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侯爵令嬢としての勤め
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ーー 侯爵令嬢としての私。
20日余りの冒険者活動から家に帰った私は、侯爵令嬢としての生活が待っていた。
お母様に連れられて社交界に顔を出し、お父様に連れられて騎士団との訓練に参加する。
領内を見回り、領民の困り事を解決して回る。
そんな中行き倒れの旅人を見つけた。
歳の頃は20歳ほど綺麗な顔をした青年で、わざと汚い格好をしておるようだが持ち物が高価すぎて滑稽さを醸し出していた。
かなりの怪我をしており、背中から剣で切られたようだ。
私は回復魔法で怪我を治すと、屋敷に運び込みお父様に連絡を入れた。
お父様が戻り青年の様子を確認したあと、難しい顔をしていた。
「ベティーよ、あの青年は多分他国の貴族か王族であろう。理由はわからぬが命を狙われている可能性が高い。ここに運んだのを知っているものはいるか?」
と聞かれ
「私以外に知っているのは、手当の手伝いをしたメイドと食事の準備をした者くらいです。」
と伝えるとすぐに手配を始めた。
3日ほどすると青年はすっかり元気になった。
すると私に
「貴方が倒れていた私を助けでくださったとお聞きしました。私は深手を負いもう助からないと覚悟していたのですが、貴方にもう一度生きるチャンスをいただいたようです。」
と言うと深々と頭を下げた。
「理由はわかりませんが、貴方は命を狙われているのですね。ここにいる限り大丈夫ですが何処に行かれるところだったのですか?」
「行き先は決まっていませんでした、ただ生き延びることだけを目的に女神の指し示す方向に逃げていただけです。」
と答える青年に女神の影を感じた私は、
「これからどうするのでしょうか?せっかく助けた命、粗末にされても困ります。」
と言うと
「そうですね。できれば国にとって返し、裏切り者の宰相を始末したいところですがその力が私には有りません。せめて妹だけでも無事でいてくれればと願うだけです。」
と言うので、
「貴方に力がないのであれば、力のある者に依頼をすればいいのではないですか?可能な話を。」
と言うと
「依頼ですか・・そうですね。考えてもいませんでした。ただそれを受けてくれる者がいるのか・・どう他のべばいいのかもわからないのです。」
と言うので
「冒険者ギルドにですよ。宰相を殺すことは難しいでしょうが、妹さんを保護することは受けてくれる可能性は高いと思いますよ。」
と言えば、乗り気になった青年は
「私をその冒険者ギルドに連れて行ってください。」
と言うので明日連れて行くことで話をつけ、私はこっそりギルマスに頼み事をしていた。
次の日私と青年がキルドのギルマスの執務室で依頼の話を始める。
~私は※※王国の王子です。王国内で叛逆が起こり、宰相を中心とした者達が妹を人質に王子であるわたしを亡き者として、国王の座を乗っ取るつもりなのです。
妹を助け出せば、国王として即位することが出来ず他国の協力を得た私に勝てるはずもありません。いかに早く妹を助け出せるかがこの勝負の分かれ目となると思います。~
と言う内容だった。
その王国とは何とスーデル王国だった。
ギルマスは事前の約束通り、ギルドとして依頼を受けて信頼できる冒険者に依頼すると確約してその会談を終えた。
当然依頼を受けるのは私ですが。
しばらく身を潜めておくようにと、王子の身柄は侯爵家の別荘に隠して私は冒険者ベティーとして、スーデル王国に向かうことにした。
ーー 再び冒険者として活躍する。
一国を争う事態と分かった私は、深夜飛行魔法でスーデル王国に乗り込んだ。
王子を襲った刺客もまだここまでは辿り着いていないだろうと、思ったからだ。
城に侵入して、監禁されている王族を探すと地下牢に国王夫妻がそして一番高い塔の一室に王女が囚われていた。
私は先ず、国王夫妻をコッソリと助け出すと王都の宿に隠した。
その後で王女の救出に向かったのだ、塔の前には見張の兵が4人交代で見張っていたが、「雷撃」で倒すと王女の囚われた部屋に入る
