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幽霊トンネル3
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「……くん、誠二くん!」
そんな呼び声に、僕は朦朧としていた意識を取り戻した。視界が鮮明になってくると、目の前に心なしか心配そうな表情を浮かべたミナミの顔があった。
「あ、ミナミさん。僕……」
「よかった。気がついたわね。急にその場で座り込んで気を失っちゃったから、びっくりしたわよ」
「す、すみません!」
条件反射的に謝ってしまう僕。そんな僕に呆れたようにミナミはため息をつく。
「本当だらしないんだから……って言いたいところだけど、こればかりは仕方ないわね。誠二くん。さっき、なにか感じたんでしょ?」
ミナミはさすがにその辺りは鋭い。そして、言われてみてあらためてさっきのはそうだったのだと実感した。
「さっきのはやはり、霊の仕業……なんですよね」
「そうでしょうね。さっきのはいわゆる霊障というやつだと思うわ。私より誠二くんのが霊に対する感度が高いようだから、影響を受けたんでしょう」
「霊障……」
本当だろうか。確かにハンディカムでトンネル内を撮影していたあのとき、僕たち以外のなにものかの存在を感じたような気がした。他に車や人の往来はなかったし、それがなんだということのはっきりした答えはわからない。
それゆえ、ミナミの言うように霊の仕業だという意見を、今は受け入れるしかない。
反論したい気持ちがあるのはやまやまだが。
「やっぱり本当に幽霊がこのトンネル内にいるんでしょうか」
僕が言うと、ミナミはゆっくりと視線をトンネルの奥に向けた。
「今日はそれを検証するためにここに来たのよ」
僕たちは、再びトンネル内を進み始めた。電灯はところどころ点いてはいるものの、辺りは薄暗く、なんとなく不気味だ。
「なにか異常を感じたらすぐに言うのよ」
「はい」
ここはミナミだけが頼りだ。はぐれないようちゃんとついていかなくては。
ハンディカムを前方に向け、ミナミの背中を追う。すたすたとした足どりには迷いがなく、それを見ているだけでも心強い。
あんなことがあったあとだ。さっさとこんなところから去りたいが、ますますやる気になってしまったミナミを止めるのは至難の業である。とにかく彼女が満足するまでの我慢だ。
トンネルは思っていたよりも長かった。だいぶ進んだような気がするが、出口は一向に近づいているようには思えなかった。
「おかしいわね」
ぽつりとミナミが言う。
「なにがですか?」
僕が聞き返すと、ミナミは足を止めてこちらを振り返った。
「このトンネル、全然進んでないわ」
「え……?」
「歩いた距離的に、もう私たちはこのトンネルから出ていておかしくないはず。なのに、さっきからまるきり出口が近づいてくる気配がない」
「えーと、それはつまり?」
ごくりと僕は己の口中に溜まった唾を飲み下した。
「私たちはこのトンネル内に閉じ込められている」
ミナミの声がトンネル内に反響する。
なんだって?
「どうやら私たちは、いつの間にか来てはいけない世界に足を踏み入れてしまったらしいわ」
そんな呼び声に、僕は朦朧としていた意識を取り戻した。視界が鮮明になってくると、目の前に心なしか心配そうな表情を浮かべたミナミの顔があった。
「あ、ミナミさん。僕……」
「よかった。気がついたわね。急にその場で座り込んで気を失っちゃったから、びっくりしたわよ」
「す、すみません!」
条件反射的に謝ってしまう僕。そんな僕に呆れたようにミナミはため息をつく。
「本当だらしないんだから……って言いたいところだけど、こればかりは仕方ないわね。誠二くん。さっき、なにか感じたんでしょ?」
ミナミはさすがにその辺りは鋭い。そして、言われてみてあらためてさっきのはそうだったのだと実感した。
「さっきのはやはり、霊の仕業……なんですよね」
「そうでしょうね。さっきのはいわゆる霊障というやつだと思うわ。私より誠二くんのが霊に対する感度が高いようだから、影響を受けたんでしょう」
「霊障……」
本当だろうか。確かにハンディカムでトンネル内を撮影していたあのとき、僕たち以外のなにものかの存在を感じたような気がした。他に車や人の往来はなかったし、それがなんだということのはっきりした答えはわからない。
それゆえ、ミナミの言うように霊の仕業だという意見を、今は受け入れるしかない。
反論したい気持ちがあるのはやまやまだが。
「やっぱり本当に幽霊がこのトンネル内にいるんでしょうか」
僕が言うと、ミナミはゆっくりと視線をトンネルの奥に向けた。
「今日はそれを検証するためにここに来たのよ」
僕たちは、再びトンネル内を進み始めた。電灯はところどころ点いてはいるものの、辺りは薄暗く、なんとなく不気味だ。
「なにか異常を感じたらすぐに言うのよ」
「はい」
ここはミナミだけが頼りだ。はぐれないようちゃんとついていかなくては。
ハンディカムを前方に向け、ミナミの背中を追う。すたすたとした足どりには迷いがなく、それを見ているだけでも心強い。
あんなことがあったあとだ。さっさとこんなところから去りたいが、ますますやる気になってしまったミナミを止めるのは至難の業である。とにかく彼女が満足するまでの我慢だ。
トンネルは思っていたよりも長かった。だいぶ進んだような気がするが、出口は一向に近づいているようには思えなかった。
「おかしいわね」
ぽつりとミナミが言う。
「なにがですか?」
僕が聞き返すと、ミナミは足を止めてこちらを振り返った。
「このトンネル、全然進んでないわ」
「え……?」
「歩いた距離的に、もう私たちはこのトンネルから出ていておかしくないはず。なのに、さっきからまるきり出口が近づいてくる気配がない」
「えーと、それはつまり?」
ごくりと僕は己の口中に溜まった唾を飲み下した。
「私たちはこのトンネル内に閉じ込められている」
ミナミの声がトンネル内に反響する。
なんだって?
「どうやら私たちは、いつの間にか来てはいけない世界に足を踏み入れてしまったらしいわ」
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