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ダンジョン攻略後編

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ーー  ダンジョン攻略後編


野営を終えて片付けを始めた皆に僕は、
「ここで君たちに待っていてほしい。」
と言うと
「一人でダンジョンに挑むと言うの?それは無謀よ。」
とミリアが言う。
「一人ではないさ、これを見てくれ。」
と言いながら僕は召喚魔法を使う。
「サモン」
召喚の言葉を呟くと、その場に5体の召喚獣が
・ドラゴン
・フェンリル
・フェニックス
・スライム
・ドラキュラ
である。

「こいつらは召喚魔法が使えるようになった時に召喚していた召喚獣だ、今まで使うことがなかったから出さなかったが、これから先には必要だろう。これが君たちの代わりさ、だから君たちにはここで僕を待っていてほしい。」
と言うと
クロニアル君が
「分かったよ。これなら僕ら以上の働きができるだろうね。ここで君の帰りを待つから無事に帰っておいで。」
と言ってくれた。

「ああ、まかしておいてくれでは行ってくる。」
と言う言葉を残して私は階層を下る。


31~39階層。
ここは、大型の魔物の階層だった。
大蛇、サイクロプロス、魔熊、ビッグボア、空を泳ぐホエールと小山のような魔物が襲いくるが私の連れている召喚獣もどちらかと言えば大型だ。
襲いくる魔物を次々に倒してゆく。
あっという間に40階層の階層主の扉の前に。
中に入ればそこのはミノタウルス5体と尻尾を生やした魔人が3人。
「ようこそ人間よ。ここはダンジョンの最新部のひとつ前の階層主の部屋だ。まだ大きくなる途中であるため、我らが一緒にいるのだがそれは貴様の不運であったな。」
と言うとミノタウルスが襲いかかってきた、ミノタウルスの相手をドラゴン、フェンリル、フェニックスに任せる。
「まずは我から」
先ほどまで話しかけていた魔人が私に襲いかかる。

素早い動きに魔法の多重発動。
「結界5」
私は自分の前に結界を張る、
「ドガーン。ガキーン」
と結界に弾かれた魔法攻撃の音が響く、ドラキュラとスライムが残りの魔人に向かう。

「何これを全て防ぐと言うのか。」
魔人はさらに魔力を高めると魔剣と思える剣で襲ってきます。
結界を解除して私は同じく剣を取り出すと、魔人と撃ち合う。
「何と!人間ごときが私と打ち合うと言うのか。」
驚きの顔で叫ぶ魔人をそのまま、剣を振り抜き相手の魔剣ごと切り裂く。
「クッ!これまでか。」
己の死を悟った魔人が自爆を敢行しようと私に取りつこうと動く、しかしその体は結界5で囲われて動かない、そのまま爆死する。

残りの魔人の様子を見ると、ドラキュラが喉元に牙を食い込ませているところだった。
「垂にお前の意志では指一本動かせまい。」
ドラキュラの言葉に歯軋りする魔人。
もう一体は、スライムに飲み込まれたところであった。
このスライムはスライムキングだ、全てを食らい全ての魔法と物理を無効化できる。

半透明なスライムの中で溶けゆく魔人は、苦しげな顔のまま消えていった。
残りの魔物はと言うと、召喚獣が強すぎたためあっけなく倒されていた。

「さあそれでは最下層の魔神と対面しようか。」
と声をかけて階層を下る私。
ここで私は勘違いをしていたことに気づくことになる。
41~49階層を踏破してこれが最下層かと扉を開けるとそこに居たのは、
アンデットドラゴン。
アンデットドラゴンを討伐したが
~階層主の討伐を確認しました。~
と言うメッセージだけだった。

魔人の数は7人、と言うことは70階層は最低あると言うことになる。
51~59階層も踏破すると60階層主は
属性ドラゴン3頭だった。
ドラドンを討伐しその日はそこで休むことにした。