「王女貴方を助けにきました。私は王子に依頼を受けた冒険者、すぐにここを出ますよ。」
と声をかければ
「それは出来ません、国王夫妻が囚われて私がいなくなれば処刑されてしまいます。」
と言うので
「国王夫妻はすでに助けています」
と答えてやっと逃げる気になった王女、しかし国王夫妻がいなくなったことに気づいた王宮の者たちが騒ぎ始めた。
「王女この服に着替えてください。」
と私は街娘の服を渡して手早く着替えさせると、塔から城の裏庭に飛行魔法で飛び降りた。
場内は大騒ぎの感じで、兵士だけではなく侍女やメイドその他下働きの女性も多く見受けられた。
その騒ぎを利用し、私たちは城外に逃げ出すと国王夫妻を匿っている宿に戻り親子の対面を果たしたが、宰相らは直ちに王都内をくまなく捜索し始めた。
隠れている宿にも追手の影が届く。
戸を突き破って飛び込む兵士、私はどの兵士に
「どんな理由で女一人の部屋に兵士が押しかけるのか?」
と問い詰めた。
「つべこべ言うな、ここには他に誰もいないのか?」
と横暴な態度で聞く兵士に
「見ての通りここに誰が隠れる場所がると言うのか。」
と答える私に悪態をつきながら部屋を出る兵士。
宿方兵士が出て行ったのを確認すると、私は隠匿の魔法をかけた部屋の隅の魔法を解除するとそこには、国王と王女の3人がいた。
「助けてくれて感謝する。しかしこれではこの国から逃げ出すのは難しいだろう。娘だけでも他国に逃してくれぬか。」
と頼む国王に
「国王様にお尋ねします。味方になる貴族はおいででしょうか?」
と。
「味方は南のシルエス伯爵がおる、そこまで逃げおおせればなんとかなると思うが。」
と言うので
「先ずはそこまで逃げ落ちましょう。」
と声をかけると地図で場所を確認すると、明るくなった外を見ながら
「今晩ここを出ることにしましょう。それまで疲れをとっておくように。」
と宿の主人にもう一部屋借りて国王夫妻と王女を休ませることにした。
私は宿を後にして街中で買い物をすると、情報を集め始めた。
どうやら宰相はあまり王国民に好かれていないようだ。
国王の言ったシルエス伯爵は今周りを王国軍に取り囲まれて、身動きができないようで国王救出を諦めている様子である。
食糧と食材を買い揃えた私は、宿の厨房を借りて揚げ物や温かい料理を多く作ると収納して部屋に戻った。
部屋に戻り国王らに食事を提供し、夜に備える私達。
夜になるとあちらこちらに兵士の姿が見えた、逃さないための見張りのようだ。
深夜になり、明かりを消すと黒い毛布で3人を包み、結界魔法で落とさぬようにすると窓から闇夜の空に飛び出した。
昼間のうちに方角を確認していたため、30分もすると目的地のシルエス伯爵に館の上空に。
屋根裏部屋に通じる窓をこじ開け中に3人を入れると、階下の者を起こし伯爵との面会を依頼する。
しばらく後に伯爵が屋根裏部屋に顔を出し国王との再会、その後これからの方針を話し合う。
「捉えるだけで良いなら私が捉えてきますが、どこに何人の捕まえるべき人物がおりますか?」
と言えば
「宰相に公爵、それと騎士団長が主な主犯だ。」
と答えるので、
「今から行ってきます。」
と言うと空の飛び出した。
宰相はすぐに分かった、王宮の国王の間に居たのだ。
電撃で気絶させた後、毛布で簀巻きにして城の最上階のテラスに。
次に公爵は、公爵領の屋敷にいたのを攫ってきた。
一番探したのが騎士団長だった、事もあろうか女のところに居たのだった。
そのまま簀巻きにして結界で囲むと3人を伯爵家に移送、国王に前に転がした。
これでクーデターは、失敗だ。
朝になり、宰相や公爵それに騎士団長が居なくなったことがわかると、反逆に携わった者達が逃げ始めた。
すると雪崩を打ったように形勢が大きく変わった。
その気配を感じ取った国王派が伯爵家に応援に駆けつける、そこで捕まった首謀者と助け出された国王に会うと、完全に勢いづいた国王派が逆賊を捕らえるのに時間はかからなかった。
一応私は依頼を受けた身、国王と王女から依頼達成の証明を貰うと王子の待つ我が侯爵の別邸に向かった。
「妹さんはもとより国王夫妻も無事に助け出された、更には宰相を始めよする逆賊も討伐済みである。」
