職も家も失った元神童は、かつてのライバルに拾われる

小倉みち

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第1章

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 竹中と俺は、その高級ワインを浴びるように飲んだ。

 しこたま飲んだ。


 それはもう、記憶がなくなるくらいに。


 朝目が覚めて、自分が竹中の家のベッドで爆睡していることに気づくと、全身から血の気が引く心地がした。


 が、俺が心配するようなことは何も起こっていないらしい。


 俺は昨日と同じ、竹中が用意してくれたダサい灰色のスウェットを着ていたし、周囲には俺の無責任さを象徴するようなゴミは、とりあえず転がっていなかった。


 俺は二日酔いでガンガンと痛む頭を抑えながら、スマホを片手で探る。

 俺が寝ている間に充電してくれていたのだろう、100%充電済みの表記が見えた。


 ――その上。

「ひっ」

 と、口から思わず悲鳴が零れる。

「やっべ」


 もう朝の9時だ。

 完全に、会社に遅刻――いや。


「そういやもう、俺無職なんだった」


 無職ついでに、家も金もない。

 お先真っ暗だ。


「ハハハ……」

 乾いた笑い声とともに、腹が高らかに鳴る。


 人間どんな状況下でも、腹は空くのだろう。


 竹中は既に、家にはいないみたいだった。

 
 リビングに、

「仕事に行ってきます。家を出るときは、そのカギを使ってください。朝ごはんはテーブルの上に載っています。 竹中」

 という、几帳面な文字の踊る置手紙があった。


 竹中は仕事があるみたいだ。

 そりゃそうだろう。


 普通は、みんな仕事に出かける時間帯だ。


 イレギュラーなのは、俺だけ。


 俺はひとまず、テーブルの上に載っていた冷たい白米を口に掻きこんだ。
 
 
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