わけあって、変人ストーカーと結婚することになりました

 伯爵令嬢アリエッタの目下の悩みは、とある男につきまとわれていることだった。


 彼の名前は、ラリー・モーガン。

 公爵である。


 麗しい容姿を持つ彼は、異常なまでに人嫌いだった。


 そんな彼に、アリエッタはひょんなことからストーカー行為を受けるようになってしまったのだ。

 害のあるストーカーではないが、1日中彼女の後ろについて回ったり、毎日毎日薔薇の花を送ってきたり。

 ともかく、鬱陶しいほど視界に現れてくる。


 そんなある日、彼女は婚約者である第一王子から、パーティ会場で婚約破棄を言い渡された。

 青天の霹靂である。


 彼は自分の恋人と結ばれるため、長年彼を慕っていたアリエッタをあっさりと捨てたのだ。


 人々の目の前で、「傷物」だと侮辱される彼女。


 しかし、その瞬間――。

 彼女を庇うように立ちはだかったモーガン公爵は、こう言い放った。


「つまり、彼女は私がいただいても良いということですね?」

「――ということですので。アリエッタ嬢、私と結婚してください」


 かくして、アリエッタは自分をストーカーしていた変人と成り行きで結婚することになってしまった。
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