と言いながら国王と王女の手紙を渡すと王子は大変感謝をした、そのまま王子を伴いスーデル王国に入ると王城に登城して、国王に引き合わせて私の依頼は全て終了した、ただそこで私が依頼を受けた冒険者だとバレた以外は問題なかった。
ーー 外国使節団への参加
その後特に何も起こらなかったのだが、突然王宮から呼び出しを受けた。
「先日のスーデル王国の内乱鎮圧の協力に感謝し、是非施設団のお越しを待っている。」
と国王自らの書簡が届けられた。
スーデル王国と言えば、金銀の埋蔵量が豊富で豊かな国と知られた王国、そことの友好関係が築けば我が王国としても非常に利益がある。
そう言う理由で私の使節団参加が決まったそうだ。
理由はとにかく公費で旅行できるのはいいわね、と思い承諾した私だった。
総勢30人ほどの使節団、団長は内政を司る国務大臣で副団長に何故か私が名を連ねていた。
「解せぬ?」
馬車で進むこと10日の行程、途中途中でソレイユ王国内の街や村を視察しながら、スーデル王国の状況と比べていた。
食料自給率で我が王国が上であるので、飢えた領民は見かけないがスーデル王国では、財力があるためか小さな村まで貴族の館が立派であった。
農民の家はどこも変わらず貧しいけどね。
スーデル王国の王都に着き熱烈な歓迎を受けた我が使節団。
国王の顔色もあの時とは違い生き生きとして、まだまだ大丈夫なようだ。
しかしこのような国王が何故あのようなクーデターに巻き込まれたのか?不思議である。
どこかの国が後ろで糸でも引いているのではなかろうか、そんな気配を感じながら使節団としては大きな成果を上げていた。
ーー オスト王国の野望。
スーデル王国の南に小国オスト王国が存在する。
オスト王国は、特産品や資源のない貧しい王国で、そのためいつも他国に侵攻し領土を増やしたいと狙っていた。
隣国の小国ドイレ王国は同じく貧しいため、見向きもしていないがスーデル王国は資源が豊富で豊かなため、何かと小競り合いが続いていた。
たまたまスーデル王国の宰相にのしあがった男が、オスト王国の血を受けた男であるため、資金を提供してクーデターを画策したようだ。
目的の8割ほどうまく行っていた計画を叩き潰された形のオスト王国は、逆恨みでソレイユ王国を恨んでいたところに、使節団が来ている情報を得て再度悪巧みを画策し始めたのだった。
使節団に何かがあれば、ソレイユ王国とスーデル王国の友好関係も崩れ、再度侵攻の足がかりになると考えたのだ。
密かに暗殺者集団が、国境を越えてベティー達に魔の手を伸ばし始めた。
しかしこれにいち早く気付いたのは、ベティー自身。
最近自分に対する敵意や害意を感知する、危機感の察知能力が上がったおかげである。
王宮内に害意を持つものが10人程度入り込んだことに気づき、スーデル王国の騎士団とその実態を密かに探っていたところ、パーティー会場に紛れ込んだ暗殺者たちが、毒物を持ち込んだことが判明した。
速やかに周囲を塞ぎ要人たちを避難させると、暗殺者の捕獲に動いた。
抵抗する暗殺者たちは、ベティーの魔法で無力化するとたちまち確保された。
その後もベティーの察知能力で、暗殺者たちは全て捕らえられオスト王国の野望が判明したのだった。
自分勝手で人を殺すことを何とも思っていないオスト王国に、怒りのベティーはその夜のうちに飛行魔法でオスト王国に飛ぶと、王宮内の国王の寝室に
「次はお前の寝首をかく」
と言うと文字を壁に大きく書いて戻ってきた。
朝目覚めると壁に書かれた文字を読んだオスト王国の国王は、非常に驚くと共に恐怖し、厳重な部屋に籠り人と会うことを嫌いとうとう半年後にはやまいにたおれることになった。
これからしばらくは、オスト王国の他国への侵攻は影を潜めたのだった。
スーデル王国では、またしても王国を揺るがす暗殺集団の、攻撃を万全の体制で被害なく補足できたことに、深く感謝を示しベティーに対して最大限の権限を与えたのだった。
「スーデル王国はソレイユ王国ベティー=ホワイト殿に伯爵位の貴族位を授けるものとする。」
と言うことで、ベティーはスーデル王国内で自由に活動できる権限を得ることになった。
万事うまくいった使節団は、意気揚々と帰国して成果を報告した。
