神の加護を受けて異世界に

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新しい旅の始まりと竜の進化の

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ーー 三度世直しに

今回の旅は、今まで寄らなかったような小さな村や町を回ることが、主な目的。

馬車に乗り込むメンバーは、
・僕の姉になる聖騎士エストレーナ18歳(?)
・僕の妹になるハーフエルフのアーヤ10歳
・僕の妹になるケットシーのミル10歳

と僕の4人と、御者のマークで総勢5人だ。

マークは、新しい自宅の御者として雇われていた人材で、協会の関係者でもある25歳の男性だ。

先ずは、開拓村エースを目指しカエデに会おう。


今回の旅で初めて、センターターク王国の西部に足を踏み入れるが、そこは前人未到の魔の森に接する地域で、今も多くの開拓村が挑んでは消える場所らしい。

10日ほどで、第三の街「シルクの街」についた僕ら。

ここは、名前の通りシルクのような布地を生産しそれを各地に送る、流通の拠点として栄えた街だ。

道ゆく人々に姿を目にしながらアーヤが、

「わー。綺麗な洋服。皆んなお姫様見たい。」

と染色鮮やかでカラフルな服を着こなす、街娘達の姿に感動しているようだ。

「記念にアーヤやミルにエストレーナにも服を買ってあげよう。」

と僕は言うと、洋服を扱っている店の前に馬車を止め店に入った。

出迎えた店員に、

「姉妹の洋服を買いに来た、3人に合う洋服を2・3点見繕ってくれませんか。」

と頼みながら数枚の金貨を渡し、エストレーナに

「ここで待っていてくれ、話を聞いてくる。」

と言うと外に出た。

この街の西側から魔の森が見え始めるのだ、開拓村の情報も有るだろうと思い教会から情報を収集し始めた。

この街の境界も立派な建物で、多くの教会関係者が居るようだ、要件を伝えると。

「こちらで暫くお待ちください、使徒様。」

と待合室のような部屋で待つと、高齢な司教が数人の神父を連れて現れた。

「お初に御目にかかります。この街の司教をしておりますゴーザと申します。」

とその司教は自己紹介すると、

「使徒様には、この街かこの先の町や村に御用があるとお聞きしましたが、私で御応えできる事でしたらどうぞ。」

と言ってくれたので。

「実はこの様な手紙を受けとりました。そこでこの村に向かっているのですが、他の村や町についても知っておればお聞かせください。」

と言うと、手紙を読んだ司教は。

「これはここを経由して王都に届けた物です。」

と話始めた。

内容は、

「ここ1年ほど魔の森と言われる森に変化が見え始めた。


外周部に普段では見かけない、強力な魔物が姿を現し始め、開拓村が襲われ始めた。

毒を吐く魔物などの凶悪な物も少なくなく、その為病気になる者も少なくないと言う。

更に、魔物が荒らす為、輸送や農耕が十分に出来ず食糧不足に陥ることもしばしばで有ると。」

話を聞いた僕は、お礼を言うと教会を後にして皆の待つ店に戻った。


綺麗に着飾る、三姉妹を見ながら僕は、

「よく似合っているよ皆んな。この街で食料とポーションの材料を購入して村に向かおう。」

と声をかけ、準備をするために宿を取った。

2日ほどかけて準備を行った僕らは、エース開拓村に向け再び馬車を進めた。


ーー 開拓村エースの現状  カエデ  side


私は、開拓村エースのリーダーをする父を手伝いながら開拓村を運営している。
ここ最近頻繁に魔物が村の周辺に現れ、十分な狩や農耕ができないため村は食糧難に陥っている。

