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始まり
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プロローグ
激しい災害であった。
大きな地震が大地を揺らし海を波立たせた。
ビルは倒壊し橋は川底に沈んだ。
男は営業で車を運転していた。
「先輩。休憩しましょうよ。」
助手席の5つ下の後輩が疲れた声で運転している聖也に声をかけた。
「ああそうだな。この先の大橋の下で休憩するか。」
そう答えて聖也は、コンビニに立ち寄りコーヒーとサンドイッチを購入した。
大橋の下の河川敷駐車場に車を止め、コーヒーの蓋を開けた時だった。
強い揺れが車ごと聖也を振り回し始めた。
「大きいぞ!」
ハンドルにしがみ付いた聖也の目に上から橋桁が落ちてくるのが見えた。
聖也の記憶はそこで終わった。
南海トラフの大地震が起こったのだ。
被害は想定ほどはなかったが、それでも大きな被害が広範囲に日本列島を襲った。
聖也の死はその中の1人に過ぎなかった。
転生
聖也が意識を取り戻し目を開けると、何も見えなかった。
いや見えないのではなく真っ白い世界で何も無いのだ。
「ようやく目を覚ましましたね。」
何処からか声が聞こえた。
周囲を見渡すも何も見えない、目を擦ろうと手を顔に上げるもその手すら見えない。
「なんだ!」
狼狽える聖也。
「慌てなくても良いのですよ。ここは神域、貴方は魂としてここに来ています。」
「え!神域?・・・魂?・・・意味がわからない。」
独り言とも答えとも言えないが、確かに自分自身すら見えない。
「貴方は災害で亡くなったのです。覚えていますか?」
「災害!・・・あっ。確かに私は・・橋の下で・・・死んだんですね。」
「そうです。貴方の車があと50cm横にずれていたら、死なずに済んだでしょう。」
「50cm!あの、後輩は、秋山はどうなりました?」
「彼は怪我をしましたが、生きています。」
「そうですか。良かった。」
後輩が生きていると知って聖也は少し気が楽になった。
落ち着いてきた聖也に声の主が語りかけます。
「貴方に提案があります。私はアリステリア、異世界の神です。私の管理する世界に貴方を招きたいのですが、問題ないでしょうか?」
「招く?死んだ私が・・・生まれ変わると言うことですか?」
「ええそうです。新しい身体を持って生まれ変わって私の世界を楽しんでほしいのです。」
「楽しむ?特に制限や使命がないということですか?記憶はどうなります?」
「記憶はこのまま持って生きてもしいと考えています。その訳は世界に影響を与えて欲しいのです。」
「え!世界に影響ですか?そんな大それたこと私に出来ますでしょうか?」
「問題まりません。貴方らしく生きてもらえれば、自ずと世界は影響を受けるはずです。」
「自分らしくですか。・・・分かりました、やってみます。」
と答えた聖也は次の瞬間、意識が途切れていた。
「オギャー、オギャー!」
赤子の声が強く大きく響く一室。
「丈夫な男の子ですよ。」
産婆の女性が母親となった若い女性に声を掛けながら、布に巻かれた赤子の顔を見せる。
「ああ私の赤ちゃん!私がママよ。」
女性がそう言いながら生まれたての赤子をそっと撫でる。
成長と不思議な力
赤子はミカエルと名付けられ、小さな村の一員となった。
ミカエルの家は、猟師の父と小さい畑とちいさな店を切盛りする母と3つ上の兄の4人家族だ。
村の人口は100人30世帯のよくある開拓村である。
村を管理するのは、ゼブラ公爵家であり隣接する森は魔物が棲む魔境でもある。
魔境といえど森の端の方に魔物が出ることは稀で、出てきてもはぐれのゴブリンやホーンラビット程度で、1・2匹であれば猟師の父ガブリエルでも討伐が可能だ。
母ステラは、雑貨屋を営んでおり月に1度来る商人から商品を買取、村人に販売しているのだ。
兄のサルエルは7歳で腕白盛り、村の子供を引き連れて遊び回っている。
この世界は12歳で成人するのでその分成長が早い。
ミカエルは2歳になり、何時も1人でちいさな畑に行っては何かぶつぶつ呟いている。
そんなミカエルを兄サルエルと母ステラは、少し変わった弟だと思っていた。
ミカエルが畑で何をしていたかというと。
魔法の練習だった。
この世界には魔物がいるように魔法も存在する、ただし村に魔法を使いものはいない。
いや、大きな街に行ったとしても魔法を使う平民はいないであろう。
この世界で魔法を使えるのは、一部の貴族のみでそれも高位の貴族となる。
その常識をたまたま聞いていたミカエルは、家族はもとより村人にも気づかれないように練習していたのだ。
ミカエルが魔法を使えるようになったのは、偶然であった。
赤子の時に既に体の中に何かわからない力があることは気づいていたが、それが魔力というものであるとはしばらく気付かなかった。
ただ何も出来ない赤子にとって、体の中で自分の意思で動き回せる不思議な存在が暇つぶしにもってこいだけであった。
そのうちこの不思議なものが体の外に出せるようになり、その効果で不思議な現象が起こることに気づいた。
最初はちいさな光だった。
「これは!魔法なのか?」
子供は赤子といえども1人部屋を与えられる風習で、家族の皆が寝静まるとミカエルは布団の中で光の魔法の練習をして過ごしていた。