「皆ご苦労であった、これから我が王国とスーデル王国は友好国として良い関係を築けるであろう。」
国王も大変嬉しそうにそう言うと皆の労をいたわった。
20日余りの冒険者活動から家に帰った私は、侯爵令嬢としての生活が待っていた。
お母様に連れられて社交界に顔を出し、お父様に連れられて騎士団との訓練に参加する。
領内を見回り、領民の困り事を解決して回る。
そんな中行き倒れの旅人を見つけた。
歳の頃は20歳ほど綺麗な顔をした青年で、わざと汚い格好をしておるようだが持ち物が高価すぎて滑稽さを醸し出していた。
かなりの怪我をしており、背中から剣で切られたようだ。
私は回復魔法で怪我を治すと、屋敷に運び込みお父様に連絡を入れた。
お父様が戻り青年の様子を確認したあと、難しい顔をしていた。
「ベティーよ、あの青年は多分他国の貴族か王族であろう。理由はわからぬが命を狙われている可能性が高い。ここに運んだのを知っているものはいるか?」
と聞かれ
「私以外に知っているのは、手当の手伝いをしたメイドと食事の準備をした者くらいです。」
と伝えるとすぐに手配を始めた。
3日ほどすると青年はすっかり元気になった。
すると私に
「貴方が倒れていた私を助けでくださったとお聞きしました。私は深手を負いもう助からないと覚悟していたのですが、貴方にもう一度生きるチャンスをいただいたようです。」
と言うと深々と頭を下げた。
「理由はわかりませんが、貴方は命を狙われているのですね。ここにいる限り大丈夫ですが何処に行かれるところだったのですか?」
「行き先は決まっていませんでした、ただ生き延びることだけを目的に女神の指し示す方向に逃げていただけです。」
と答える青年に女神の影を感じた私は、
「これからどうするのでしょうか?せっかく助けた命、粗末にされても困ります。」
と言うと
「そうですね。できれば国にとって返し、裏切り者の宰相を始末したいところですがその力が私には有りません。せめて妹だけでも無事でいてくれればと願うだけです。」
と言うので、
「貴方に力がないのであれば、力のある者に依頼をすればいいのではないですか?可能な話を。」
と言うと
「依頼ですか・・そうですね。考えてもいませんでした。ただそれを受けてくれる者がいるのか・・どう他のべばいいのかもわからないのです。」
と言うので
「冒険者ギルドにですよ。宰相を殺すことは難しいでしょうが、妹さんを保護することは受けてくれる可能性は高いと思いますよ。」
と言えば、乗り気になった青年は
「私をその冒険者ギルドに連れて行ってください。」
と言うので明日連れて行くことで話をつけ、私はこっそりギルマスに頼み事をしていた。
次の日私と青年がキルドのギルマスの執務室で依頼の話を始める。
~私は※※王国の王子です。王国内で叛逆が起こり、宰相を中心とした者達が妹を人質に王子であるわたしを亡き者として、国王の座を乗っ取るつもりなのです。
妹を助け出せば、国王として即位することが出来ず他国の協力を得た私に勝てるはずもありません。いかに早く妹を助け出せるかがこの勝負の分かれ目となると思います。~
と言う内容だった。
その王国とは何とスーデル王国だった。
ギルマスは事前の約束通り、ギルドとして依頼を受けて信頼できる冒険者に依頼すると確約してその会談を終えた。
当然依頼を受けるのは私ですが。
しばらく身を潜めておくようにと、王子の身柄は侯爵家の別荘に隠して私は冒険者ベティーとして、スーデル王国に向かうことにした。
ーー 再び冒険者として活躍する。
一国を争う事態と分かった私は、深夜飛行魔法でスーデル王国に乗り込んだ。
王子を襲った刺客もまだここまでは辿り着いていないだろうと、思ったからだ。
城に侵入して、監禁されている王族を探すと地下牢に国王夫妻がそして一番高い塔の一室に王女が囚われていた。
私は先ず、国王夫妻をコッソリと助け出すと王都の宿に隠した。
その後で王女の救出に向かったのだ、塔の前には見張の兵が4人交代で見張っていたが、「雷撃」で倒すと王女の囚われた部屋に入る
「王女貴方を助けにきました。私は王子に依頼を受けた冒険者、すぐにここを出ますよ。」
と声をかければ
「それは出来ません、国王夫妻が囚われて私がいなくなれば処刑されてしまいます。」
