戦線の処女(おとめ)は気高き紅玉を番(つがい)に決める

一花カナウ

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戦場の処女は誘惑する

戦場の処女は誘惑する・5

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「……ふふ」
「そんなにいいのか?」
「比較するのはよくないと思っているのですけど……オパールさんより、あなたとの方が興奮します」

 マーティナは自身のパートナーである鉱物人形の名前を出した。
 パートナーに不満があるわけでも、相性が悪いわけでもない。ただ、事実としてルビとのほうが興奮するのだ。

「興奮するのは、俺の能力のせいだ」
「そうかもしれません。ほかの紅玉の鉱物人形との情事を聞くに、テクニックがあるのはもちろんですが、その能力で心地よくなりやすいものだと考えていますから」

 紅玉の鉱物人形の仕様については理解しているつもりだ。その上で、彼がいいと思っているのにどうして伝わらないのだろう。もどかしい。
 ルビが苦笑した。

「そういうことだ。勘違いで性的欲求を感じてしまうということだろ。今は魔力が必要な状況ではない。ここまでにしておけ」
「い、嫌です!」

 マーティナだって誰でもいいと思っているわけではない。紅玉の鉱物人形にはこれまでにも何体も出会ってきたが、この特殊強襲部隊でチームとして組んでいる彼のことを強く意識している。惹かれていると自覚している。傷ついたルビを見て迷わず魔力供給による治療を試みたのは、彼という個体だったからだ。
 はっきりと拒んだマーティナに、ルビは不思議そうな顔を向けた。

「なぜだ?」
「は、初めては、痛くないほうがいいから!」

 咄嗟に出た理由がこれなのはどうかと思わなくもないが、訂正するのも変だ。マーティナが叫ぶように告げると、ルビが困惑顔になった。

「む……それは、わからなくもないが……」
「き、緊急事態に勢いで捧げるのは、その、こういう仕事ですし、私の体質として魔力を大量に蓄えられる都合上、望まれていることだと思うので割り切れます。でも、できれば、初めては、そういう状況じゃなくて、私が触れ合いたいと思える相手と、したいんです……だ、ダメでしょうか?」

 ルビの上に跨ったまま、マーティナは震えた。泣きたい気持ちで訴えると、ルビが息を吐く。

「君がここに派遣された理由は俺もよく知っている。志願したわけでもなく、むしろ君の親からは反対されているということも聞いている。だから、君を今日の任務を持って元の部署に必ず返そうと思っていた」
「それであの時、私を庇ったんですか?」

 ルビは首を横に振る。

「庇ったのは、君がたまたまそばにいたからだ。誰を守るかを選んでいる時間なんてなかった。――人間を一人でも多く守らないといけないと考えて動くのは鉱物人形の仕様だ。ただ、君を守れたことはよかったと思っている。戦術的にも、ほかの人間が残っていた場合はかなり不利だった」

 ――そうなんだ。

 今日のチームは攻撃特化で短期決戦を狙っていた。後衛補助はマーティナがすべて担う構成である。マーティナが欠けた場合は深追いせず撤退という作戦だった。
 マーティナが残った結果、ギリギリながら任務を遂行できたのは事実だ。
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