神と魔力と魔法

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魔法の訓練

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より強く効果のある魔法へ

2歳になったミカエルは、人目を避けるため畑に通っていた。
畑にはミカエルを隠す程度の低木と土手があった。
ミカエルは畑の地面に向けて、
「ソナー」
と小さく唱える。

地中内の物質を探る魔法だ。
畑を荒らすモグラのような生き物や穴ネズミと呼ばれる小動物を見つけて捕らえるのだ。
「ニードル」
対象を見つけるとミカエルはそれに対して針のような鋭い石の針を撃ち込むのだ。
倒した後は、
「バインド」
と唱えて魔力で縛り上げて引き上げるのだ。

たまに魔物化した物もいて、少しずつレベルが上がってきていた。
土魔法で畑を耕し、水魔法で水をやり、風魔法で草を刈り取る。
いつしかミカエルの家の畑は村一番の収穫を得ることになる。

3歳になったミカエルが畑の上空を飛ぶ鳥を撃ち落とし始めた頃、家族は悩み始めていた。
「ねえ貴方、ミカエルが時々持ち帰る鳥は・・・どうやって捕まえているの?」
ステラは畑に遊びに行ったミカエルが最近、鳥を捕まえたと持ち帰ることに疑問を持っていた。
鳥はとてもお美味しいので初めの頃は、喜びで捕まえた経緯も聞かずに受け取っていたが、あまりにも頻繁に持ち帰るため怖くなってきていた。

「ああ俺もおかしいと思ってミカエルに聞いたら、「石で撃ち落とすんだよ」と変な道具を見せたんだ。」
と言いながらスリリングの形を説明していたが
「あんなもんで鳥が撃ち落とせるなら俺も楽できるんだがな。」
と呑気な口調で話を終わらせた。
ステラは夫の言葉に完全には納得出来なかったが、そういう道具があるならあり得るのかと自分を納得させた。

 兄であるサルエルは、3歳の弟が猟師でもなかなか仕留めることが難しい鳥を狩ってくることに苛立ちを覚えていた。
「なんでよちよち歩きのミカエルが狩りをすることができるんだ?なら俺ならオークを仕留めてやる!」
と不穏なことを言いながら倉庫の古い短剣を持ち出して仲間を募って森に向かって歩いて行った。

その日、兄のサルエルは家に帰ってこなかった。
日頃から一緒に遊んでいる村の子の数人が同じように帰っていなかった。
村人は捜索隊を作り森の方を探し回り始めた。

ステラはミカエルに
「お兄ちゃんはどこに行ったか知らない?」
と聞いてきた。
「僕知らないよ。友達の家にでも居るんじゃないの。」
「その友達もいないから心配してるのよ。」
ステラがとても心配してるのがわかったミカエルは、寝たふりをした後こっそりと森へ向かった。

この頃になるとミカエルのレベルは、20を超えていた。
大人の村人の平均が5~10で父親のガブリエルが15と村で一番高い。
兵士が10~15、兵士長クラスが15~20、隊長クラスが20~25と言われている。
ミカエルは既に隊長クラスのレベルを持っているが、元々の基礎値が通常に数倍あったので王国内でも五本の指に入るのではと思われる。

さらにミカエルは魔法が使えるため、魔法を含めると王国で最も強いかもしれないのだ。

ソナーを使いながら真っ暗な森を進、ミカエルの目には昼間のように森の中がわかるのだ。
「おお、ちいさな反応が1・2・・・5。兄貴たちだな。無事なようだがその近くに大きな反応がある・・・オークのようだ。急ごう。」


サルエルたちが隠れているのは、大きな木の空の中。
「サルエルちゃん、怖いよ。俺たちオークに食われるんじゃないの。」
仲のいいサグールが半べそをかいて小声で言う。
「俺がついてるんだ、大丈夫だ。いいから黙って朝を待てよ。」
震える声を隠しながら強がるサルエル、しかし子供らの匂いはオークの鼻に強く匂っていた。

「ブホーー!」
オークの声が次第に近づいてくる、恐怖で動けない子供ら。
「メキメキ」
木の空の出入り口を塞いでいた板が引き剥がされる。
「ギャー!」
どの子が叫んだかわからないが入り口にオークが3頭立っているのが見えた。
サルエルを始め子供達は皆、オークに喰われる未来しか見えない。

「クソー!」
恐怖を声で押さえつけサルエルが短刀を手を伸ばすオークに斬りつける。
しかしその薄皮すらも傷付けられない。
レベルの差という物だ。

羽虫でも払い除けるようにサルエルの短刀を跳ね飛ばしオークの手がサルエルに伸びる。
恐怖で目を瞑るサルエル。
「ドサ。」
足元に重たいものが落ちる音がした。
「グオーー!」
叫び声を上げるオーク。
次の瞬間、「ドーン」と言う音が3回聞こえて静けさが闇を満たす。

恐る恐る目を変えるサルエル、暗闇を照らす月明かりが地面の大きな塊のシルエットを照らす。
「え?」
驚きの声を出し外に出ようと足を踏み出すと何かに躓いた。
それは切り落とされたオークの腕だった。
「あああーッ」
声にならない悲鳴が喉を突いて出る。

外の塊はよく見るとオークのようだ3頭、それぞれ頭が近くに切り離されて転がっている。
するとテクテクと何かが歩いて近づいてきた。
恐怖で動けないサルエルが見たのは、散歩でもしているような感じのミカエルの姿だった。

「お兄ちゃん、みんなが探してたよ。もうすぐここに来るから早く帰ってきてね。」
と困ったもんだと言うように言い残すとミカエルはまた暗闇に消えて行った。
その後30分ほどして父親であるガブリエルらが松明を持って姿を現した。
「このクソガキどもが!みんな心配していたんだぞ!」
と言うとそれぞれの頭にゲンコツを落とし
「さあ、帰るぞ!」
と言って村に歩き出した。
そこで初めてサルエルは首のないオークの死体が無くなっているのに気付いた。

「父ちゃん、オークの死体は何処にやったの?」
「オークだと、そんなもん無いぞ。もしオークがいたらお前ら皆んな喰われてたはずだ。さあ、オークが来る前に帰るぞ。」
その言葉を聞いてサルエルは先ほどの恐怖を思い出した。
「父ちゃん、ミカエルは何処にいるの?」
「ん?ミカエル。ミカエルは家で寝てるはずだぞ、なんでそんなこと聞くんだ。」
その言葉を聞いてサルエルはオーク以上に自分の弟のことが恐ろしく感じた。

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