戦線の処女(おとめ)は気高き紅玉を番(つがい)に決める

一花カナウ

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戦場の処女は誘惑する

戦場の処女は誘惑する・6

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「……私はお役に立てたのでしょうか?」
「充分すぎる働きだった」
「よかった……」
「その上で、俺は君に伝えないといけない。今日の戦闘で、今後の任務の激化が見えた。君はもう自分の部署に戻ったほうがいい。次はきっと、俺は君を守れない」

 ルビがマーティナの身を案じているのは間違いないと思えた。こうして迫られるのが嫌だから出て行けと言い出したわけではなさそうなのだ。
 一方で、ルビは任務で必要となる以上のマーティナの情報を知りすぎていると感じられる。それが気にかかった。

「あなたはどうしてそんなに私のことを考えてくださるのですか?」
「どうしてって」
「仲間の経歴や能力を知っておくのは、戦場でことを有利に運ぶためにも必要だと思います。ですが、それ以上にあなたは私のことを知ろうと努力をし、考慮してくださっているように感じられるのです。何故ですか?」
「君は、その理由が愛だとか情だとかだと思うのか?」

 挑発するような口調でルビが尋ねた。それを聞いて、マーティナは自身の欲していた答えが瞬時に否定されたことを察した。

「そうであればと願います」

 ――彼は私を愛さない。

 期待してはいけないのだと、遠回しに諭されたのだ。マーティナは痛む胸を押さえてポツリと答えた。
 ルビは申し訳なさそうな顔をした。

「……俺は頼まれただけだ。君のパートナーから、君の身の安全を最優先で守るようにと」
「オパールさんが?」
「そうだ」

 頷いて、ルビは自身の髪をわしわしと掴んで乱した。

「彼は君を案じているし、愛情を持って接している。だから、俺は君を抱こうとは思わない」
「……なるほど」
「わかってくれたなら、俺の上から退いてくれ」

 ルビの訴えに、マーティナは首を横に振って拒絶した。

「私の気持ちはどうなるんですか?」

 体が熱い。こうして接していればなおのこと彼を求めてしまう。

「その衝動はまやかしだ。少し離れて、深呼吸をして、冷静になれ」

 見つめてくるルビの瞳は冷ややかだ。情熱の紅玉の瞳はマーティナを諭す。
 マーティナは首を横に振った。

「そんなことはないです」
「なら聞くが。君は俺と離れている時、俺のことを思いながら耽ったことはあるか? 俺のことを一瞬でも考えたか? ないだろう?」

 きつい言い方をされて、マーティナは身をすくめた。
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