戦線の処女(おとめ)は気高き紅玉を番(つがい)に決める

一花カナウ

文字の大きさ
9 / 20
戦場の処女は誘惑する

戦場の処女は誘惑する・9

しおりを挟む

「でもっ、私はルビさんがいいし、今、すぐに抱いてほしいの!」

 ルビの手を取って、マーティナは自身の胸に当てた。

「お願い。体が熱いの。どうにもできないんです。今すぐ私を鎮めてほしい」
「なんで」
「助けてください。ルビさん、あなたがほしい」

 彼にじっと見つめられると、体が期待するのがわかる。へその下あたりが切なく疼くのだ。

「いいか、マーティナ」

 射るような鋭い視線を向けられて、背中側がぞくりとした。

「はい」
「君のそれは、おそらく生存本能だ。仲間が多数死んだ。暗くなって視界から彼らの情報が薄れた今なら、落ち着きを取り戻せると思う」
「正気じゃないから私を抱けない、と?」

 悲しい。切ない。
 触れることを許してほしいだけなのに。
 マーティナの問いに、ルビは真剣な表情でゆっくり頷いた。

「そうだ。君は他部署から借りている存在だ。借りている以上、返さないといけない」
「それはわかっています」
「その上で、俺も折れよう」

 そう告げて、ルビはマーティナを抱きしめた。

 ――嬉しい!

 彼の背中に手を回したいのにさせてもらえない。それがささやかな抵抗で、線引きなのだろう。

「ルビさん?」
「俺は兵器だからな。魔物との戦いが終われば、鉱物に戻る。この体を失っても、鉱物に戻る。鉱物には精霊として情報が保持されるから、意識は失われない。だから、君たちの言う死について、恐怖を覚えることはない。体を失うことを残念に思うことはあるが、すべてを失うわけではないからだ」

 艶めいたことから程遠い学術的な話題。鉱物人形たちとともに任務にあたる前に講義で聞いた内容に、マーティナは首を傾げる。ルビの意図がわからない。

「勉強しているので、鉱物人形のそういった知識はありますけど……それが?」
「君が、とても恐れていることがわかった。誰かに触れることで、自分が生きていることを感じたいのだろう。触れ合いたいと願うことを、性愛の衝動として錯覚しているんだ」
「なる……ほど?」

 腑に落ちないところはあるのだが、ルビが何を伝えようとしているのか、その上で何に対して折れようと言い出したのか、なんとなくは伝わった。
 マーティナが頷くと、ルビは頬を寄せた。

「ならば、俺は譲歩する。こうして触れることで君の不安を払拭できるなら、俺は君の心を守るために体を差し出そう」
「えっと……あの、でも、やっぱり、私……」

 ――私が不安を感じている? 魔物との戦闘が怖かったから?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...