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水の溢れる砂漠の国に
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ーー 砂漠の国 サハラ王国 の王の執務室 ー
この国の宰相 タカラノ=ゼ=カミナール 49歳はこれまでの奇跡の数々の書かれた報告書をサハラ王に手渡しながら
「サハラ王よ、本日王都に女神の使徒様が到着されました、現在王城内の客間にてお休み頂いております。」
と言う宰相に王は
「この報告書は本当のことなのか?人とは思えぬ力ではないか。」
と疑わしいものを見るように報告書を投げ捨てた、すると宰相がそれを拾い上げながら
「ドランクス伯爵にも確認しました、調査の者全てが水に溢れる村や街を見ております。」
と答えた。
王はしばらく考えていたが
「その者がこの国を変えると信じられるか?いや信じてみたい」
と呟いた、この国は例年になく日照りが続き各地で干ばつが進行、水不足と食糧難で多くの国民を失っておりそれは更に増加の様子を見せていた。
藁をも掴む思いとはこのこと、王は使徒様の力を信じることにした。
次の日王との謁見が実現した。
ーー 王とこの国の病巣の話をする ー
『おお、さすが謁見の間だけあって威圧するような飾りと風格があるな』そう思っているとサハラ王の来室を知らせる声が聞こえてきた、心持ち頭を下げ待つこと暫し、声が掛かった
「私がサハラ王である、カムイとやら顔を見せい。」
厳かに言う王。
頭を上げながら王と目が合う、
「はい、私がカムイです、中央教会からこの世の苦しむ信者を助けるため旅をしております」
と答えると
「信者のみしか助けぬのか?」
と質問されたので
「この世界の神は女神のみであれば死を目の前にして助けを求めるのが神であれば全てが信者であります。」
と言うと
「それではここに来る際50人からの盗賊に襲われ、1人以外全て焼き捨てたとあるがその者たちは信者でなかったのか?」
と問う
「そのものについては一度改心を呼びかけて命乞いをしてやるも望まなかったことから神の身元に直接送り届けたものです」
と答えると
「1人のみ生かしたのはなぜじゃ」
と問う
「その者は50人からの盗賊を束ねる者、生きて居れば何かに役にも立ちましょう更に今まで強奪した金品はこの国の未来の糧にわずかばかりか貢献できると判断したからです」
と答えた。
しばしの沈黙ののち王が再び問う
「この国の惨状はひどい、これを助ける方法があるや?」
と、
「はいあります、しかし全てを助けることはできないでしょう。まず私が水を確保いたしますので王は食料を買い集め飢えた国民に与えてください、その後この国に雨が降るようにいたします。」
と答えると王は激昂し
「水を確保するだとその上雨を降らすとお前は神にでもなったつもりか!」
と怒鳴る。
僕は顔色一つ変えることなくこう言う
「自分ができないからと私の言葉を否定するのは、王としてどうしたものでしょう?
私がここに来るまでの出来事は報告されているのでしょう?
なら水を用意することができないと言い切ることが、愚かしいことと思わないにですか?
