生き別れの兄が魔法使いだった

小倉みち

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第2章

服装

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 私はリビングルームで、教科書とワーク、ノートを開いていた。


 明日、数学の授業がある。

 提出課題は特にないけれど、あの先生、出席番号順に当ててくるから。

 次は私の番だった。


 わざわざ予習をするほど真面目に生きているわけではない。

 お父さんとお母さんが生きていたころは、土日によく3人で遊びに行ってたし。


 だけど、私は今1人だ。


 ……いや、訂正。

 1人じゃないな。


 兄がいる。


 しかし今、この家で私は1人きりだ。


 異世界を1人で散歩する勇気もないし、遊びに行く友達もここにはいない。


 することがないから、私は暇つぶしに持ってきた数学の教科書を開いて予習することにしたのだ。


 ついでに、定期テストの課題に出そうなワークの問題をやっておけば、あとで後悔せずに済むだろう。


「……おい」

「何?」


 突然、頭上から声が聞こえた。


 尊大な声色。


 バーナードだ。


 確かそう言えば、薫がバーナードを家に呼んだって言ってたっけ?

 半分寝てたから、ほとんど聞き流してたけど。


「お前、その服はなんだ?」


 私は顔を上げる。


 しっかりと服を着たバーナードは、仁王立ちをしていた。

 自分の顔を、両手でしっかりを覆っている。


 これが異世界式のデフォルトの立ち姿なのだろうか。


「服?」

 私は自分の着ている服を見つめる。


 バーナードか来るってことを完全に失念していたから、私が今着ているのは部屋着だ。


 人と会う格好ではないかもしれないが、別段おかしいところはないはず。


「なんで下着で家をうろつきまわっているんだ?」

「下着? 違うけど。これ、部屋着だから。下着なら、この中に着てる」

「それが下着じゃないなら、何が下着なんだ? ……そんな肌を露出して、恥ずかしいとは思わないのか!?」


 そんな怒鳴り散らされてもと、私は困惑する。


 だって今私が着てるの、中学校のときの体育のジャージだ。

 半袖半パン。


「それが淑女の服装なのかよ!」


 バーナードは嘆いていた。

「異世界の女って、露出狂なのか……?」


 この男が何を言いたいのかさっぱりわからないが。

 少なくとも、今思いきり馬鹿にされたことだけはわかった。



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