宝石の呪いで逆ハーになりましたが、やっぱり嬉しくありません!

一花カナウ

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【番外編】キューピットストーンの粋な計らい

*15*【AB】

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 ぼそぼそと聞こえてくる抜折羅ばさらの声は英語のようで、電話の相手がタリスマンオーダー社の関係者なのだろうとこうは推測する。

 ――慌てている感じだったけど、誰からの電話なんだろう?

 態度がいつもと違うと気になるものだ。わざわざ距離を取ったことを考えると、仕事に関した話なのだろうか。

「ふーん。手を出すなって言われると、出したくなっちゃう性なんだけど、抜折羅くんはわかってないね」
「えぇ、本当に」

 遊輝ゆうきと二人きりにされてしまった。タルトを食べさせてあげなかった報復がくるとすれば、おそらく今だ。

「ふふっ、警戒してるね」

 紅の正面に遊輝が入り込む。長い銀髪がふわりと揺れた。

「当然でしょう?」

 一歩退く紅の手を素早く取ると、遊輝は易々と引き寄せる。

「ちょっ!?」

 腰に左腕が回され、空いた右手は紅の頬に触れる。輪郭をなぞるようにして顎に指先が到達すると、そっと持ち上げられた。一連の動作が慣れすぎていて無駄がない。

「捕まえた。警戒しているわりには、いつも簡単に僕の腕に収まっちゃうよね」
「放して下さいっ」

 顎を持ち上げられているためか、うまく大声を出せない。身体をよじれば、しっかりと腰を密着させられて逃げ場がない。
 焦る紅を、熱を帯びた赤い瞳が見つめている。次はどうしてやろうかと企てている表情だ。

「抜折羅くんを選んだというなら、君は僕を嫌う努力をすべきなんだと思うよ?」
「だから、放してって――んっ!!」

 唇が触れ合う。
 最初は軽く。次に触れたあとには唇を舌でなぞられた。その瞬間、背中がぞくりとする。

「んっあっ……」

 キスをされていると理解している。だが、身体が対処に移らない。
 遊輝の唇が離れて、顔に掛かる前髪が彼の細い指先でそっと端へと寄せられる。赤い瞳に映る自分の惚けた顔が、ものすごくいやらしく感じられた。

「――君の唇は甘酸っぱいね。もっと味わわせて」

 ――だ、ダメっ!!

 拒む台詞は声になることはなく。
 無理やりこじ開けられた唇の隙間から彼の長い舌が入り込む。

「んんぅっ……」

 口を塞がれるように口付けされて息苦しく、否応なく口を開けば、歯列をなぞっていた舌がぬるりと奥に入ってきた。紅の舌に触れると、愛撫するように優しく舐められる。その刺激は身体の奥まで届いて、意識をとろりと溶かしていく。

「んぅ……」

 心地よさに抗えない。相手が抜折羅ではないという事実は心をささくれ立たせるが、この刺激に夢中になってしまう自分を抑えることは難しかった。

「――ずいぶんとキスが上手になったね。とろんとした顔をしちゃって、気持ち良いんだ?」
「……違っ……はぁ……はぁ……」

 息が上がってしまっている。鼓動も早く、身体が熱い。
 紅は恥ずかしくて彼から顔を背ける。できればここから逃げたいのだが、遊輝の腕は腰をしっかりと支えて離してくれなかった。

「隠さなくても良いのに。正直に答えないなら、身体に直接訊いてあげようか?」
「ひゃっ」

 頬を撫でていた右手が首筋をなぞる。敏感になっていたのか、肌に触れられるだけで変な声が出てしまう。

「可愛い声で僕を煽るのも上手になったね」
「煽って……ないですってば」

 横目に遊輝の顔を見ると、安心したように微笑んでいるのがわかった。紅を苛めて楽しんでいるのではなく、反応を確認できてほっとしているみたいに感じられる。

「そうかな? 男と遊ぶことを覚えたみたいに見えるんだけどな」

 遊輝の手のひらが紅の胸にあてがわれた。存在感のある大きな膨らみの形を確認するように撫でられると、ざわざわと肌が反応する。

「やっ……」

 そのうちに胸の先端に手のひらが当たり、押すようにしながら擦られた。

「ひゃんっ」

 普段は決して感じない甘い痺れに、紅は身を震わせた。服の上からだというのに、刺激が強くて身悶えしてしまう。口を開けば、自分のものとは思えない甘ったるい声が漏れて、紅は懸命に声を押し殺した。

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