それに雨は降らせることは可能なものです、ただその量が分からないと言うだけのこと。
それに王にはできることを言っただけではないですか。
これから私は飢えや渇きに苦しむ村や街を訪れ、水を与えて来ます私がここに戻るまでに
食料の用意をしておいてくださいね」
と言うや立ち上がり部屋を後にした。
王は黙って僕のことを見ていたがその後一言も話さなかった。
ーー 王城の客間にて ー
宰相という人物が後を追うように部屋に訪れていた
「使徒様先程の王の言葉謝罪いたします、今までありとあらゆる手を尽くしても
改善しないことだったので、貴方様のお言葉が信じられなく思わず漏れた言葉ですので。」
と頭を下げたそこで僕は
「先ほども言いましたが一刻の猶予もない状況です、この国の地図と最も早く水を必要とする街や村を教えてください。」
と言うと人をやりすぐに答えてくれた。
大きな街が3つ、小さめの町が10、村がその周辺に約50ほど小さめの街を、どうにかすればなんとか時間が稼げると言う。
そこで各地の領主に王命で協力を要請してほしいと願った、それは邪魔をされたくないとの思いであった。
1時間ほどで大体の場所を確認した僕は、中庭に雷鳥を召喚しその背に聖騎士のエステレートと乗り込むと空に舞い上がった。
ーー 水の溢れる国に ー
僕は各国の話を聞いているうちにこの世界は、生活するに楽な場所ではないかと考えていた。
それは水と食料について、この世界で雨は結構降っているが川が少ないし降り注いだ水が地下に吸い込まれているからだと考えていた。
その考えは正しかった。
次に食料だが生育が非常に早い、地球の感覚ではその半分もかからず成長して魔法を使えば数日で成長する。
水と食糧が満たされれば後は魔物だけだ、それすらも手段がない訳じゃないやるかやらないかの違いだけである。
最初の目的地にたどり着いた上空から水脈を探ると、やはり何本かの水脈がある。
小高い場所に降りると手頃な場所に大きな穴を掘る、溜池というか湖にするためだ水が地下に吸われない様に岩盤仕様の壁面を作る。
そこから地下深くに穴を掘り水脈と繋げると水が勢いよく溢れ出す。
様子を見にきていた者に水が出たと伝えるように言うと、街に向かい水路を掘ってゆく。
途中に別の水脈の水を掘りたし大きな水路にしながら道へとつなぐと、その頃には水を求めた者が列をなして汲みに来る。
水汲み用の場所も何箇所か作りながら町のすぐ側に更に大きな穴を掘り水を貯める。
騎士が駆けつける「何者か」と問うので王の命令書を見せ後を任せると言いおき雷鳥に乗り込み次の街に向かう。
1日に3つから4つの街に水を引き込むと3日で10の街が水で溢れた。
そこでこの国の雨雲を堰き止めている剣山と呼ばれる山脈に向かう。
雷鳥でも2日ほど掛かったが概ね1番の山並みにたどり着くと山を削りだす。
雨雲の一部が通れる道を数カ所作り削った残土を谷に落とし平らな高台をいくつも作るとサハラ王国方向に雨水が流れるように傾斜を作り滝と川の始まりを作る、その後高台に木々を植え保水力を高める。
これらの作業を10日ほど続け川となる水の流れができると岩盤で固めた人工河川を、国中に向けて整備してゆくこの作業に更に10日、地下水脈の水を足しながらうまく流れるのを確認して更に3日、王都まで2日のほぼ1ヶ月の灌漑工事であったがうまくできたと思う。
雷鳥の背から眺める街や村では、水が満たされ笑顔が見え始めた、王も食料をかき集めているようで長い馬車の列が王都から各地に伸びていた。
王城に帰り着くと僕は
「疲れたからしばらく寝る」
と言い残し、部屋にこもって眠りについた。
3日ほど眠った頃目覚めた僕は、食事を求める。
側には聖騎士のエステレートが寝ずの番で見守っていたようだ。
ーー 再度 サハラ王に会う ー
僕が目覚めたことを知った王が会いたいと使いを出してきたので、「何時でも」と答えるとその日のうちに謁見が行われたが前回と違い今度の場所は城内の礼拝堂の一室であった。
司教の案内で王の待つ部屋に入ると上座に座るよう促された。
「サハラ王よ暫くぶりです、私は約束を守りました王はどうですか?」
と問うと
「はい、貴方の望まれた物をかき集め飢えに苦しむ民に届けさせております。」
と答えたので帰城途中に馬車の列を見かけたと言うと頭を下げた。
「ところで雨は降り出したでしょうか?」
