31 / 39
第二章 地帝国生活編
第三十話 目無し
しおりを挟む
『もう見えてきてるわよ。今のうちに私の手綱でも握ったほうが怪しまれないんじゃない?』
「そうだな。さっきの町でもそうだったし、疑われることは目に見えてるからな。そうするか」
手綱を握り、両目を包帯で縛る。頭に鉢巻きを巻いて目元まで下ろした感じになったな。といっても、五、六重に巻いて周りが見えないようにしてるんだけどね。完全感知があるから大丈夫だ。
まあ、目を隠す理由はまた後ほど。
「ん?貴様、眼が見えないのに手綱を握っているな。なぜだ?」
「スイマセン。あ、冒険者の登録カードです」
「む?ほう。眼が見えないのにBランクとは、なかなかやるようだな」
「ありがとうございます。あ、この町のギルドマスターってどんな人ですか?」
「ああ。美人でとても優しいお人だ。でも怒るととんでもなく恐ろしいらしいから気をつけろよ」
「分かりました。情報ありがとうございます」
なるほど。分かったことは、女性、美人、優しい、でも怒ると怖い。なるほど、絶対怒らせてはいけない人決定だな。あまり怒ることはないだろうけど、怒ったらめちゃくちゃ怖いタイプだな。
ダンジョンに行ってわざわざ聞く必要がなくなったな。
「あ、そこの君!なぜ包帯を巻いてるんだ?何か犯罪歴でもあるのかい?なら悪いことは言わない。早く自首したほうがいい」
「申し訳ありませんが、犯罪歴などありません。今からギルドへ行くので邪魔をしないもらえますか?」
「なるほど。ギルドへ自首しに行くのだな。やはり私の言うことに間違いはない!」
ん?こいつなんなの?あれ?黒髪黒目?俺と同郷か。でも見覚えがあるんだよなー。
「(コイツから精霊女帝の気配がします。おそらく称号のとこいつの性格のせいで主様を犯罪者と勘違いしたのかと)」
「(つまりコイツは精霊女帝と契約してるのか?)」
「(いえ。精霊女帝と共に居る精霊かと。たとえあの精霊女帝が助けられたとしても回復には時間がかかるかと思います)」
なるほど。サファイアは優秀だなー。凄くありがたい。
「いい加減にしろ。・・・・・・黙りやがれ」
殺気を込めて威圧をぶつける。ただそれだけで泡を吹いて倒れる勇者もどき(笑)。
・・・・・・だっせえ。
「お前ら。そろそろ行くぞ。この人は貧血気味だったらしい」
「「はーい」」
いくらなんでもそれはないわ。いきなり犯罪者扱いはないわー。
とりあえず、ギルドへ行くか。
ギルドで面白そうな依頼もないので特殊依頼の方に向かうと、何枚か貼られていた依頼の中に『バトルトーナメント』の団体戦で一人で優勝するというものだった。
ふーん。依頼人は・・・・・・え?国王?面会不要?優勝すれば10倍の値段で優勝賞金をくれる?楽しませてくれればどう金額を更に追加で?これ面白そうだ。で、契約金が・・・・・・大金貨一枚?報酬が黒貨一枚?
つまり優勝賞金が白金貨一枚ってコトか?ドンだけハイレベルなんだろう?ま、いっか。今の自分の実力がいまいち分からない状況だからな。
「スイマセン。これでお願いします」
「あらあら。これを受けるのですね。では大金貨を・・・・・・え?そんなポイッと出していいんですか?」
「ええ。このくらいだったら許容範囲ですよ」
「そ、そうなんですか。分かりました。これで完了です。では、明後日なので頑張って下さい。受付でギルドカードを見せれば闘技場に入れますよ」
「ありがとうございます」
ふー。これで完了か。
「なあなあ。あの噂知ってるか?国王の近衛騎士団も出てくるんだってさ」
「うそだろ。じゃああの『目無しの冒険者』も終わりだな。おっと。聞かれてないよな」
俺のことか。どうせさっきの事だろうな。
つーか、目無して。ひっでえ言い方だなおい。
いい宿いい宿。ん?ここがいいな。あんまり人気はないけど、まあいいか。
「こんにちわー」
「いらっしゃい!あんまり人気はないけど、まあまあ人は来てるから安心しておくれ。大部屋でいいかい?」
「まあ、別にいいですよ」
「ベッドはキングとツインがあるけど」
「ツインで」
「「キングで」」
おい、今お前らなんていった?
