生き別れの兄が魔法使いだった

 星野 花(ほしの はな)は女子高生。


 特に勉強が出来るわけでも、運動が出来るわけでも、何か芸に秀でているわけでもない、至って普通の高校生だ。

 友達も人並みにいて、それなりの幸せな人生を送っている。


 1つ違うのは、彼女の親は本当の親じゃないことだ。


 花がほんの小さな赤ちゃんだったころ、本当の両親と兄が交通事故でなくなり、天涯孤独となった花は違う両親に育てられた。

 だが、彼女は自分の過去をそんなに気にしていない。

 両親と兄が死んだのは彼女が物心つく前だったし、そもそも今の両親は本当に良い人たちだからだ。


 しかし、その幸せも長くは続かなかった。

 彼女の義両親も、また交通事故で命を落としてしまう。


 意気消沈する彼女は、いつも通り学校から家に帰る道沿いで、男子小学生たちに虐められる背の高い男を見かけた。


 あまりに可哀想で、思わず助けた彼女に向かって、青年は朗らかに言った。


「やあ、花。久しぶりだね」

「―――――――は?」

「実のお兄ちゃんだよ。もしかして、覚えてない?」

「―――――――へ?」

「実はね、あの事故の衝撃で僕は異世界に転移したんだ。今は魔法使いをやってる――さあ、花。僕と一緒に異世界へ行こう!」
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