と尋ねると宰相が代わりに答えた
「はい、国内で雨の確認が今日までいくつもきております、さらに使徒様が引かれた川は大河となりつつあるそうで堤防の建設を始めております」
と予想以上の水量を報告したので
「災害となるといけません、手の届かない場所は教えて貰えば川を深くに堤を高くしておきましょう。」
と言うと王が僕の手を取り涙ながらに
「今この時より私は女神の信者として貴方の洗礼を受けたいと願います、どうか聞き叶えてくだされ。」
と言うので、頷き返し
「貴方は良き王です、この場で新たに洗礼と祝福を与えます」
と言うと嗚咽を漏らしながら歓喜の声を上げた。
ーー 食糧の調達 ー
王都のそばの荒地にまで剣山の川が流れ着いてきたのでそこに一面穀倉地帯とするため、農地を作り灌漑用水を巡らせる。
手持ちの麦や芋の苗を植え付け魔法で成長を促進すると数日で100倍にさらにそれを植え付け魔法で促成栽培を重ねこの国1年分の食料を調達し王に譲渡すると王がこの恩を返すチャンスをと言うので
「人は満たされると横暴になりやすい、これからこの国を発展させることは今以上に難しいかもしれないが、渇きを忘れないように代々名君であることを望む。」
と言うと
「しっかりと守ることを誓います」
と言ってくれた。
ーー これからの事 ー
この大陸には12の国があると言う、まだ貧しい国や魔物の脅威に恐る国があるだろうこれからも僕の手の届く範囲でそれらを救ってみたいと改めて思った。
ーーサハラ王国 サハラ王 ー
使徒様と名乗る少年が部屋を飛び出してから10日ほど経った。
次々に水の湧き出したと報告が届く、私は宰相を呼び出し
「城の備蓄用の食料を飢える民に分け与えよ、さらに外国からかき集めよ。」
と言いつけると宰相は
「そう言われると思いすでに準備をしておりました、すぐに出発させます。」
と答えた、よく気のつく男だ、これで雨が降り出せば・・
「よいか、国内で一箇所でも新たに雨が降り出した所があればすぐに知らせるように命令を流せ!もし雨まで降ればワシは国王として女神の信者としてかのものの洗礼を受けよう」
と申し渡した。
ーー 宰相 タカラノは、楽園と繋がる川の流れを目にする ー
使徒様が空の神獣 雷鳥の背に乗りここを去ってもうすぐ一月と思っていたらあの雷鳥が姿を現し、この城に使徒様が戻られたがすぐに「疲れた寝る」と言って部屋に引き込まれた。
数日前から雨の降ったことのない地域から雨が降り出したと、報告が始まったそれと同じくして、山から大河が王都に向かい流れて来ていると信じられない報告が日に日に王都に近づいている。
そして御使様が帰城して2日後にその大河の先端が見え始めた。
馬を走らせ私はその先端の水を掬い涙する。
『このような奇跡が私の生きているうちに見ることができるとは・・・女神よありがとうございます』と心の中で祈る。
すぐに立ち帰ると王に報告する。
「タカラノよ、ワシは神を信じる。いやあの少年を信じる多分あの少年は使徒様ではなく神がこの世界に姿を似せて表した姿に違いない、洗礼を受けたい」
と王は心の底から感謝と信仰を口にしていた。
ーー 聖騎士のエステレート ー
今私は空の神獣と呼ばれる伝説の雷鳥に乗り何日も空を飛んでいる。
カムイ様は以前話していたあの山を削ると言う途方もない話を実践している。
山を割り谷を埋め平らな高台を作りそこに森と滝と川を作りその後大河をつくった。
私は今後100年いや千年は語り継がれると思う物語の、そのすぐ脇に立っているのだと言うことが途方もなく幸せでかつ重い責任を感じている。
この旅に出る際私は、そこまでカムイ様の事を信じていなかった、でも今はあの方を信じる信じないと言う以前に現世に姿をあらわされた神の化身と思ってる。
使徒様の物語でさえここまでの話は無い。
大袈裟に描かれる物語さえも信じられない奇跡それは神の身技である。
私は知っている教会を旅立つ際に見送りの人物に若返ったシスターがいた事を、
多分30歳は若くなられていた。
そのような魔法は夢であり物語の中の出来事しかしそれが目の前で行使されたただそれだけのこと。
私はこの身を一生をカムイ様に捧げよう。
ーー ある村の少女 ー
「お母さん、お魚がいたよ」
私は新しくできた川を見ていたら話で聞いたことのある魚が泳いでいるのを見つけ、手にした桶で掬った。