私は討伐状況を魔道具を通じてメンバーに伝えていたが、皆
「そんな凄いことになっているんだね。ここで君の朗報を待っているよ。」
と言う返答だった。


英気を養った私は、攻略に挑戦再開。
60~69階層は、炎の階層だった。
炎系の魔物が乱舞し最後の階層主は
イフリートであった。

イフリートは召喚獣のフェニックスに相性が悪かった、攻撃すればするほど強くなるフェニックスに最後は食いちぎられて終わった。
まだ最下層ではないのか。

70~79階層を攻略して80階層の扉を押し開けた時に私は思った。
「ここが最下層だ。」
今までとは違う重厚な扉の先には王が座るような椅子が一つ、そこにいかにもと言う人物が座っていた。
「お主が我が眷属を破りし勇者か?しかしここで我に出会ったことを悔やむが良い。我には勇者の力は通じぬ。」
と言いながら椅子から立ち上がり、傍らの大剣を手に歩いてくるその人物こそ魔神であろう。

「貴方が魔神と思うが間違いないか?」
「確かにわしが魔神だ。勇者名を名乗れ!」
と言う魔神に
「ひとつ訂正しておこう、私は勇者ではない。エストニアと言う冒険者だ。いざ参る。」
と言うと剣に属性魔法を纏わせ、魔神に挑んだ。

流石の魔神と言われる存在、攻撃がほとんど効かない。
ただダメージを与えているのは分かる、相手も無敵ではないようだ。
「お主は何者だ、これほどの力を持ちながら勇者ではないと言うのか?」
「今の私の住む世界に魔王は存在していない。よって勇者も存在しない。」
「ならばこの力は何だ!」
「これは努力の結果だ!」
「人間の限界をはるかに超えて、努力とは笑わせるではないか。しかし俺は倒せぬようだな。」
と少し余裕を持つ魔神に
「お前も慢心しているのか。俺はまだ力の半分も出しておらぬぞ。」
と言えば
「何をそのような戯言を!」
と答える魔神の左腕を斬り飛ばして見せた。
「何!再生できぬ、どうしてだ?」
「死を司る黒き魔力を纏わせた剣で斬られれば、神でも再生は難しいだろう。」
「何!神殺しの剣を使うか!ならば一旦引くのみ、さらばである」
と言いながら魔法を発動させるも、
「何故だ!転移ができぬ?」
「ああそれは、私が召喚獣にこの空間を魔法キャンセル状態にしているからだ。」
「なんだと!・・・クッ。」
その次の言葉を呟く子よはできなかった。
きびを飛ばされた魔神は口惜しそうに私を見て
「次に復活した時は、お前は既にこの世にはいまい。」
と言いながら消えていった。

~ダンジョンの踏破を確認しました。~
と言うメッセージが流れたことで、ダンジョン攻略が終わったことが分かった。

「勇者が存在するのか?すると魔王も。これからも忙しそうだな。」
と呟きながら私は皆が待つ階層に転移した。

「お疲れ様です。まさか魔神まで討伐されてこのダンジョンを踏破するなんて、エスト様は規格外すぎますね。」
と言うミリアに皆が頷く。
「そんなに私は規格外かな?」
とぼやけば
「その自覚がないのがそもそも規格外ですよ。」
と言われた。

その後は、宝箱や魔物の素材を収納して王都に帰った。

わずか5日ほどで帰還した私たちに国王は
「やはりお主でもダメだったか。」
と言うので、ドンと大きなダンジョンコアを取り出して
「踏破しました。ダンジョン攻略済みです。」
と答えるとその場の皆が大口をあけて、言葉にならぬ状態に。
頭を下げてその場をさる私に改めて呼び出しがかかったのは次の日だった。

「改めて確認する、中央大森林の魔人が居ると思われるダンジョンを攻略したと言うのは本当か?」
「はい陛下、間違いありません。」
「して魔人は何体いたのだ?」
「魔人は7体にございます。」
「ナ・ナ・7体と言うのか。して最深部のガーディアンは?」
「最深部にいましたのは魔神でありました。」
「何、魔神のダンジョン。そしてそれを倒したと言うのか?」
「はい倒して参りました、ただそこで魔神が私を勇者と勘違いしておりました。ひょっとすると何処かに魔法が存在するかと思っております。」
「何!魔王が・・・ありうるかの知れぬ。その話はここだけにしてくれ。」
と言うことで報告は終了した。
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