生き別れの兄が魔法使いだった

小倉みち

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第2章

週末

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 お兄ちゃんに仕事をさせるにあたって、前提となる戸籍やらなんやらをまずはどうにかしなきゃいけなかったんだけど。


 私は平日学校があるし、市役所は土日祝日定休日だし、そもそも週末は、お兄ちゃんと一緒に異世界に行く予定だし。


 かといってあの超世間知らずな薫を1人で外出させるわけにもいかないし。


 誰かに頼むしかないかなあ。

 あの担任はちょっと嫌だから、頼むなら近所の人とか? 


 でも、多分あの兄を見て、

「花ちゃん大丈夫?」

「その人、本当にお兄さんなの? あなたの」

「警察呼ぼうか?」

 と言うだろう。


 第三者から見れば当然だろう。

 私だって、友達が急に、

「10年以上前に行方不明になった兄が、両親の死んだ数日後に戻ってきた」

 なんて言い出したら、心底疑う。


 それに、私だって未だにこの男が私の兄なのか疑わしいと思っている。


 そんな人間を自分の家に住まわせて平気なのかという人もいるだろうけど、あの兄の様子を見ていればわかる。


 あれは、悪いことを考える人ではない。

 そういう脳みそを持っていないタイプの人間だ。


 だからこそ私は安心して最悪の状況を考えずに、この居候を家に住まわせているわけだ。


 平日は穏やかだった。


 私は学校へ行き、その間兄は家事をしてくれている。

 必死で掃除機や洗濯機の使い方を叩き込んだ甲斐があった。


 正直、家事は私の一番苦手とする部分だったから、私の代わりにやってくれる人がいて少し気が楽になった。


 学校では相変わらず面倒な担任が、授業料や生活費の話や、

「家であなたの世話をしたい」

 なんていう、優しい自分に酔った発言をしており、私は常々身震いしているけれど。


 その辺をうまく回避し、腫れ物に触るような扱いを気にしないようにしつつ、ようやく週末がやって来た。


 お兄ちゃんとともに、初めて異世界に行く日だ。

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