魚は30cmほどの大きさで丸々としていた。
魚を持ち帰りお母さんに見せると微笑んでくれた。
つい最近までお母さんは病気で起き上がれなかった、お父さんも同じ病気で先月死んでしまった。
このままお母さんが死んでしまったらと恐怖で夜寝ることができなかった。
この村は雨というものが降らないため水が少ない、今年は食べ物も少なくどこの家でも飢えと渇きに苦しんでいた、そんな時にあのお兄さんが現れたのだ。
そのお兄さんは大きな鳥に乗って騎士様と現れてこう言った
「暫く世話になるよ、食事や水の心配はいらない配る程持っているから」
と言うと村人にたくさんの水と食料を配って歩いていたそして私の家に来ると
「今日から世話になるよ、代わりにお母さんの病気を治してあげよう」
と言うと起き上がることさえできなかったお母さんに魔法をかけてくれた、するとみるみるうちに力と元気を取り戻したお母さんが起き上がりお礼を言っていたが、私は嬉しくてよく覚えていない。
その後も夕方になると戻ってきていろいろな話と料理を出してくれた、最後の日、
「ここに川が出来て魚という生き物が生まれるだろうから見つけたら掬ってお母さんと塩を振って焼いて食べなさい」
と言っていたので毎日新しい川を見に行っていた。
魚はとても美味しく働き者に戻ったお母さんと美味しく笑顔で食べたの、幸せてこういうのかとその時感じたらお母さんが
「女神様に祈りましょう、あの方は神様の遣わされた分身だから」
と言って2人で祈りを捧げました。
この少女は、大きく栄え出した村に教会ができた際に最初のシスターになったという。
この国の宰相 タカラノ=ゼ=カミナール 49歳はこれまでの奇跡の数々の書かれた報告書をサハラ王に手渡しながら
「サハラ王よ、本日王都に女神の使徒様が到着されました、現在王城内の客間にてお休み頂いております。」
と言う宰相に王は
「この報告書は本当のことなのか?人とは思えぬ力ではないか。」
と疑わしいものを見るように報告書を投げ捨てた、すると宰相がそれを拾い上げながら
「ドランクス伯爵にも確認しました、調査の者全てが水に溢れる村や街を見ております。」
と答えた。
王はしばらく考えていたが
「その者がこの国を変えると信じられるか?いや信じてみたい」
と呟いた、この国は例年になく日照りが続き各地で干ばつが進行、水不足と食糧難で多くの国民を失っておりそれは更に増加の様子を見せていた。
藁をも掴む思いとはこのこと、王は使徒様の力を信じることにした。
次の日王との謁見が実現した。
ーー 王とこの国の病巣の話をする ー
『おお、さすが謁見の間だけあって威圧するような飾りと風格があるな』そう思っているとサハラ王の来室を知らせる声が聞こえてきた、心持ち頭を下げ待つこと暫し、声が掛かった
「私がサハラ王である、カムイとやら顔を見せい。」
厳かに言う王。
頭を上げながら王と目が合う、
「はい、私がカムイです、中央教会からこの世の苦しむ信者を助けるため旅をしております」
と答えると
「信者のみしか助けぬのか?」
と質問されたので
「この世界の神は女神のみであれば死を目の前にして助けを求めるのが神であれば全てが信者であります。」
と言うと
「それではここに来る際50人からの盗賊に襲われ、1人以外全て焼き捨てたとあるがその者たちは信者でなかったのか?」
と問う
「そのものについては一度改心を呼びかけて命乞いをしてやるも望まなかったことから神の身元に直接送り届けたものです」
と答えると
「1人のみ生かしたのはなぜじゃ」
と問う
「その者は50人からの盗賊を束ねる者、生きて居れば何かに役にも立ちましょう更に今まで強奪した金品はこの国の未来の糧にわずかばかりか貢献できると判断したからです」
と答えた。
しばしの沈黙ののち王が再び問う
「この国の惨状はひどい、これを助ける方法があるや?」
と、
「はいあります、しかし全てを助けることはできないでしょう。まず私が水を確保いたしますので王は食料を買い集め飢えた国民に与えてください、その後この国に雨が降るようにいたします。」
と答えると王は激昂し
「水を確保するだとその上雨を降らすとお前は神にでもなったつもりか!」
と怒鳴る。
僕は顔色一つ変えることなくこう言う
「自分ができないからと私の言葉を否定するのは、王としてどうしたものでしょう?