「・・・・・・ツインで」
「「(・・・・・・キング)」」
よし、地獄見せてやろう。純粋な殺気と威圧をレベルマックスでプレゼントだ。
青筋を浮かべながら広樹は普通に怒った。
「お前ら、部屋でプレゼントをやるよ」
「「やったー!」」
*****
翌朝、精神がズタボロになりかけて・・・・・・いや、ズタボロになった二人が階段から降りてきた。
「あ、あははは。ふざけすぎちゃったなー。もう二度とふざけないようにしようねー」
「えへへへへ。そうだねー。もう二度と怒らせないようにしないとねー」
二人は棒読みで死んだ目をしながら、もう二度とふざけすぎないと心に誓った。
「そうだな。さっきの町でもそうだったし、疑われることは目に見えてるからな。そうするか」
手綱を握り、両目を包帯で縛る。頭に鉢巻きを巻いて目元まで下ろした感じになったな。といっても、五、六重に巻いて周りが見えないようにしてるんだけどね。完全感知があるから大丈夫だ。
まあ、目を隠す理由はまた後ほど。
「ん?貴様、眼が見えないのに手綱を握っているな。なぜだ?」
「スイマセン。あ、冒険者の登録カードです」
「む?ほう。眼が見えないのにBランクとは、なかなかやるようだな」
「ありがとうございます。あ、この町のギルドマスターってどんな人ですか?」
「ああ。美人でとても優しいお人だ。でも怒るととんでもなく恐ろしいらしいから気をつけろよ」
「分かりました。情報ありがとうございます」
なるほど。分かったことは、女性、美人、優しい、でも怒ると怖い。なるほど、絶対怒らせてはいけない人決定だな。あまり怒ることはないだろうけど、怒ったらめちゃくちゃ怖いタイプだな。
ダンジョンに行ってわざわざ聞く必要がなくなったな。
「あ、そこの君!なぜ包帯を巻いてるんだ?何か犯罪歴でもあるのかい?なら悪いことは言わない。早く自首したほうがいい」
「申し訳ありませんが、犯罪歴などありません。今からギルドへ行くので邪魔をしないもらえますか?」
「なるほど。ギルドへ自首しに行くのだな。やはり私の言うことに間違いはない!」
ん?こいつなんなの?あれ?黒髪黒目?俺と同郷か。でも見覚えがあるんだよなー。
「(コイツから精霊女帝の気配がします。おそらく称号のとこいつの性格のせいで主様を犯罪者と勘違いしたのかと)」
「(つまりコイツは精霊女帝と契約してるのか?)」
「(いえ。精霊女帝と共に居る精霊かと。たとえあの精霊女帝が助けられたとしても回復には時間がかかるかと思います)」
なるほど。サファイアは優秀だなー。凄くありがたい。
「いい加減にしろ。・・・・・・黙りやがれ」
殺気を込めて威圧をぶつける。ただそれだけで泡を吹いて倒れる勇者もどき(笑)。
・・・・・・だっせえ。
「お前ら。そろそろ行くぞ。この人は貧血気味だったらしい」
「「はーい」」
いくらなんでもそれはないわ。いきなり犯罪者扱いはないわー。
とりあえず、ギルドへ行くか。
ギルドで面白そうな依頼もないので特殊依頼の方に向かうと、何枚か貼られていた依頼の中に『バトルトーナメント』の団体戦で一人で優勝するというものだった。
ふーん。依頼人は・・・・・・え?国王?面会不要?優勝すれば10倍の値段で優勝賞金をくれる?楽しませてくれればどう金額を更に追加で?これ面白そうだ。で、契約金が・・・・・・大金貨一枚?報酬が黒貨一枚?
つまり優勝賞金が白金貨一枚ってコトか?ドンだけハイレベルなんだろう?ま、いっか。今の自分の実力がいまいち分からない状況だからな。
「スイマセン。これでお願いします」
「あらあら。これを受けるのですね。では大金貨を・・・・・・え?そんなポイッと出していいんですか?」
「ええ。このくらいだったら許容範囲ですよ」
「そ、そうなんですか。分かりました。これで完了です。では、明後日なので頑張って下さい。受付でギルドカードを見せれば闘技場に入れますよ」
「ありがとうございます」
ふー。これで完了か。
「なあなあ。あの噂知ってるか?国王の近衛騎士団も出てくるんだってさ」
「うそだろ。じゃああの『目無しの冒険者』も終わりだな。おっと。聞かれてないよな」
俺のことか。どうせさっきの事だろうな。
つーか、目無して。ひっでえ言い方だなおい。
いい宿いい宿。ん?ここがいいな。あんまり人気はないけど、まあいいか。
「こんにちわー」
「いらっしゃい!あんまり人気はないけど、まあまあ人は来てるから安心しておくれ。大部屋でいいかい?」
「まあ、別にいいですよ」
「ベッドはキングとツインがあるけど」
「ツインで」
「「キングで」」
おい、今お前らなんていった?
「・・・・・・ツインで」
「「(・・・・・・キング)」」
よし、地獄見せてやろう。純粋な殺気と威圧をレベルマックスでプレゼントだ。
青筋を浮かべながら広樹は普通に怒った。
「お前ら、部屋でプレゼントをやるよ」
「「やったー!」」
*****
翌朝、精神がズタボロになりかけて・・・・・・いや、ズタボロになった二人が階段から降りてきた。
「あ、あははは。ふざけすぎちゃったなー。もう二度とふざけないようにしようねー」
「えへへへへ。そうだねー。もう二度と怒らせないようにしないとねー」
二人は棒読みで死んだ目をしながら、もう二度とふざけすぎないと心に誓った。
11
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる