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第4話 こんな再会は想定外ですっ⁉︎
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眠すぎる……。
史華は大きな欠伸をすると、決まりきった清掃作業に戻る。
全八フロアのそれほど大きくはないオフィスビル。最寄りの駅からは徒歩三分ほどの場所にあるのでアクセスはそれなりに良い方だろう。
しかし史華には勤務地が駅から近いことは大したメリットにはならない。なぜなら、自転車でここに通っていたからだ。早朝清掃は始発に乗ったらギリギリの時間になってしまうため、一人暮らしの自宅と勤務地は自転車で往復しているのだった。
何度目になるかわからない欠伸を噛み殺して四階の清掃を終えると、掃除機を持って三階に向かう。エレベーターに乗り込んで、史華は先日のことを思い出した。
まさか今日はいるまいと史華は思いつつも、気を引き締める。次の清掃フロアとなる三階が先日のイケメン遭遇フロアなのだ。
このフロアに入っているのは『株式会社ラブロマンス』という企業らしい。あのイケメンが何者なのか未だに不明のままである史華であったが、それと仕事は無関係だ。いつも通りの仕事をしたい。そして、できるならまたあんなふうに感謝の言葉をかけてもらいたい――妄想が始まりそうになって、史華は首を大きく左右に振る。今は仕事に集中せねば。
「よし、気合いを入れるぞっ!」
三階の休憩スペースに着いて掃除機を置くと、史華はやる気を引き出すためにエイエイオーと腕を振り上げた。
「朝から元気だね」
「は、はいっ⁉︎」
明るく笑う声に、慌てて声の主を探す。先日のイケメンの声に似ている気がしたのだが、気のせいであって欲しい。
「こっちだよ、こっち」
声が聞こえた方に目を向ける。休憩スペースに置かれた六人掛けのテーブルに、彼は腰を預けて史華を見ていた。少し疲れが出ているような顔をして、しかしとてもにこやかにしている。間違いない。金曜日のイケメンキス魔だ。
「君の元気を少し分けてもらおうかな」
顔を認識するなり、彼は握っていた紙コップをテーブルに置いて近づいてきた。
「な、ななな……っ!」
何故近づいてくるのかわからない。史華は反射的に後退りをする。そして、足元に置いていた掃除機につまずいて――。
「ひゃあっ!」
寝不足だったのもあるのだろう。盛大に後ろにひっくり返った。衝撃に備えて史華は目をぎゅっと閉じる。
「危ないっ!」
彼の声が狭い休憩スペースに反響する。
直後、痛みとは別の感覚を史華は得た。
「……からかいすぎてしまったようだね。悪い。怪我はないかい?」
彼の心配する声が耳のそばで聴こえる。暖かい息遣いも感じる。
どういうことだと目を開けて、彼の整った顔が視界いっぱいに広がっているのを認識した。助けてもらったようだが、自分がどんな状態になっているのか史華は理解できない。
「えっと、これは……」
頭が回らない理由が、寝不足によるものなのか、この不測の事態にパニックになっているせいなのか判然としない。
頭が回らないだけではない。視界に映る彼の姿がぼんやりと霞んできている。
「あ、あれれ……」
それが心の声だったのか、自分の口が発したものなのか史華にはわからなかった。
「君っ!」
彼の長くてたくましい腕に身体を預けたまま、史華は意識を失ってしまったのだった。
史華は大きな欠伸をすると、決まりきった清掃作業に戻る。
全八フロアのそれほど大きくはないオフィスビル。最寄りの駅からは徒歩三分ほどの場所にあるのでアクセスはそれなりに良い方だろう。
しかし史華には勤務地が駅から近いことは大したメリットにはならない。なぜなら、自転車でここに通っていたからだ。早朝清掃は始発に乗ったらギリギリの時間になってしまうため、一人暮らしの自宅と勤務地は自転車で往復しているのだった。
何度目になるかわからない欠伸を噛み殺して四階の清掃を終えると、掃除機を持って三階に向かう。エレベーターに乗り込んで、史華は先日のことを思い出した。
まさか今日はいるまいと史華は思いつつも、気を引き締める。次の清掃フロアとなる三階が先日のイケメン遭遇フロアなのだ。
このフロアに入っているのは『株式会社ラブロマンス』という企業らしい。あのイケメンが何者なのか未だに不明のままである史華であったが、それと仕事は無関係だ。いつも通りの仕事をしたい。そして、できるならまたあんなふうに感謝の言葉をかけてもらいたい――妄想が始まりそうになって、史華は首を大きく左右に振る。今は仕事に集中せねば。
「よし、気合いを入れるぞっ!」
三階の休憩スペースに着いて掃除機を置くと、史華はやる気を引き出すためにエイエイオーと腕を振り上げた。
「朝から元気だね」
「は、はいっ⁉︎」
明るく笑う声に、慌てて声の主を探す。先日のイケメンの声に似ている気がしたのだが、気のせいであって欲しい。
「こっちだよ、こっち」
声が聞こえた方に目を向ける。休憩スペースに置かれた六人掛けのテーブルに、彼は腰を預けて史華を見ていた。少し疲れが出ているような顔をして、しかしとてもにこやかにしている。間違いない。金曜日のイケメンキス魔だ。
「君の元気を少し分けてもらおうかな」
顔を認識するなり、彼は握っていた紙コップをテーブルに置いて近づいてきた。
「な、ななな……っ!」
何故近づいてくるのかわからない。史華は反射的に後退りをする。そして、足元に置いていた掃除機につまずいて――。
「ひゃあっ!」
寝不足だったのもあるのだろう。盛大に後ろにひっくり返った。衝撃に備えて史華は目をぎゅっと閉じる。
「危ないっ!」
彼の声が狭い休憩スペースに反響する。
直後、痛みとは別の感覚を史華は得た。
「……からかいすぎてしまったようだね。悪い。怪我はないかい?」
彼の心配する声が耳のそばで聴こえる。暖かい息遣いも感じる。
どういうことだと目を開けて、彼の整った顔が視界いっぱいに広がっているのを認識した。助けてもらったようだが、自分がどんな状態になっているのか史華は理解できない。
「えっと、これは……」
頭が回らない理由が、寝不足によるものなのか、この不測の事態にパニックになっているせいなのか判然としない。
頭が回らないだけではない。視界に映る彼の姿がぼんやりと霞んできている。
「あ、あれれ……」
それが心の声だったのか、自分の口が発したものなのか史華にはわからなかった。
「君っ!」
彼の長くてたくましい腕に身体を預けたまま、史華は意識を失ってしまったのだった。
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