私がここに来るまでの出来事は報告されているのでしょう?
なら水を用意することができないと言い切ることが、愚かしいことと思わないにですか?
それに雨は降らせることは可能なものです、ただその量が分からないと言うだけのこと。
それに王にはできることを言っただけではないですか。
これから私は飢えや渇きに苦しむ村や街を訪れ、水を与えて来ます私がここに戻るまでに
食料の用意をしておいてくださいね」
と言うや立ち上がり部屋を後にした。
王は黙って僕のことを見ていたがその後一言も話さなかった。
ーー 王城の客間にて ー
宰相という人物が後を追うように部屋に訪れていた
「使徒様先程の王の言葉謝罪いたします、今までありとあらゆる手を尽くしても
改善しないことだったので、貴方様のお言葉が信じられなく思わず漏れた言葉ですので。」
と頭を下げたそこで僕は
「先ほども言いましたが一刻の猶予もない状況です、この国の地図と最も早く水を必要とする街や村を教えてください。」
と言うと人をやりすぐに答えてくれた。
大きな街が3つ、小さめの町が10、村がその周辺に約50ほど小さめの街を、どうにかすればなんとか時間が稼げると言う。
そこで各地の領主に王命で協力を要請してほしいと願った、それは邪魔をされたくないとの思いであった。
1時間ほどで大体の場所を確認した僕は、中庭に雷鳥を召喚しその背に聖騎士のエステレートと乗り込むと空に舞い上がった。
ーー 水の溢れる国に ー
僕は各国の話を聞いているうちにこの世界は、生活するに楽な場所ではないかと考えていた。
それは水と食料について、この世界で雨は結構降っているが川が少ないし降り注いだ水が地下に吸い込まれているからだと考えていた。
その考えは正しかった。
次に食料だが生育が非常に早い、地球の感覚ではその半分もかからず成長して魔法を使えば数日で成長する。
水と食糧が満たされれば後は魔物だけだ、それすらも手段がない訳じゃないやるかやらないかの違いだけである。
最初の目的地にたどり着いた上空から水脈を探ると、やはり何本かの水脈がある。
小高い場所に降りると手頃な場所に大きな穴を掘る、溜池というか湖にするためだ水が地下に吸われない様に岩盤仕様の壁面を作る。
そこから地下深くに穴を掘り水脈と繋げると水が勢いよく溢れ出す。
様子を見にきていた者に水が出たと伝えるように言うと、街に向かい水路を掘ってゆく。
途中に別の水脈の水を掘りたし大きな水路にしながら道へとつなぐと、その頃には水を求めた者が列をなして汲みに来る。
水汲み用の場所も何箇所か作りながら町のすぐ側に更に大きな穴を掘り水を貯める。
騎士が駆けつける「何者か」と問うので王の命令書を見せ後を任せると言いおき雷鳥に乗り込み次の街に向かう。
1日に3つから4つの街に水を引き込むと3日で10の街が水で溢れた。
そこでこの国の雨雲を堰き止めている剣山と呼ばれる山脈に向かう。
雷鳥でも2日ほど掛かったが概ね1番の山並みにたどり着くと山を削りだす。
雨雲の一部が通れる道を数カ所作り削った残土を谷に落とし平らな高台をいくつも作るとサハラ王国方向に雨水が流れるように傾斜を作り滝と川の始まりを作る、その後高台に木々を植え保水力を高める。
これらの作業を10日ほど続け川となる水の流れができると岩盤で固めた人工河川を、国中に向けて整備してゆくこの作業に更に10日、地下水脈の水を足しながらうまく流れるのを確認して更に3日、王都まで2日のほぼ1ヶ月の灌漑工事であったがうまくできたと思う。
雷鳥の背から眺める街や村では、水が満たされ笑顔が見え始めた、王も食料をかき集めているようで長い馬車の列が王都から各地に伸びていた。
王城に帰り着くと僕は
「疲れたからしばらく寝る」
と言い残し、部屋にこもって眠りについた。
3日ほど眠った頃目覚めた僕は、食事を求める。
側には聖騎士のエステレートが寝ずの番で見守っていたようだ。
ーー 再度 サハラ王に会う ー
僕が目覚めたことを知った王が会いたいと使いを出してきたので、「何時でも」と答えるとその日のうちに謁見が行われたが前回と違い今度の場所は城内の礼拝堂の一室であった。
司教の案内で王の待つ部屋に入ると上座に座るよう促された。
「サハラ王よ暫くぶりです、私は約束を守りました王はどうですか?」
と問うと
「はい、貴方の望まれた物をかき集め飢えに苦しむ民に届けさせております。」
と答えたので帰城途中に馬車の列を見かけたと言うと頭を下げた。
「ところで雨は降り出したでしょうか?」
と尋ねると宰相が代わりに答えた
「はい、国内で雨の確認が今日までいくつもきております、さらに使徒様が引かれた川は大河となりつつあるそうで堤防の建設を始めております」
と予想以上の水量を報告したので
「災害となるといけません、手の届かない場所は教えて貰えば川を深くに堤を高くしておきましょう。」
と言うと王が僕の手を取り涙ながらに
「今この時より私は女神の信者として貴方の洗礼を受けたいと願います、どうか聞き叶えてくだされ。」
と言うので、頷き返し
「貴方は良き王です、この場で新たに洗礼と祝福を与えます」
と言うと嗚咽を漏らしながら歓喜の声を上げた。
ーー 食糧の調達 ー
王都のそばの荒地にまで剣山の川が流れ着いてきたのでそこに一面穀倉地帯とするため、農地を作り灌漑用水を巡らせる。
手持ちの麦や芋の苗を植え付け魔法で成長を促進すると数日で100倍にさらにそれを植え付け魔法で促成栽培を重ねこの国1年分の食料を調達し王に譲渡すると王がこの恩を返すチャンスをと言うので
「人は満たされると横暴になりやすい、これからこの国を発展させることは今以上に難しいかもしれないが、渇きを忘れないように代々名君であることを望む。」
と言うと
「しっかりと守ることを誓います」
と言ってくれた。
ーー これからの事 ー
この大陸には12の国があると言う、まだ貧しい国や魔物の脅威に恐る国があるだろうこれからも僕の手の届く範囲でそれらを救ってみたいと改めて思った。
ーーサハラ王国 サハラ王 ー
使徒様と名乗る少年が部屋を飛び出してから10日ほど経った。
次々に水の湧き出したと報告が届く、私は宰相を呼び出し
「城の備蓄用の食料を飢える民に分け与えよ、さらに外国からかき集めよ。」
と言いつけると宰相は
「そう言われると思いすでに準備をしておりました、すぐに出発させます。」
と答えた、よく気のつく男だ、これで雨が降り出せば・・
「よいか、国内で一箇所でも新たに雨が降り出した所があればすぐに知らせるように命令を流せ!もし雨まで降ればワシは国王として女神の信者としてかのものの洗礼を受けよう」
と申し渡した。
ーー 宰相 タカラノは、楽園と繋がる川の流れを目にする ー
使徒様が空の神獣 雷鳥の背に乗りここを去ってもうすぐ一月と思っていたらあの雷鳥が姿を現し、この城に使徒様が戻られたがすぐに「疲れた寝る」と言って部屋に引き込まれた。
数日前から雨の降ったことのない地域から雨が降り出したと、報告が始まったそれと同じくして、山から大河が王都に向かい流れて来ていると信じられない報告が日に日に王都に近づいている。
そして御使様が帰城して2日後にその大河の先端が見え始めた。
馬を走らせ私はその先端の水を掬い涙する。
『このような奇跡が私の生きているうちに見ることができるとは・・・女神よありがとうございます』と心の中で祈る。
すぐに立ち帰ると王に報告する。
