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第1章
パーティ
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――話を戻して。
私とマリナは、王妃主催のパーティ会場に足を運んだ。
相変わらず、豪奢なパーティだ。
城の大広間には大きなシャンデリア。
端には細長いテーブルが並ぶ、ビュッフェ形式。
あの料理たちは、この国で有名なシェフをわざわざ呼びつけて作らせている。
何よりも凄いのは、パーティに参加する人々の服装だった。
いくつもの宝石が使われたアクセサリーに、今夜のパーティのためにこさえられたドレス。
あの辺を買うとなると、庶民の一生分の賃金でも足りない。
それを彼ら貴族は、1日だけのために平気で買うのだ。
「お久しぶりですね、アリエッタ嬢」
ぼんやりしていると、ふと誰かに声をかけられる。
「あっ、すみません……。お久しぶりですわ、ライリー第二王子殿下」
私は慌ててお辞儀をする。
「いつも婚約者と仲良くしてくれてありがとう」
「いえいえ、そんな。お世話になっているのは、いつも私の方ですので」
美しいブロンド髪の貴公子は、ふんわりと微笑んだ。
彼は、ライリー殿下。
私の婚約者である第一王子の弟で、友人のマリナの婚約者でもある。
未来の義理の弟になる人だ。
「ライリー様、ごきげんよう」
「ごきげんよう、マリナ――今日の君も凄く素敵だね。そのドレス、似合っているよ」
彼は見た目にそぐわず、大変麗しい紳士で、マリナは彼にぞっこんだった。
彼もマリナをよく思っているみたいで、2人は本当にお似合いのカップルである。
正直、羨ましい。
「そう言えば、アリエッタ嬢。今日は珍しいね。王妃のパーティに来るなんて」
「ああ……。それが、王妃様と第一王子殿下に直接来てくれとお願いされまして」
「へえ」
ライリー殿下は少し目を丸くする。
「あの2人が」
「はい」
確かに、少し不思議ではある。
あの2人はとても派手好きで、反対に私は質素な方を好んでいる。
それを汲んでくれているのか、普段はパーティに誘われることはなく、なぜ急にそんなことを言われたのか気になってはいた。
「それなのに、兄上の姿が見えませんが……」
「ええ。何か用事があるとかで」
普通、婚約者のいる女性はその相手と一緒に行事に参加することが多い。
だが、今日の第一王子殿下はかなり忙しいらしく、
「すまないが、今日は1人で出てくれ」
と、言われてしまった。
「誘っておいて女性を1人にするとは……。兄上が大変失礼いたしました」
「いえいえ、お気になさらないでくださいませ」
そのくらい、どうってことない。
未来の王の婚約者としての覚悟はきちんと出来ているから。
少し寂しさもあるが、殿下の忙しさに理解はあるつもりだ。
「皆様方、大変お待たせいたしました」
上の方で、今日の司会者が私たち参加者に声をかけた。
「それではただいまより、王妃陛下主催のパーティを開催いたします!」
私とマリナは、王妃主催のパーティ会場に足を運んだ。
相変わらず、豪奢なパーティだ。
城の大広間には大きなシャンデリア。
端には細長いテーブルが並ぶ、ビュッフェ形式。
あの料理たちは、この国で有名なシェフをわざわざ呼びつけて作らせている。
何よりも凄いのは、パーティに参加する人々の服装だった。
いくつもの宝石が使われたアクセサリーに、今夜のパーティのためにこさえられたドレス。
あの辺を買うとなると、庶民の一生分の賃金でも足りない。
それを彼ら貴族は、1日だけのために平気で買うのだ。
「お久しぶりですね、アリエッタ嬢」
ぼんやりしていると、ふと誰かに声をかけられる。
「あっ、すみません……。お久しぶりですわ、ライリー第二王子殿下」
私は慌ててお辞儀をする。
「いつも婚約者と仲良くしてくれてありがとう」
「いえいえ、そんな。お世話になっているのは、いつも私の方ですので」
美しいブロンド髪の貴公子は、ふんわりと微笑んだ。
彼は、ライリー殿下。
私の婚約者である第一王子の弟で、友人のマリナの婚約者でもある。
未来の義理の弟になる人だ。
「ライリー様、ごきげんよう」
「ごきげんよう、マリナ――今日の君も凄く素敵だね。そのドレス、似合っているよ」
彼は見た目にそぐわず、大変麗しい紳士で、マリナは彼にぞっこんだった。
彼もマリナをよく思っているみたいで、2人は本当にお似合いのカップルである。
正直、羨ましい。
「そう言えば、アリエッタ嬢。今日は珍しいね。王妃のパーティに来るなんて」
「ああ……。それが、王妃様と第一王子殿下に直接来てくれとお願いされまして」
「へえ」
ライリー殿下は少し目を丸くする。
「あの2人が」
「はい」
確かに、少し不思議ではある。
あの2人はとても派手好きで、反対に私は質素な方を好んでいる。
それを汲んでくれているのか、普段はパーティに誘われることはなく、なぜ急にそんなことを言われたのか気になってはいた。
「それなのに、兄上の姿が見えませんが……」
「ええ。何か用事があるとかで」
普通、婚約者のいる女性はその相手と一緒に行事に参加することが多い。
だが、今日の第一王子殿下はかなり忙しいらしく、
「すまないが、今日は1人で出てくれ」
と、言われてしまった。
「誘っておいて女性を1人にするとは……。兄上が大変失礼いたしました」
「いえいえ、お気になさらないでくださいませ」
そのくらい、どうってことない。
未来の王の婚約者としての覚悟はきちんと出来ているから。
少し寂しさもあるが、殿下の忙しさに理解はあるつもりだ。
「皆様方、大変お待たせいたしました」
上の方で、今日の司会者が私たち参加者に声をかけた。
「それではただいまより、王妃陛下主催のパーティを開催いたします!」
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