と言うので
「国王夫妻はすでに助けています」
と答えてやっと逃げる気になった王女、しかし国王夫妻がいなくなったことに気づいた王宮の者たちが騒ぎ始めた。
「王女この服に着替えてください。」
と私は街娘の服を渡して手早く着替えさせると、塔から城の裏庭に飛行魔法で飛び降りた。
場内は大騒ぎの感じで、兵士だけではなく侍女やメイドその他下働きの女性も多く見受けられた。
その騒ぎを利用し、私たちは城外に逃げ出すと国王夫妻を匿っている宿に戻り親子の対面を果たしたが、宰相らは直ちに王都内をくまなく捜索し始めた。
隠れている宿にも追手の影が届く。
戸を突き破って飛び込む兵士、私はどの兵士に
「どんな理由で女一人の部屋に兵士が押しかけるのか?」
と問い詰めた。
「つべこべ言うな、ここには他に誰もいないのか?」
と横暴な態度で聞く兵士に
「見ての通りここに誰が隠れる場所がると言うのか。」
と答える私に悪態をつきながら部屋を出る兵士。
宿方兵士が出て行ったのを確認すると、私は隠匿の魔法をかけた部屋の隅の魔法を解除するとそこには、国王と王女の3人がいた。
「助けてくれて感謝する。しかしこれではこの国から逃げ出すのは難しいだろう。娘だけでも他国に逃してくれぬか。」
と頼む国王に
「国王様にお尋ねします。味方になる貴族はおいででしょうか?」
と。
「味方は南のシルエス伯爵がおる、そこまで逃げおおせればなんとかなると思うが。」
と言うので
「先ずはそこまで逃げ落ちましょう。」
と声をかけると地図で場所を確認すると、明るくなった外を見ながら
「今晩ここを出ることにしましょう。それまで疲れをとっておくように。」
と宿の主人にもう一部屋借りて国王夫妻と王女を休ませることにした。
私は宿を後にして街中で買い物をすると、情報を集め始めた。
どうやら宰相はあまり王国民に好かれていないようだ。
国王の言ったシルエス伯爵は今周りを王国軍に取り囲まれて、身動きができないようで国王救出を諦めている様子である。
食糧と食材を買い揃えた私は、宿の厨房を借りて揚げ物や温かい料理を多く作ると収納して部屋に戻った。
部屋に戻り国王らに食事を提供し、夜に備える私達。
夜になるとあちらこちらに兵士の姿が見えた、逃さないための見張りのようだ。
深夜になり、明かりを消すと黒い毛布で3人を包み、結界魔法で落とさぬようにすると窓から闇夜の空に飛び出した。
昼間のうちに方角を確認していたため、30分もすると目的地のシルエス伯爵に館の上空に。
屋根裏部屋に通じる窓をこじ開け中に3人を入れると、階下の者を起こし伯爵との面会を依頼する。
しばらく後に伯爵が屋根裏部屋に顔を出し国王との再会、その後これからの方針を話し合う。
「捉えるだけで良いなら私が捉えてきますが、どこに何人の捕まえるべき人物がおりますか?」
と言えば
「宰相に公爵、それと騎士団長が主な主犯だ。」
と答えるので、
「今から行ってきます。」
と言うと空の飛び出した。
宰相はすぐに分かった、王宮の国王の間に居たのだ。
電撃で気絶させた後、毛布で簀巻きにして城の最上階のテラスに。
次に公爵は、公爵領の屋敷にいたのを攫ってきた。
一番探したのが騎士団長だった、事もあろうか女のところに居たのだった。
そのまま簀巻きにして結界で囲むと3人を伯爵家に移送、国王に前に転がした。
これでクーデターは、失敗だ。
朝になり、宰相や公爵それに騎士団長が居なくなったことがわかると、反逆に携わった者達が逃げ始めた。
すると雪崩を打ったように形勢が大きく変わった。
その気配を感じ取った国王派が伯爵家に応援に駆けつける、そこで捕まった首謀者と助け出された国王に会うと、完全に勢いづいた国王派が逆賊を捕らえるのに時間はかからなかった。
一応私は依頼を受けた身、国王と王女から依頼達成の証明を貰うと王子の待つ我が侯爵の別邸に向かった。
「妹さんはもとより国王夫妻も無事に助け出された、更には宰相を始めよする逆賊も討伐済みである。」
と言いながら国王と王女の手紙を渡すと王子は大変感謝をした、そのまま王子を伴いスーデル王国に入ると王城に登城して、国王に引き合わせて私の依頼は全て終了した、ただそこで私が依頼を受けた冒険者だとバレた以外は問題なかった。
