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冒険者としての活動

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ーー 冒険者としての私


強い魔物が出ると私に依頼がやってくる。
稽古のしたい私にとって、良い訓練相手となるのだ。

暫く私は自分のレベルを確認するのをやめていたの。
だってもう私のレベルの人などこのように存在していなく、皆おとぎ話の人たちなんだもの。

私は冒険者ギルドに出入りする時は、身バレを気にして変装して行くことにしていた。
ただ受付の担当者とギルマスは知っているんですよ。

今日もいかにも新人の冒険者のような格好で、ギルドに入ると依頼の張り出された掲示板を眺めていると。
何人もの冒険者が話しかけて来た。
内容は殆どがナンパ、たまに一緒に冒険に行こうと言う内容もあるがそれでも目的は、ナンパみたいだったのでお断りしていたら。
「新人が先輩の誘いを断るとは失礼だろう、つべこべ言わず一緒に来れば良い。」
と言いながら無理やり私の腕を掴んで連れて行こうとした、冒険者がいたんですが。
私と身体能力が違いすぎたために、引っ張るどころか自分の力に引き摺られる感じで転けたんです。
思わず「うふふ」と笑うと、それも気に入らなかったのかその冒険者の連れまで混じって
「許さねえ、ちょいと遊んでやろうと思ったが、痛い目合わせて売り飛ばしてやる。」
とぼっそうなことを言い出したの。
「それは犯罪ですわ、貴方達は冒険者ではなくて犯罪者なのですか?」
と聞けば
「おおよ、俺たちは泣く子も黙る「大我の牙」の一味さ。さあ来な。」
とまた私を連れて行こうとしたので、
「雷撃」
と一言言うと、連れを合わせた五人の冒険者が気絶をして床の転がったのよ。そこに来たギルドの職員に
「この方達「大我の牙」と言う組織の一味だそうよ。」
と教えると私は適当な依頼を受けて森に向かったの。

すると何処からか20人ほどの男達が現れて、
「お前か、俺の手下達を突き出した女は。」
と言いながら剣を抜いて迫って来たのよ。
多分ギルドで私とあの冒険者の様子を見ていた仲間がいたのね。
しょうがないので20人を同じように電撃で打ち倒すと、土魔法で拘束した後、見張りをしていた男を密かにつけてアジトを見つけたの。

アジトはうまくカモフラージュされて、見た目は森の中の崖のように見えるが隠された梯子を出すと、崖の奥の出入り口に入れるようになっていた。
私は隠匿のスキルと気配察知のスキルを使いながら、アジトに侵入。
そこのは多くの人質が奴隷に売り飛ばされる準備をされて拘束されていたのを見つけ、私は拘束された部屋から外まで続く穴を掘ると皆を逃した。
そのあと盗賊団を次々に捕まえると拘束しながら穴を塞いだ、人質の居た牢に押し込めていった。
最後の五人は、大我の牙という組織の幹部のようで、かなり抵抗をしたけど私の敵ではなかったわ。
腕を折り、拘束して牢に入れたあと崖の出入り口を塞いで街に戻りギルドに報告すると、直ぐに人手を集めて現場に向かってくれた。
そこで総勢50人の盗賊団を引き渡し集めたお宝を収納して帰ったの。
かなりのお宝を溜め込んでいたみたい、私の懐はホクホクになったのよ。

その後も暇を見つけては、冒険者ギルドに向かい依頼を受けるとこなしていった。
中には魔物討伐だけではなくて、商隊の護衛や個人の旅人の護衛依頼もあったの。
私も護衛警護がしたくなって、ある家族の護衛警護を受けたのよ。

「初めまして冒険者のベティーです。」
と4人家族の依頼人に挨拶すると、依頼者であるご主人は不安そうに私を上から下まで見たけど娘のカリーナちゃんが
「お父さん、私このお姉さんがいい。絶対この人がいい。」
と言う言葉に負けたのか仕方なしに依頼を頼むことになった。
確かに私の見た目は、まだ15・6の小娘にしか見えないものね。本当はまだ10歳を少し超えたくらいだけど。

目的の街は、王都から馬車で10日の辺境の街、そこに士官した父親について家族で越すことになったのだ。
父親自体腕に自信があるが、家族を一人で守る自信はなかったので冒険者を雇ったのだ。

馬車で出発すると3日ほどは何もなく進んだが、4日目頃から魔物がちらほら出始めてきた。
ゴブリンやコボルトがほとんどで特に苦戦することもなく退治していくと、依頼者の目が変わってきたようだ。

6日目に山からワイバーンが襲ってきた、この世界でワイバーンは亜竜と呼ばれていて、軍隊が出動して対応するような災悪なのである。

震え上がり絶望に沈む依頼者家族に
「大丈夫よ。私がいるんだから見ていてね。」
と言って馬車から飛び出すと、雷撃を落として地上に落としたあと首を切り飛ばして討伐終了。
その様子を見ていた家族は、口を開けたまま言葉が出ない様子でぱくぱくしていたので。
「どう問題なかったでしょう。」
と声をかけながらワイバーンを収納して見せると、我に帰った依頼人の男性が
「今まで失礼な態度をとって本当に申し訳ない。貴方がそこまでお強いとは信じていなかった。」
と頭を下げた、それを押しとどめて
「まだ旅は終わってませんよ。」
と言うと馬車を走らせたのだった。

