強運と幸運を持ったガチャ好きな召喚者は目標が無いので最強を目指してみた

中沢日秋

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第二章 地帝国生活編

第三十話 目無し

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 『もう見えてきてるわよ。今のうちに私の手綱でも握ったほうが怪しまれないんじゃない?』
 「そうだな。さっきの町でもそうだったし、疑われることは目に見えてるからな。そうするか」

 手綱を握り、両目を包帯で縛る。頭に鉢巻きを巻いて目元まで下ろした感じになったな。といっても、五、六重に巻いて周りが見えないようにしてるんだけどね。完全感知があるから大丈夫だ。
 まあ、目を隠す理由はまた後ほど。

 「ん?貴様、眼が見えないのに手綱を握っているな。なぜだ?」
 「スイマセン。あ、冒険者の登録カードです」
 「む?ほう。眼が見えないのにBランクとは、なかなかやるようだな」
 「ありがとうございます。あ、この町のギルドマスターってどんな人ですか?」
 「ああ。美人でとても優しいお人だ。でも怒るととんでもなく恐ろしいらしいから気をつけろよ」
 「分かりました。情報ありがとうございます」

 なるほど。分かったことは、女性、美人、優しい、でも怒ると怖い。なるほど、絶対怒らせてはいけない人決定だな。あまり怒ることはないだろうけど、怒ったらめちゃくちゃ怖いタイプだな。
 ダンジョンに行ってわざわざ聞く必要がなくなったな。

 「あ、そこの君!なぜ包帯を巻いてるんだ?何か犯罪歴でもあるのかい?なら悪いことは言わない。早く自首したほうがいい」
 「申し訳ありませんが、犯罪歴などありません。今からギルドへ行くので邪魔をしないもらえますか?」
 「なるほど。ギルドへ自首しに行くのだな。やはり私の言うことに間違いはない!」

 ん?こいつなんなの?あれ?黒髪黒目?俺と同郷か。でも見覚えがあるんだよなー。

 「(コイツから精霊女帝どぶのなかの泥にも満たないゴミクズの気配がします。おそらく称号のとこいつの性格のせいで主様を犯罪者と勘違いしたのかと)」
 「(つまりコイツは精霊女帝と契約してるのか?)」
 「(いえ。精霊女帝と共に居る精霊かと。たとえあの精霊女帝どぶのなかの泥にも満たないゴミクズが助けられたとしても回復には時間がかかるかと思います)」

 なるほど。サファイアは優秀だなー。凄くありがたい。

 「いい加減にしろ。・・・・・・黙りやがれ」

 殺気を込めて威圧をぶつける。ただそれだけで泡を吹いて倒れる勇者もどき(笑)。
 ・・・・・・だっせえ。

 「お前ら。そろそろ行くぞ。この人は貧血気味だったらしい」
 「「はーい」」

 いくらなんでもそれはないわ。いきなり犯罪者扱いはないわー。
 とりあえず、ギルドへ行くか。

 ギルドで面白そうな依頼もないので特殊依頼の方に向かうと、何枚か貼られていた依頼の中に『バトルトーナメント』の団体戦で一人で優勝するというものだった。

 ふーん。依頼人は・・・・・・え?国王?面会不要?優勝すれば10倍の値段で優勝賞金をくれる?楽しませてくれればどう金額を更に追加で?これ面白そうだ。で、契約金が・・・・・・大金貨一枚?報酬が黒貨一枚?
 つまり優勝賞金が白金貨一枚ってコトか?ドンだけハイレベルなんだろう?ま、いっか。今の自分の実力がいまいち分からない状況だからな。

 「スイマセン。これでお願いします」
 「あらあら。これを受けるのですね。では大金貨を・・・・・・え?そんなポイッと出していいんですか?」
 「ええ。このくらいだったら許容範囲ですよ」
 「そ、そうなんですか。分かりました。これで完了です。では、明後日なので頑張って下さい。受付でギルドカードを見せれば闘技場に入れますよ」
 「ありがとうございます」

 ふー。これで完了か。

 「なあなあ。あの噂知ってるか?国王の近衛騎士団も出てくるんだってさ」
 「うそだろ。じゃああの『目無しの冒険者』も終わりだな。おっと。聞かれてないよな」

 俺のことか。どうせさっきの事だろうな。
 つーか、目無して。ひっでえ言い方だなおい。
 いい宿いい宿。ん?ここがいいな。あんまり人気はないけど、まあいいか。

 「こんにちわー」
 「いらっしゃい!あんまり人気はないけど、まあまあ人は来てるから安心しておくれ。大部屋でいいかい?」
 「まあ、別にいいですよ」
 「ベッドはキングとツインがあるけど」
 「ツインで」
 「「キングで」」

 おい、今お前らなんていった?

 「・・・・・・ツインで」
 「「(・・・・・・キング)」」

 よし、地獄見せてやろう。純粋な殺気と威圧をレベルマックスでプレゼントだ。

 青筋を浮かべながら広樹は普通に怒った。

 「お前ら、部屋でプレゼントをやるよ」
 「「やったー!」」

   *****

 翌朝、精神がズタボロになりかけて・・・・・・いや、ズタボロになった二人が階段から降りてきた。

 「あ、あははは。ふざけすぎちゃったなー。もう二度とふざけないようにしようねー」
 「えへへへへ。そうだねー。もう二度と怒らせないようにしないとねー」

 二人は棒読みで死んだ目をしながら、もう二度とふざけすぎないと心に誓った。
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