ーー 外国使節団への参加
その後特に何も起こらなかったのだが、突然王宮から呼び出しを受けた。
「先日のスーデル王国の内乱鎮圧の協力に感謝し、是非施設団のお越しを待っている。」
と国王自らの書簡が届けられた。
スーデル王国と言えば、金銀の埋蔵量が豊富で豊かな国と知られた王国、そことの友好関係が築けば我が王国としても非常に利益がある。
そう言う理由で私の使節団参加が決まったそうだ。
理由はとにかく公費で旅行できるのはいいわね、と思い承諾した私だった。
総勢30人ほどの使節団、団長は内政を司る国務大臣で副団長に何故か私が名を連ねていた。
「解せぬ?」
馬車で進むこと10日の行程、途中途中でソレイユ王国内の街や村を視察しながら、スーデル王国の状況と比べていた。
食料自給率で我が王国が上であるので、飢えた領民は見かけないがスーデル王国では、財力があるためか小さな村まで貴族の館が立派であった。
農民の家はどこも変わらず貧しいけどね。
スーデル王国の王都に着き熱烈な歓迎を受けた我が使節団。
国王の顔色もあの時とは違い生き生きとして、まだまだ大丈夫なようだ。
しかしこのような国王が何故あのようなクーデターに巻き込まれたのか?不思議である。
どこかの国が後ろで糸でも引いているのではなかろうか、そんな気配を感じながら使節団としては大きな成果を上げていた。
ーー オスト王国の野望。
スーデル王国の南に小国オスト王国が存在する。
オスト王国は、特産品や資源のない貧しい王国で、そのためいつも他国に侵攻し領土を増やしたいと狙っていた。
隣国の小国ドイレ王国は同じく貧しいため、見向きもしていないがスーデル王国は資源が豊富で豊かなため、何かと小競り合いが続いていた。
たまたまスーデル王国の宰相にのしあがった男が、オスト王国の血を受けた男であるため、資金を提供してクーデターを画策したようだ。
目的の8割ほどうまく行っていた計画を叩き潰された形のオスト王国は、逆恨みでソレイユ王国を恨んでいたところに、使節団が来ている情報を得て再度悪巧みを画策し始めたのだった。
使節団に何かがあれば、ソレイユ王国とスーデル王国の友好関係も崩れ、再度侵攻の足がかりになると考えたのだ。
密かに暗殺者集団が、国境を越えてベティー達に魔の手を伸ばし始めた。
しかしこれにいち早く気付いたのは、ベティー自身。
最近自分に対する敵意や害意を感知する、危機感の察知能力が上がったおかげである。
王宮内に害意を持つものが10人程度入り込んだことに気づき、スーデル王国の騎士団とその実態を密かに探っていたところ、パーティー会場に紛れ込んだ暗殺者たちが、毒物を持ち込んだことが判明した。
速やかに周囲を塞ぎ要人たちを避難させると、暗殺者の捕獲に動いた。
抵抗する暗殺者たちは、ベティーの魔法で無力化するとたちまち確保された。
その後もベティーの察知能力で、暗殺者たちは全て捕らえられオスト王国の野望が判明したのだった。
自分勝手で人を殺すことを何とも思っていないオスト王国に、怒りのベティーはその夜のうちに飛行魔法でオスト王国に飛ぶと、王宮内の国王の寝室に
「次はお前の寝首をかく」
と言うと文字を壁に大きく書いて戻ってきた。
朝目覚めると壁に書かれた文字を読んだオスト王国の国王は、非常に驚くと共に恐怖し、厳重な部屋に籠り人と会うことを嫌いとうとう半年後にはやまいにたおれることになった。
これからしばらくは、オスト王国の他国への侵攻は影を潜めたのだった。
スーデル王国では、またしても王国を揺るがす暗殺集団の、攻撃を万全の体制で被害なく補足できたことに、深く感謝を示しベティーに対して最大限の権限を与えたのだった。
「スーデル王国はソレイユ王国ベティー=ホワイト殿に伯爵位の貴族位を授けるものとする。」
と言うことで、ベティーはスーデル王国内で自由に活動できる権限を得ることになった。
万事うまくいった使節団は、意気揚々と帰国して成果を報告した。
「皆ご苦労であった、これから我が王国とスーデル王国は友好国として良い関係を築けるであろう。」
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