その後は、それまでも親しく話しかけていた娘さんが更に親しく、少し偉ぶっていた息子までもが尊敬の眼差しで見てきたのがおかしかった。

その後もう少しで辺境伯の領地に入ると言うところで、前後を30人ほどの盗賊に囲まれたの。
普通ならそんな大勢に囲まれたら一般人は、震えてしまうはずなのにその馬車の男女5人の者達はなんと言うこともなく
「何か御用ですか?私たちは辺境伯領に向かう旅人ですが。」
と間伸びしたようなことを声かける男に盗賊らは、
「おめえ達俺らのことをなんだと思っているんだ!命が惜しく場全てを出して逃げろや。」
と脅してきたのです。
馬車から降りた私は、今大声で脅した男に指を差して
「雷撃」
と呟くと頭から煙を出して絶命した。
慌てて他の仲間が剣を抜いて踊りかかろうとするのを、
「雷撃」
と盗賊を目標に再度落とす。
耳をつん裂くような音が周囲を埋め尽くすと、盗賊は全員倒れていた。

「流石だな、ワイバーンと比べると全く恐怖心が湧かなかったのは当然だが、危険に対して麻痺してしまったかもしれんな。」
と呟くと依頼者に
「これどうします?ここに捨てておいていいでしょうかそれとも収納して運んだ方がいいでしょうか?」
と聞けば、辺境伯領にもギルドがあるので収納して運べばそれなりの賞金が出る可能性があると言われた。

次の日に目的の辺境伯領の街に着いた私は、ギルドで依頼達成の報告と魔物と盗賊の討伐を報告した。
「え!依頼以外に魔物討伐と盗賊を討伐されたのですか?それでは盗賊はどうしました?」
と聞かれたので、
「盗賊は全て倒して持ってきました。確認しますか?」
と答えると
「是非、ここで見ます。」
と言うので私は周囲を見ながら
「ここでは狭いし他の場所ではいけないんですか?」
と言えば、ギルド職員は私を馬鹿にしたように
「お前に倒されるような盗賊だろ、早くここに出せ。」
と命令してきたので、それならと30人を次々に出しましたよ。
「おい、待て待て、」
と騒ぎ出したけど、出せと言ったのは貴方ですからね。
全員を取り出した後私は、
「後は魔物ですけど、魔物もここに出すのですか?」
と聞けば、職員はどうでもいいような態度になって
「魔物?小物なんかいらないぜ。」
と言うのでワイバーンを取り出して、盗賊の横に置くとギルドの広間は盗賊とワイバーンで埋まった。

「貴方が言う通り取り出しました、後はそちらで処理をお願いしますわね。」
と言うと私は依頼の完了を受けて報酬をもらうと別の職員に
「盗賊とワイバーンについては明日にでも来るので査定しておいてね。」
と言い置きギルドを後にした。

その後宿を見つけた私は、
珍しくお風呂があったのでゆっくりと湯船に浸かって足袋の汚れと疲れを洗い流した。
食事は田舎領地ではあるものの、意外と美味しくて満足したわ。

次の日、冒険者ギルドに向かうと昨日以上に人がいた。
「何かあるのかしら?」
と呟きながら私は、昨日声をかけた職員を見つけ声をかけると
「来られました!この方です。」
と言う職員の声に驚いていると、奥の部屋から出てきたイカツイ男性が
「昨日はうちの職員が失礼な態度をとったみたいですまなかった。奥で話をしたいのでいいかな?」
と言われ、ついて行くとギルマスの執務室だった。

「まあそこに座ってくれ。昨日の盗賊を倒した場所を教えてくれないか?最近被害が多くて困っていたんだ。まだ残党がその辺りに残っている可能性があるから。」
と言われ、地図上の場所に印をつけた。
ギルマスはしばらく席を外していたが戻ると
「もう一つ、あのワイバーンは何処で倒したものかわかるか?」
と言うのでおおよその場所を話して
「多分逸れのワイバーンですよ。また見たら倒しておきますから。」
と言うと
「そうか、それはありがたい。」
とお礼を言われ、盗賊の報奨金とワイバーンの買取額の詰まった金貨袋を差し出してきた。
中身を確認すると、金貨80枚ほど入っていた。
意外と盗賊が悪い奴らだったようだ。

そして冒険者証のランクを書き換えると言われていつのまにかBランクに変わっていた。
「本当ならAでもいいんだが、そこまでの権限がないもんで、これで許してくれ。」
と頭を下げられた。

そしてギルドを後にしようと思い立ち上がったところで
「言い忘れていた、辺境伯様が是非お礼がしたいと言っておられて、迎えの馬車が来ているんだ。すまんが付き合ってくれ。」
と言われ馬車に乗せられて辺境伯様の屋敷に連れて行かれた。

