200~300mほどです。

この街のオアシスが枯れ始めたのはこの間襲って来た、

サンドスネークの巣穴が作られたためと分かりました。

そこでそれにも対処できる様に三本ほど水脈まで穴を掘り

周りを硬い岩盤で強化しようと思っています。

地図に線が書いている場所がその候補で現在のオアシスから500mほど離れた場所に

もう一つのオアシスを作る予定です。質問があれば答えます。」

と言って僕は皆の顔を見回す。

すると街長が

 「カムイ様この新しいオアシスの位置はこの街の城壁の外に位置しますが間違いありませんか?」

と疑問を口にする、他の者も頷くと

 「間違いありません。

 ただ街の外ではなく街自体を大きくしてその中に作ります、

 オアシスが二つもできればこの街では手狭になるので。」

と答えると、領主が

 「申し訳ない確認するが今のオアシスの復活は直ぐにできるのか?

 それとこれはどれくらいの期間と予算を考えているのか教えてもらって良いか。」

と当然の話をされるので

 「今のオアシスの復元は直ぐにでもできます。

 それと城壁の構築と新たなオアシスの造成は・・約10日ほどで出来ると考えています。

予算は工事自体には不要ですただ街の整備や新たな水道設備の敷設では、

当然予算がかかると思いますが、これからの街の発展を考えれば微々たるものと思いますよ。」

と笑顔で答えると、どう判断したものかと苦慮する伯爵の顔が面白かった。

 「そうですね、僕の言葉が信じられないことも分かりますが、

 国境の村に視察のものを出されたと思いますが報告は聞いていますか?」

と逆に質問すると文官の1人が伯爵に報告書を手渡し内容を説明していた。

 「これは本当か?信じられぬが・・・わかった」

と答え僕に向かい

 「失礼した、貴方のお話は本当のことの様ですしかし奇跡の様なお話で何と言っていいのか」

答えに窮していた、そこで

 「大丈夫です、許可さえいただければ今日からでも作業をしますので、

 誰が監査役を遣わしてもらえませんか?」

と話を進めると街長が

 「領主様、カムイ様に任されてみませんか、

 私もこの街が生まれ変わる姿を見てみたいと思います。」

と言う言葉で領主の腹が決まった様で

 「お願いする、必要なものは用意するので何でもおっしゃってください。」

と言うことで話し合いは終わった。

すると1人の騎士がエストレーナに声をかけた

 「聖騎士様お願いがあります、この街に滞在する間で結構です我々に稽古をつけて頂きたい。」

と頭を下げた、それに対して僕を見るエストレーナに目配せすると

 「私はカムイ様の聖騎士ですが主の手隙であればお応えしましょう。」

と答えると騎士は大いに喜んだ。




ーー 大公共事業の始まり・・1人で ー


僕に付けられた文官は2人それと警護の騎士2人。

僕は、先ず新たのオアシス用の穴を掘る。

地図を見ながら何も無い砂漠の一角に手をつき具体的な大きさと深さおよび周りの壁の強度を想像し、

魔力を練り発動する。

たちまち僕を中心として半径250m程のすり鉢状の穴が姿を表す、

驚く文官たちを尻目にここから一番近い水脈に向けて土魔法で穴を開けていく。

水脈まで抜けるのに今回は約4時間で穴が開いた、先日の村の作業で能力が上がった様だ。

勢いよく水がすり鉢状の穴に噴き出す、貯まるにはしばらくかかるのので穴の周りを固めてゆく。

その後は以前のオアシスまで向かい塞がった部分を、

再度穴を開け水の通り道を戻すが、

この穴は浅い部分なのでさらに地図に印をつけていた、

水脈に向けて穴を開け始めると今度は2時間ほどで穴が開いた。

その日はこれで作業終了、明日朝早くから始めると言い残し宿に帰る。




ーー オアシーズの領主の文官 セラーズ、スミス ー


今日私たちは、女神の奇跡を目に前で目にした。

以前からあるオアシス以上の大きさの穴が目の前であっという間に出来上がった、

土魔法で穴を開けることができるがそれは穴という程度のもの、これは穴というには巨大すぎる。

さらに驚いたのはその壁面、大理石の様な岩盤の壁が全てを囲っている。

そして更に4時間ほど地中に向かい魔法を行使していると思っていたら、

勢いよく水が噴き出して新たなオアシスを満たし出したのだ。