教会の巡回者もなかなか来ることが出来ず、病人の治療もままならない状況で、この村を放棄することも考慮し始めている。

私はなんとかしたくて、手紙を使徒様宛に出しては見たもののもう一月経つがなんの音沙汰もない。

そんな諦めの時に、現れたのです。

使徒様達が。


ーー 魔の森で何が起きている


僕らはようやく開拓村エースに辿り着いた。

村の周りを囲る柵などの防衛施設も所々破損し、幾たびも魔物が襲ってきたことを表していた。

僕は、開拓村のリーダーに会うと、

「防衛柵の補強と食料、医薬品を配布します。村人に配布する準備をしてください。」

と伝えるとすぐに動き出した。

先ず僕は、村の外に出て開拓村を見て回った後、壁を作り始めた。

すでに大規模な城壁作りで早く楽に壁を作れる僕は、今までの村の4倍ほどの広さの壁を数時間もしないうちに作り上げた。

高さ10m、厚さ5mも有る石の壁は、ドラゴン級の魔物が襲わなければ壊される心配のないもので、外側に深く広い堀を作り水を引き入れた。

いくつかの跳ね橋を作った後、壁の内側のあおた場所に畑を作ってゆきこの世界で早く育つ種類の穀物類を植えると、魔法で成長を促進させた。

村の中では、エストレーナを中心に、食料と薬の配布が行われており私村の少女がそこに加わり、一生懸命働いているのが見えた。

「エストレーナ、どうだい?困った事はあるかい?」

と声をかけると、隣の少女を紹介する形で

「この子がカエデさんです。重い症状の病人がいるそうで使徒様にはその治療をお願いいたします。」

と言うと少女が頭を下げながら、
「カエデです。この度はわざわざお越しくださりありがとうございます。私が案内いたしますこちらです。」

と案内を始めたのでその後をついてゆくと、少し大きな集会場の様な建物に着いた。

「ここに病人達を収容しています。」

と暗い顔で説明した、たぶん助からない人々という意味であの顔なのだろう。

「ここから先は、僕の仕事だ。君は戻っていなさい。」

と言って、建物の中に足を踏み入れた。

中は薄暗く濃ゆい死の気配が充満していたが、僕は光魔法浄化を使いながら空気を変えながら中に進み、病人達の寝かされている部屋に入った。

中には、およそ20床のベッドが置かれており、子供から年寄りまで横たわっていた。

「今から魔法で治療します。付き添いの人は離れてください。」

と声をかけると、幼い子供の側にいた母親が、

「どうぞ、子供を御助けください。」

と祈りの様な姿をとった。

「エリアヒール」

僕が魔法を行使する、その後個別に身体を調べながら治癒魔法や回復魔法に解毒魔法などを発動する。

すると20分ほどで全ての患者の病状が消え去り、穏やかな寝息を立て始めた。

「村に食料を持ち込んでいます。栄養のある食事を食べさせてください。」

と言いながら外に向かう僕を後ろの方で。

「「「ありがとうございます。使徒様。」」」

と言う声がずっと聞こえていた。


ーー  魔の森の偵察

強い魔物が外側に出ると言う現象は、往々にしてそれ以上に強い魔物が溢れたか暴れていることが考えられる。

ライを召喚し、エストレーナと二人でマリの奥を目指す。

この魔の森と言われる森は非常に広大で、幾つもの国と接している。

かなり奥にまで飛んだところ、眼下に荒れた森を見つけた。

「どうやらここで何かが争っている様だよ。」

と僕はエストレーナに声をかけた。

ライに少し開けた場所に降りつ様指示する。



ーー  進化する竜種の争い


降りてわかったが、竜種の争った跡の様だった。

ブレスを吐き、地を抉り、森を焼いた様な跡がそこらじゅうに有り、いまだにその争いは続いている様だった。

「エストレーナ、何種類かの竜が暴れているようだ。二手に分かれて探してみる?」

と聞くと、頷くエストレーナ。

エストレーナをライに再び乗せ空から確認させると、僕は周辺の気配を探り出した。

「いたいた、別のところで争っているようだ。」

僕は転移し近くまで向かう。

そこには、5頭ほどの竜が戦っていた。

火竜に地竜、それと風竜かな?どれも若い竜で、戦うと言うより力比べの様な感じで組み合っている。

僕は近くで、2頭の争いを見ている地竜に声をかけた。

「君達は何をしてるの?」