「私が侯爵家の娘だと言った方がいいのかしら?」
と悩みながら馬車に揺られること10分ほどで屋敷についた、そこは屋敷と言うより砦と城の間のような建物だった。

門番に要件を伝えると直ぐに迎えの兵士が現れて玄関まで、その後はメイドさんが屋敷内に案内してくれたわ。
客室で待っている間にギルマスが
「緊張するかもしれんが、辺境伯様はとても良い方だ心配はいらぬ。」
と言うので
「実話、私貴族の娘なのですが。身分を伝えるべきでしょうかそれとも黙っているべきでしょうか?」
と尋ねると、驚いた顔のギルマスが
「貴族と言ってもピンキリだが何処の貴族のお嬢様かね?」
「はい、ホワイト侯爵家の長子になります。」
と言えばギルマスが、飛び上がり
「これまでの非礼、お許しください。」
と頭を床につけて詫びるので
「そこまでしてもらう気などありません、私は一冒険者として依頼を受けただけですから。」
と答えたがギルマスは部屋を飛び出していった。
その後周囲のが騒がしくなるのを感じながら居た堪れない気持ちでいると。

先日の依頼の娘カリーナちゃんが姿を見せて
「お姉さん、お久しぶりです。お姉さんが偉い貴族のご令嬢だとわかってみんな大忙しのようよ。」
と面白そうに話すカリーナちゃんを見ながら、どうしたものかと考えていたら。
「どうぞ、ベティー様。御当主辺境伯様がお待ちです。」
と執事前とした初老の男性が迎えに来た。

案内に従い宴会場のような部屋に入ると、辺境伯様の家族全員が出迎えている様子だった。
「大袈裟にしてしまい申し訳ありません。」
と言う私の言葉に辺境伯様は
「高名なホワイト侯爵家のご子息が態々、我が家臣の依頼で辺境の地まで家族を送り届けたばかりか、盗賊や魔物まで討伐していただいて感謝に耐えません。今宵はその恩に報いるために少しばかりの宴を準備しておったのです。」
と言われ、ここの領主である辺境伯様がいかに家臣や領民に慕われているか、分かった気がした。

その世の宴会は楽しいものだった。
これこそ辺境の領主であり、冒険者の醍醐味だと思った私。
楽しい時間はあっと今にすぎるもの、その中で辺境伯から一つの依頼を受けた。
「一つお力を貸していただきたい。領内にワイバーンが巣を作ったと言う情報が入りました、我が兵士と共に討伐をしていただきたののですが。」
と言うものでその場で了承し明日にでも伺うと答えると屋敷を後にした。

次の日朝早く辺境伯の屋敷に伺った私は、200人からなる辺境伯の兵と顔合わせを行った。
冒険者としての挨拶として、兵士に中で一番強いヘイトの模擬戦は欠かせない。
木刀とを持って対峙すると目にも止まらぬ早業で、一本をとり私の力を見せつけるとワイバーン狩りに向かった。

そこは森に近い村のそばで、屋敷から馬車で4時間ほどのところだった。
この距離なら辺境伯の街まで一っ飛びだな、と思いながら様子を見るとワイバーンが巣を作っており、その数10匹ほどだった。
取り逃すことを考えて狩りから戻ってきた夕方から早朝に攻撃しようと話は決まったので、
「それなら下手に逃さないように夕方戻ってきた所を襲ったほうがいいですね。」
と意見を出して、討伐の計画を話した。
ワイバーンが戻りきったところで、凄と私がワイバーンを叩き落とすので、それを残りの兵士でとどめを刺すのだ。

日が暮れ始めて、次々にワイバーンが戻ってきた、全ての巣にワイバーンが戻ったところで、私が大きめの雷撃を次々に叩きつけると、ワイバーンは地面に巣ごと落ち始める。
何匹かは空に逃げようとしたが、雷撃の速さにかわすことは不可能。
結局11匹のワイバーンが地面に落ち、ほぼ半分は既に絶命していた、そのほかのn虫の息のワイバーンを兵士でとどめを刺せば、30分ほどで討伐完了。
その日はその場で酒盛りだ。

辺境伯も参加しての討伐で、大いに盛り上がった。
「流石は侯爵家の麒麟児、見事な腕でございますね。貴方一人がいれば魔物など恐れるにたらぬ生き物のようです。是非我が辺境伯のような大森林を領地に持つ辺境に嫁に来て欲しいものです。」
と言われたが、私も跡取りなので
「残念ですね、私も魔物狩りは好きなのですが、家を継ぐ必要も有りますればご期待の応えられないお話です。」
と断った。

意外と美味いワイバーンの肉をその場で調理した残りの素材は私が収納して、辺境伯邸まで運びそのまま解散となった。
私は
「これでもまだ学園の生徒の身、戻って学園に顔を出す必要がありますので失礼します。」
と断りを入れて辺境伯の屋敷を後にした。
そのあと辺境伯は、私のことを調べたようで
「まさか10歳そこらの子供であったとは、ワイバーン討伐にお誘いしたのがお恥ずかしい。」
とお父様にお手紙を出されてようだ。
お父様から
「あまり羽目を外さないように。」
と注意を受けてしまった。
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