そして休憩することもなく枯れかけ始めたオアシスに向かうと、

すぐに湧き水が湧き出し、約2時間ほどで新たな湧き水が以前以上の勢いで湧き出した。

カムイ様は「今日はこれまでまた明日早くから始めるから」と言い残すと宿のほうに歩いて帰られた。

私は、街づくりや河川の設計などである程度の自信があったが、

この様な神の奇跡の様な工事は見たことも聞いたこともない。

一緒にいたスミスも声にならない驚きでオアシスをみていた。

 「スミスよ、この湧き出る水を見ると本当にオアシスが復活したのだと、

 実感するけどさっき見た新たなオアシスは今でも信じられないんだ。」

と言うとスミスも

 「私も同じです、人の姿をした神と言われた方が納得いきます。

 子供の姿ではあまりにもギャップがありすぎて・・・」

と同じ様な感想を口にした。




ーー 次の日 ー


朝早くから新しいオアシスの場所に行くと、半分ほど水が溜まっていた。

もう一本水脈に穴を繋げてと思い計画通り穴を掘ると、

今度は少し狭い穴にしたので約1時間で開通した、

するとみるみるうちにオアシスは水で満たされた。

新しいオアシスを囲む様に新たな城壁を土魔法で作ってゆく、

文官や騎士の驚く顔を見ながら約10kmの長大な城壁を新たに以前の城壁と接合する。

不要になった以前の城壁部分を分解し土に返すと、

新たなオアシスから溢れる水を引き込む水路を街に通してゆく、

直径2mほどの水路はあれよあれよと言う間に50m単位で伸びてゆく。

新しいオアシスの場所はこの町で言うと一番高い位置だったので、

少しずつ傾斜をつけて水路を掘るだけで水の流れは問題なく流れた。

以前からあるも水が溢れ出していたのでそこからも水路に水を繋ぎ町中の道沿いに水路を通してゆく。

要所要所以外は石の蓋を被せながら水路が完成したのが夕方頃、

城壁の周りに堀を作るのは明日にして今日の作業は終了する。




ーー 更に次の日 ー


今日は城壁の周りに広く深い堀を作り、溢れ出た水を流し込み防衛と、

周りにできるであろう畑や森の水源とする予定だ、

長さ約25kmの城壁を囲う深さは5m幅10mの堀を作るのに流石に5時間ほど

かかったがいい出来だと思った。

街道と繋ぐ位置に跳ね橋になる橋を掛け今日の作業は終了する。

文官たちに

 「水が溜まるのに2日程かかるだろうから明日明後日は休みにします、

 明日と明後日は兵の訓練を見学に行きますので宜しく」

と言うと騎士の2人が

 「有難うございます、すぐに団長に伝えておきます。」

と言い走り出して行った。




ーー 文官セラーズ ー


毎日のようにこの世のものと思われない奇跡の作業を見ていた私は、

僅か3日でほとんどの作業が終わるとは思っていなかった。

 だから伯爵への報告は5日目ほどに考えていたがとてもじゃ無い、

直ぐに報告書を書いて出さなければ騎士たちに続いて私たちも走り出していた。

しかし最後の城壁を囲う堀には改めて驚いた、

先日の話ではそのような計画は聞いていなかったが確かにあの規模の堀があれば、

この街はとても安全だと思える。

砂漠の魔物は水が苦手なものがほとんどなのでこれで魔物が襲ってくる可能性はとても低くなった。

しかも水の都かと思うほどの水が街中を巡り満たし始めた、

この街いやこの国は変わりつつあるとこの時実感した。




ーー 伯爵の騎士団との訓練にて ー


伯爵の城の裏側には、訓練用の広場があるここで日々騎士や兵たちが訓練をしているようだ。

流石に騎士団は練度が高く個の力というより団としての力が主流のようだ。

騎士団長が挨拶がてら聖騎士のエストレーナを誘いに来たので許すと、個々の訓練に変わった。

エストレーナが立つとそこに騎士たちが初めは1人づつ途中から2人3人と数を増やしながら、

訓練を行うがエストレーナを追い詰めることはできないようだ。


1時間程で疲弊した兵や騎士団の山ができていた、僕は木刀一本を借りてエストレーナの前に立つ。

エストレーナは初め躊躇していたが、意を決して僕に切り込んでくる。


いくらエストレーナが斬り込み突きかかるも僕の髪の毛一本すらかすることができず、

次第に追い詰められるニヤリと笑う僕の表情に隙を見せたエストレーナの前から僕の姿が掻き消える!