すると声をかけられた、地竜が声のする方を振り返り僕を見つけると。

『主人殿か、これは我ら竜の進化のための修行である。より強き相手と力比べを行うとより強く存在に進化できるので、その時期が来た竜は皆ここで力比べを行うのだ。』

と念話で、教えてくれた、その時ライも空から舞い降りてきた。

そこで僕は、強いものと力比べすれば、早く進化できるにならと思い。

「そこの竜よよく聞け!今から僕が相手をしてやるから皆でかかって来い。」

と叫ぶと、魔力を練り上げた。

その様子を見た5頭の竜は、それぞれが気を充実させると僕に突進してきた。

地竜が前足を僕の上に振り下ろす、僕はそれを片手で止めると前足を掴んで振り回し投げ飛ばす、。

すると風竜が上空から風魔法で攻撃してくる、それを結界で防ぐと僕は、重力魔法で地面に叩きつける。

火竜がブレスを吐きながら突っ込んでくる、素早く飛翔した僕は、ブレスを交わして顔の横っらを殴りつける、森に落下する火竜。

一頭ずつでは敵わぬと見た竜らが2匹3匹で襲ってくるが、僕はそれらをあしらいつつ投げたり叩きつけたりして、魔力を浴びせる。

すると3時間も経った頃、竜に異変が現れ出した。

僕の魔力を浴びるのが多い竜から身体が光り輝き出し、より大きく、より美しく変化したのだ。

全ての竜が変化を終えたところで、5体の竜が僕の前に揃い。

「ご主人様、我らご主人様の魔力により無事進化を遂げました。これより先はあなたの従僕、いつでもお呼びつけ下さい。」

と言うので、

「それじゃ一つお願いがある。君たちの進化の過程で、人族の方に魔物が多く逃げ出した、少しばかり外側の魔物を間引きしてくれ。」

と言うと

「「「「「直ちに!」」」」」

と答えそれぞれ森の外周部に向かった。


「エストレーナ、僕たちも行くよ。村の近くで逃げ惑う魔物を狩るために。」

と声をかけ、ライに飛び乗ると村の方に飛び立たせた。


その頃村では、村人が恐怖に慄いていた。

「ドラゴンが現れ、暴れ出した!」

と。

しかしすぐ後に僕がライに乗り村まで飛んできて、暴れる竜と共に魔物を駆り出すと。

「あの竜達は、使徒様の手足の様だ。この村は助かった様だ。」

と見ていた一人が言うと、村人はやっと生きた心地がしていた。

1時間ほど外周の魔物を間引くと、森に静寂が訪れた。

僕は竜達に今後も森を監視する様に言いつけると、竜と別れ村に戻った。


ーー 開拓村の今後


村に戻ると、リーダーの男がカエデを連れて僕の前に跪くと、

「使徒様本当にありがとうございました。これどこの村は救われました。」

とお礼を言い頭を下げた。

僕は、

「他の開拓村も回ってくるので、およその場所を教えてくれますんか?」

と言うと、簡単な地図に4箇所ほど印をつけて渡してくれた。


僕は再び一人でライに乗ると他の開拓村を巡り、同じように壁を強化拡大し、病人を癒し、食料を手渡すことを三度行った。

残念なことに一つの開拓村は、大型の魔物に襲われたのか壊滅的な状態で、村人すら見つける事ができなかったので、放棄したのだと思った。

他の開拓村が、規模が大きくなったので今後はそこに入植すれば安全に開拓できるだろう。


エースの開拓村に戻った僕は、アーヤ達と合流し新たな村の広場に大きなテーブルを幾つも出すと、料理や酒を出していった。

「さあ、皆さん。今日は新しい開拓村の門出です。大いに飲んで食べて英気を養いましょう。」

と声をかけると、「やったー。」と子供らの声、ワイワイと村人が集まり楽しい宴会が始まった。

すると僕のそばに、カエデが来て。

「使徒様本当にありがとうございました。私はもうこの村を捨てなければいけないと半分諦めていたのです。この様な光景が再び見れるなんて・・・嬉しくて。」

涙ながらに言葉を口にするカエデにそっとアーヤが近づき、

「お姉さん、お兄ちゃんが守ると言って来たんだよ。これからこの村は大丈夫、幸せが訪れるよ。」

と言いながら手を握っていた。

集落から追い出されたアーヤが、そんなことを言えるまでになったことに僕は心が暖かくなるのを覚えた。

僕はその後膝の上にミルを乗せ、横にはエストレーナとアーヤに挟まれて、村人と楽しい夜を過ごした。
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