激しい災害であった。
大きな地震が大地を揺らし海を波立たせた。
ビルは倒壊し橋は川底に沈んだ。
男は営業で車を運転していた。
「先輩。休憩しましょうよ。」
助手席の5つ下の後輩が疲れた声で運転している聖也に声をかけた。
「ああそうだな。この先の大橋の下で休憩するか。」
そう答えて聖也は、コンビニに立ち寄りコーヒーとサンドイッチを購入した。
大橋の下の河川敷駐車場に車を止め、コーヒーの蓋を開けた時だった。
強い揺れが車ごと聖也を振り回し始めた。
「大きいぞ!」
ハンドルにしがみ付いた聖也の目に上から橋桁が落ちてくるのが見えた。
聖也の記憶はそこで終わった。
南海トラフの大地震が起こったのだ。
被害は想定ほどはなかったが、それでも大きな被害が広範囲に日本列島を襲った。
聖也の死はその中の1人に過ぎなかった。
転生
聖也が意識を取り戻し目を開けると、何も見えなかった。
いや見えないのではなく真っ白い世界で何も無いのだ。
「ようやく目を覚ましましたね。」
何処からか声が聞こえた。
周囲を見渡すも何も見えない、目を擦ろうと手を顔に上げるもその手すら見えない。
「なんだ!」
狼狽える聖也。
「慌てなくても良いのですよ。ここは神域、貴方は魂としてここに来ています。」
「え!神域?・・・魂?・・・意味がわからない。」
独り言とも答えとも言えないが、確かに自分自身すら見えない。
「貴方は災害で亡くなったのです。覚えていますか?」
「災害!・・・あっ。確かに私は・・橋の下で・・・死んだんですね。」
「そうです。貴方の車があと50cm横にずれていたら、死なずに済んだでしょう。」
「50cm!あの、後輩は、秋山はどうなりました?」
「彼は怪我をしましたが、生きています。」
「そうですか。良かった。」
後輩が生きていると知って聖也は少し気が楽になった。
落ち着いてきた聖也に声の主が語りかけます。
「貴方に提案があります。私はアリステリア、異世界の神です。私の管理する世界に貴方を招きたいのですが、問題ないでしょうか?」
「招く?死んだ私が・・・生まれ変わると言うことですか?」
「ええそうです。新しい身体を持って生まれ変わって私の世界を楽しんでほしいのです。」
「楽しむ?特に制限や使命がないということですか?記憶はどうなります?」
「記憶はこのまま持って生きてもしいと考えています。その訳は世界に影響を与えて欲しいのです。」
「え!世界に影響ですか?そんな大それたこと私に出来ますでしょうか?」
「問題まりません。貴方らしく生きてもらえれば、自ずと世界は影響を受けるはずです。」
「自分らしくですか。・・・分かりました、やってみます。」
と答えた聖也は次の瞬間、意識が途切れていた。
「オギャー、オギャー!」
赤子の声が強く大きく響く一室。
「丈夫な男の子ですよ。」
産婆の女性が母親となった若い女性に声を掛けながら、布に巻かれた赤子の顔を見せる。
「ああ私の赤ちゃん!私がママよ。」
女性がそう言いながら生まれたての赤子をそっと撫でる。
成長と不思議な力
赤子はミカエルと名付けられ、小さな村の一員となった。
ミカエルの家は、猟師の父と小さい畑とちいさな店を切盛りする母と3つ上の兄の4人家族だ。
村の人口は100人30世帯のよくある開拓村である。
村を管理するのは、ゼブラ公爵家であり隣接する森は魔物が棲む魔境でもある。
魔境といえど森の端の方に魔物が出ることは稀で、出てきてもはぐれのゴブリンやホーンラビット程度で、1・2匹であれば猟師の父ガブリエルでも討伐が可能だ。
母ステラは、雑貨屋を営んでおり月に1度来る商人から商品を買取、村人に販売しているのだ。
兄のサルエルは7歳で腕白盛り、村の子供を引き連れて遊び回っている。
この世界は12歳で成人するのでその分成長が早い。
ミカエルは2歳になり、何時も1人でちいさな畑に行っては何かぶつぶつ呟いている。
そんなミカエルを兄サルエルと母ステラは、少し変わった弟だと思っていた。
ミカエルが畑で何をしていたかというと。
魔法の練習だった。
この世界には魔物がいるように魔法も存在する、ただし村に魔法を使いものはいない。
いや、大きな街に行ったとしても魔法を使う平民はいないであろう。
この世界で魔法を使えるのは、一部の貴族のみでそれも高位の貴族となる。
その常識をたまたま聞いていたミカエルは、家族はもとより村人にも気づかれないように練習していたのだ。
ミカエルが魔法を使えるようになったのは、偶然であった。
赤子の時に既に体の中に何かわからない力があることは気づいていたが、それが魔力というものであるとはしばらく気付かなかった。
ただ何も出来ない赤子にとって、体の中で自分の意思で動き回せる不思議な存在が暇つぶしにもってこいだけであった。
そのうちこの不思議なものが体の外に出せるようになり、その効果で不思議な現象が起こることに気づいた。
最初はちいさな光だった。
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子供は赤子といえども1人部屋を与えられる風習で、家族の皆が寝静まるとミカエルは布団の中で光の魔法の練習をして過ごしていた。
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