すべてが嫌になったので死んだふりをしたら、いつの間にか全部解決していました

小倉みち

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きっかけ③

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 私はため息をついた。


 いつものことだ。

 いつも妹は、そうわけのわからないことを言う。


「殿下を譲れって?」

 私は苛立ちを隠そうともしなかった。

「どういう意味?」


「そのままの意味よ」

 彼女はまるで、魔王に立ち向かう勇者のような面持ちだ。


 つまり、私が魔王扱いというわけ。


「私と殿下は、愛し合っているの」

「はいはい。そのようね」


 私は適当に相槌を打つ。


 愛し合っていると言っても。

 所詮は、子ども同士の恋愛だ。


 盛り上がるだけ盛り上がって、実は「恋愛」じゃなかった。


 その想いは、それはそれは小さいもの。

 だけど、「公爵令嬢へテーゼ」という巨大な障壁があることにより、相乗効果によって大きく見えているだけ。


 というか。

 それが浮気に値するってこと、この人たちは理解しているのだろうか。


「お姉様のような性格の悪い人に、渡す気はありませんわ!」

 私の態度に腹が立ったのか、フィリアは叫んだ。

「殿下と私も、お姉様には苦労しておりますもの」


 ……は?

 苦労?


 苦労しているのは、こっちなんですけど。


 いい加減にしろくらいは言ってやろうと、立ち上がったその瞬間――。


 彼女は言った。


「お姉様に虐められているって、みんなに告げ口してやりますから! 孤立してみんなに嫌われているお姉様と私、一体どっちにみんな味方するんでしょうね」

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