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面倒ごとは金剛石の隣で【第2部完結】
*8* 10月14日月曜日、15時過ぎ
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「……そうだった。中間テスト」
紅も立ち上がる。いくらか試験勉強も進めてはきたが、時間は無駄にはできない。
「あたしも帰るわ」
抜折羅に確認するように告げる。彼は頷いた。
「今日の試験はこれでおしまいってことで、解散にしましょう。――星章先輩、屋敷を貸してくださってありがとうございました」
「いえ。はじめは白浪との勝負がきっかけですからね。このくらいはしますよ。――その様子ですと、紅を送るつもりのようですね」
「えぇ。車もありますし」
「すっかり恋人面ですね」
冷たい蒼衣の台詞は紅にも刺さる。
「まさか。紅を心配しているのは事実ですが、必要だと思うことをしているだけです」
探りを入れるような台詞でも、抜折羅は平常心を保っている様子できっぱり答える。仕事モードの彼であれば、基本的に動じない。
「その主張にもし偽りがあるなら、私は容赦しませんよ?」
「お好きなようにどうぞ。ただ、紅を悲しませるような決断はしないでください。彼女のフィアンセだと語るのでしたら」
「…………」
蒼衣は抜折羅の挑発に言い返して来なかった。
――珍しく、蒼衣兄様の完敗って感じね……。
ちょっぴり可哀想な感じがするが、掛ける言葉が浮かばない。余計なことを言って、ことを荒らげるのは避けたいところだ。かろうじて凪いでいるうちに退散するとしよう。
――で、彼も気にした方がよさそうなのよね……。
紅の右隣に座る陽太の表情も注意したいところだった。彼の目線はそれぞれをしっかり捉えて、観察をしているように見える。様子を窺うにしては鋭い眼差しに、紅は警戒を緩めることができない。彼が日本に来たのは抜折羅の監視と蒼衣との交渉が目的のはずだが、それ以外にも目論見があるのかも――と感じさせるものがあった。
「ではまた。ごきげんよう、蒼衣兄様」
荷物をまとめると、紅は食堂を出る。抜折羅の蒼衣への挨拶が聞こえた後、足音が近付いてきた。
「紅、火群の家まで送るよ」
「うん、お願い。――しっかし、星章先輩によくあんな台詞を言えたわね。驚いたわ」
「彼にはもう少し冷静さを取り戻してもらわないと。注意喚起にはあれくらい言っておかないと効き目がないだろ」
「逆効果になってないことを祈るわよ」
顔を見合わせると、二人で小さく笑う。今までで一番近い場所に抜折羅を感じたような気がした。
紅も立ち上がる。いくらか試験勉強も進めてはきたが、時間は無駄にはできない。
「あたしも帰るわ」
抜折羅に確認するように告げる。彼は頷いた。
「今日の試験はこれでおしまいってことで、解散にしましょう。――星章先輩、屋敷を貸してくださってありがとうございました」
「いえ。はじめは白浪との勝負がきっかけですからね。このくらいはしますよ。――その様子ですと、紅を送るつもりのようですね」
「えぇ。車もありますし」
「すっかり恋人面ですね」
冷たい蒼衣の台詞は紅にも刺さる。
「まさか。紅を心配しているのは事実ですが、必要だと思うことをしているだけです」
探りを入れるような台詞でも、抜折羅は平常心を保っている様子できっぱり答える。仕事モードの彼であれば、基本的に動じない。
「その主張にもし偽りがあるなら、私は容赦しませんよ?」
「お好きなようにどうぞ。ただ、紅を悲しませるような決断はしないでください。彼女のフィアンセだと語るのでしたら」
「…………」
蒼衣は抜折羅の挑発に言い返して来なかった。
――珍しく、蒼衣兄様の完敗って感じね……。
ちょっぴり可哀想な感じがするが、掛ける言葉が浮かばない。余計なことを言って、ことを荒らげるのは避けたいところだ。かろうじて凪いでいるうちに退散するとしよう。
――で、彼も気にした方がよさそうなのよね……。
紅の右隣に座る陽太の表情も注意したいところだった。彼の目線はそれぞれをしっかり捉えて、観察をしているように見える。様子を窺うにしては鋭い眼差しに、紅は警戒を緩めることができない。彼が日本に来たのは抜折羅の監視と蒼衣との交渉が目的のはずだが、それ以外にも目論見があるのかも――と感じさせるものがあった。
「ではまた。ごきげんよう、蒼衣兄様」
荷物をまとめると、紅は食堂を出る。抜折羅の蒼衣への挨拶が聞こえた後、足音が近付いてきた。
「紅、火群の家まで送るよ」
「うん、お願い。――しっかし、星章先輩によくあんな台詞を言えたわね。驚いたわ」
「彼にはもう少し冷静さを取り戻してもらわないと。注意喚起にはあれくらい言っておかないと効き目がないだろ」
「逆効果になってないことを祈るわよ」
顔を見合わせると、二人で小さく笑う。今までで一番近い場所に抜折羅を感じたような気がした。
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