次の瞬間腹を打たれたエストレーナは

5mほど吹き飛ばされて地面に転がされる。



驚きと息のできない表情のエストレーナが慌てて立ち上がるのを手で制して

 「訓練はここまで」

と言って訓練場を後にする。


次の日もエストレーナは訓練に参加しに行った、

僕は城壁の堀を見ながら畑と森の計画を練りおよその場所の縁に緑を植えていく。




ーー ドランクス伯爵の事務室にて ー


ドランクス伯爵は文官セラーズの報告書を見ながら唸っていた。

たった3日でこれをやったというのか。

 「今から検証に向かう案内せよ。」

と言いつけると馬に飛び乗りオアシスに向かう、

オアシスは以前以上の水をたたえあふれる水が何処かに引き込まれていた。

そいえばここにくるまでの道の脇にも石をかぶせた真新しい何かが幾重にも繋がっていた。

新しいオアシスの方へ進むと今まであった城壁の跡が辛うじてわかる程度で、

壁というものはなかったが新たな規模を拡大した街の空間は満々と水をたたえるオアシスと、

それを囲う新たな城壁に彩られていた。

 「我が街が2倍ほどの広さに拡大してる、信じられぬ・・」

呟く私の横で文官のセラーズが

 「目に見えるものは事実でございます。

 さらにここに新たな街を構築することができるためさらなる街の発展が望めます、

 更に街中に水路が張り巡らされ水の都のような状況であります。」

と説明し

 「これから城壁の外側に出てもらいます、そこにはさらなる驚きがあります。」

というでは無いか、ならばと思い新たな城壁の門に向かい馬を走らせる。


城門は新たな橋がかけられていた、橋を渡る私は橋の下に信じられないものを見た

 「川が流れているでは無いか!」

思わず言葉が口をつく

その後城壁沿いに街を回ると満々と流れ、溜まりつつある堀がぐるりとめぐらされていた。


最後のところで少年が何かをしている姿が見えてきた、それはカムイと名乗る使徒様だ。

何をしているのかと見ていると堀の水があふれた際の引き込み水路を作りながら歩く

後から1mほどの若木が生えてゆくのが見えた。

 「木々が・・・我が領内に・・」

それ以上は言葉にならなかった。


少年のもとに駆け寄った私は馬から飛び降りると少年の前にひざまつき

 「使徒様ありがとうございます、不信心である私でもその力信じずにはいられません、

これまでの不敬お許しくださいませ。」

と許を請うたのだった。


 「ドランクス伯爵、これは私の趣味みたいなものです、

これから先にこの街を水を緑をどうするかがあなたの使命です

明日にはこの木ももっと木らしい姿になるでしょうそうしたら

3日後に改めてみんなで視察して回りましょう。」

と言うと作業に戻って行った。



ーー 7日後、視察 ー


10日の約束より3日も早く視察の日が来た。


堀からの溢れ出る水の量は川というに十分な水量を誇り、

水を通さぬ岩盤を引いたことで底に染み込むこともなく流れとなって

新たに作った田畑と森の元に流れ始めていた。


樹々はすでに5mほどの高さに成長し、草花が川の両サイドに咲き誇っていた。

そこは砂漠の街ではなく本当に水の都と言える風景だった。



カムイという少年は、石ころのような穀物を2種類取り出して

 「この作物は芋科の穀物で乾燥に強い作物です、

 水の届かない場所に植え付けて育ててください。」

と領主にそれを手渡していた。

領主であるドランクス伯爵は涙を流しながら受け取ると

青々と広がる川と緑の道に感動しているようだったさらに奥の方に

こんもりとした林のような場所が見えていた。

 「あそこに見えるのが今後森となる場所です、

 あといく本かの川をあそこまで流して森を作っておくので大切に守ってください。」

とその少年は言うとさらなる視察の場所に向かった。
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突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

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