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第27話 だから、そういう関係じゃない
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「史華ちゃん、採寸が終わったかい?」
「えぇ。下着のサイズが合ってないって言われました」
着替え終えてフィッティングルームから出てきた史華を、悠は笑顔で迎えた。
「でしょう。俺もそう思っていたんだよね」
悠の台詞が、自分たちに性的関係があることを示唆しているように聞こえて、史華は恥ずかしくなった。裸は見られてしまったし、キスもしてしまったけれど、そういうのとは違う。違うと思いたい。
俯いた史華の耳に、悠の唇がそっと近付く。
「君は本当に初心なんだね」
意図してその台詞を言ったのかと思うと、怒りが湧いてくる。むすっとすると顔を上げた。
「か、からかわないでくださいっ! 悠さんのそういうところ大嫌いです!」
「そうやってすぐムキになるところ、俺は大好きだよ。俺に気に入られようとする気配が微塵もなくって」
「なんであたしが気に入られなきゃいけないんですか。周りから釣り合わないって非難されまくらないように気を遣う程度はしますけど、なんで悠さんに――」
「そういう意識が好ましいよね。うんうん。俺の直感よりも君が素敵な女性で嬉しいよ」
話が噛み合わない。史華が頭を抱えながら黙り込むと、採寸した人とは別の店員が悠に声を掛けた。
「仕上がりは来週になりますが、よろしいですか?」
「はい」
仕上がりと聞いて疑問符を浮かべる史華の目の前で、悠が店員から受け取ったのは領収書とカードだった。状況から察するに、会計が済んだところに見える。
「あの……悠さん?」
説明を求めて、彼のジャケットをついついと引っ張る。
「どんな下着が届くのかはお楽しみってことで。来週にはできるそうだから、次の土曜日もデートしようね」
「か、勝手に決めたんですか⁉︎」
彼がどんなものを選ぶのかを楽しみにしていたのに、出来上がりまで見られないとは。こんなお預けをくらうとは予期していなかった。
「俺が君にプレゼントするんだから、別に良いでしょ?」
告げて、ウインクまでつけてくれる。そういう仕草が実にきまっていた。
史華は頭痛を覚える。決定権は全て自分が持ち、周りは従っていればいいと言い切る人――悠はそういうタイプの人間だということを、今更思い出して。
「それじゃ、あたしが気に入らなかった時の拒否権がないんですが」
「君には気に入らない自信があるのかい? 俺には、君が気に入る自信だけがある」
確かに、採寸前からそう言っていた。オーダーメイドでは返品はできないだろう。悠はそれだけ自分の見立てに自信を持っている。だから、胸を張って強引に勧めることができるのだろう。
「……ん? さりげなく来週のデートを約束された気がしますけど、それはそれとして――」
全身真っ赤に染まっている予感があった。史華が口を半開きにして言葉を詰まらせていると、彼は極上の笑顔で詰まっている台詞を続けた。
「着て見せるところまでセットに決まってるじゃない。覚悟を決めようね」
なんという台詞を、公衆の面前で言うのだろうか。
「楽しみがあると、平日の仕事も頑張れちゃうよねー」
無邪気に言う悠の隣で、史華は返す言葉を失う。ひたすらに敗北感を味わうのだった。
「えぇ。下着のサイズが合ってないって言われました」
着替え終えてフィッティングルームから出てきた史華を、悠は笑顔で迎えた。
「でしょう。俺もそう思っていたんだよね」
悠の台詞が、自分たちに性的関係があることを示唆しているように聞こえて、史華は恥ずかしくなった。裸は見られてしまったし、キスもしてしまったけれど、そういうのとは違う。違うと思いたい。
俯いた史華の耳に、悠の唇がそっと近付く。
「君は本当に初心なんだね」
意図してその台詞を言ったのかと思うと、怒りが湧いてくる。むすっとすると顔を上げた。
「か、からかわないでくださいっ! 悠さんのそういうところ大嫌いです!」
「そうやってすぐムキになるところ、俺は大好きだよ。俺に気に入られようとする気配が微塵もなくって」
「なんであたしが気に入られなきゃいけないんですか。周りから釣り合わないって非難されまくらないように気を遣う程度はしますけど、なんで悠さんに――」
「そういう意識が好ましいよね。うんうん。俺の直感よりも君が素敵な女性で嬉しいよ」
話が噛み合わない。史華が頭を抱えながら黙り込むと、採寸した人とは別の店員が悠に声を掛けた。
「仕上がりは来週になりますが、よろしいですか?」
「はい」
仕上がりと聞いて疑問符を浮かべる史華の目の前で、悠が店員から受け取ったのは領収書とカードだった。状況から察するに、会計が済んだところに見える。
「あの……悠さん?」
説明を求めて、彼のジャケットをついついと引っ張る。
「どんな下着が届くのかはお楽しみってことで。来週にはできるそうだから、次の土曜日もデートしようね」
「か、勝手に決めたんですか⁉︎」
彼がどんなものを選ぶのかを楽しみにしていたのに、出来上がりまで見られないとは。こんなお預けをくらうとは予期していなかった。
「俺が君にプレゼントするんだから、別に良いでしょ?」
告げて、ウインクまでつけてくれる。そういう仕草が実にきまっていた。
史華は頭痛を覚える。決定権は全て自分が持ち、周りは従っていればいいと言い切る人――悠はそういうタイプの人間だということを、今更思い出して。
「それじゃ、あたしが気に入らなかった時の拒否権がないんですが」
「君には気に入らない自信があるのかい? 俺には、君が気に入る自信だけがある」
確かに、採寸前からそう言っていた。オーダーメイドでは返品はできないだろう。悠はそれだけ自分の見立てに自信を持っている。だから、胸を張って強引に勧めることができるのだろう。
「……ん? さりげなく来週のデートを約束された気がしますけど、それはそれとして――」
全身真っ赤に染まっている予感があった。史華が口を半開きにして言葉を詰まらせていると、彼は極上の笑顔で詰まっている台詞を続けた。
「着て見せるところまでセットに決まってるじゃない。覚悟を決めようね」
なんという台詞を、公衆の面前で言うのだろうか。
「楽しみがあると、平日の仕事も頑張れちゃうよねー」
無邪気に言う悠の隣で、史華は返す言葉を失う。ひたすらに敗北感を味わうのだった。
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