「タカラノよ、ワシは神を信じる。いやあの少年を信じる多分あの少年は使徒様ではなく神がこの世界に姿を似せて表した姿に違いない、洗礼を受けたい」
と王は心の底から感謝と信仰を口にしていた。
ーー 聖騎士のエステレート ー
今私は空の神獣と呼ばれる伝説の雷鳥に乗り何日も空を飛んでいる。
カムイ様は以前話していたあの山を削ると言う途方もない話を実践している。
山を割り谷を埋め平らな高台を作りそこに森と滝と川を作りその後大河をつくった。
私は今後100年いや千年は語り継がれると思う物語の、そのすぐ脇に立っているのだと言うことが途方もなく幸せでかつ重い責任を感じている。
この旅に出る際私は、そこまでカムイ様の事を信じていなかった、でも今はあの方を信じる信じないと言う以前に現世に姿をあらわされた神の化身と思ってる。
使徒様の物語でさえここまでの話は無い。
大袈裟に描かれる物語さえも信じられない奇跡それは神の身技である。
私は知っている教会を旅立つ際に見送りの人物に若返ったシスターがいた事を、
多分30歳は若くなられていた。
そのような魔法は夢であり物語の中の出来事しかしそれが目の前で行使されたただそれだけのこと。
私はこの身を一生をカムイ様に捧げよう。
ーー ある村の少女 ー
「お母さん、お魚がいたよ」
私は新しくできた川を見ていたら話で聞いたことのある魚が泳いでいるのを見つけ、手にした桶で掬った。
魚は30cmほどの大きさで丸々としていた。
魚を持ち帰りお母さんに見せると微笑んでくれた。
つい最近までお母さんは病気で起き上がれなかった、お父さんも同じ病気で先月死んでしまった。
このままお母さんが死んでしまったらと恐怖で夜寝ることができなかった。
この村は雨というものが降らないため水が少ない、今年は食べ物も少なくどこの家でも飢えと渇きに苦しんでいた、そんな時にあのお兄さんが現れたのだ。
そのお兄さんは大きな鳥に乗って騎士様と現れてこう言った
「暫く世話になるよ、食事や水の心配はいらない配る程持っているから」
と言うと村人にたくさんの水と食料を配って歩いていたそして私の家に来ると
「今日から世話になるよ、代わりにお母さんの病気を治してあげよう」
と言うと起き上がることさえできなかったお母さんに魔法をかけてくれた、するとみるみるうちに力と元気を取り戻したお母さんが起き上がりお礼を言っていたが、私は嬉しくてよく覚えていない。
その後も夕方になると戻ってきていろいろな話と料理を出してくれた、最後の日、
「ここに川が出来て魚という生き物が生まれるだろうから見つけたら掬ってお母さんと塩を振って焼いて食べなさい」
と言っていたので毎日新しい川を見に行っていた。
魚はとても美味しく働き者に戻ったお母さんと美味しく笑顔で食べたの、幸せてこういうのかとその時感じたらお母さんが
「女神様に祈りましょう、あの方は神様の遣わされた分身だから」
と言って2人で祈りを捧げました。
この少女は、大きく栄え出した村に教会ができた際に最初のシスターになったという。
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改稿したので、しばらくしたら消します
魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -
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※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
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