戦線の処女(おとめ)は気高き紅玉を番(つがい)に決める

一花カナウ

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戦場の処女は誘惑する

戦場の処女は誘惑する・7

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「わ、私は……」
「こんな仕事じゃ、惑わされることも多いだろうが、そのうち誰かを心の底から好きになる。愛そうとするだろう。だから、体は大事にしたほうがいい。紅玉の鉱物人形なんぞに言われたくないだろうが、そうやすやすと体を差し出すもんじゃない。考え直せ」

 動かないマーティナを見て、ルビは上体を起こす。そして軽々とマーティナを持ち上げて傍におろした。

 ――そんな簡単に……

 気が済むならと、戯れるのを許してくれただけなのだと悟った。服を脱ぐのを止めなかったのも、魔力供給以外で口づけるのを許したのも、マーティナが落ち着くならと待っていたからなのだ。

 ――でも、私は。

 性衝動を感じたときにルビのことをまったく考えなかったのではないかとの指摘には反論できる。耽ったことはなくとも、触れられる相手として彼を求めたことはある。
 この想いのすべてを、まやかしであると否定されたくはない。

「――考え直したんですが」

 長めの沈黙を破る。
 射し込む光に赤みはなく、空は暗くなってきた。

「ん?」
「戦闘が終わったと知った時、いつもあなたが無事であればと願っていました。今日は特に、強く。魔力供給をしたからというのもあるのでしょうけれど、戻ってきてくれたら、触れてほしいと……期待していたんです……」
「もう口づけをしたんだから、それでいいじゃないか」
「あなたはしたくないんですか?」
「そう答えたはずだが」
「理性のほうじゃなくて、本能のほうですよ!」

 そう告げて、マーティナはルビの股間に手を伸ばした。

「マーティナ!」

 掴んだそこはしっかり硬くなっていた。
 マーティナは微笑む。

「ふふ。名前、呼んでくれるんですね」
「触るな」
「私が慰めますよ」

 硬くなったそれを、服の上から撫で上げる。ルビの手がマーティナの手首を掴んだ。

「やめてくれ」
「嫌なら本気で抵抗してください」

 続けようとするマーティナを止めるために、手首を掴む手に力が込められた。

「俺が本気を出したら、君を傷つけてしまう。そのくらい、わかるだろ!」
「私だってただの女じゃないんですよ? 防御の術も身につけています」
「そういう問題じゃない……って、こら、掴むなっ」

 撫でるのを止められて、仕方なく揉むように動かすとルビが焦る。
 マーティナは自分が触れている場所を見つめながら、息を吐き出した。
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