すべてが嫌になったので死んだふりをしたら、いつの間にか全部解決していました

小倉みち

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妖精王

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「えっ」


 でも、そんなの。


「勝手に決めちゃって良いの?」

「大丈夫」

「大丈夫」

「妖精王様は優しいから」

「へテーゼのこと、大好きだから」


 ルビーとサファイアは、行こうと私を誘ってくる。


 確かに突拍子もない案だけど、それはそれで良い響きがする。

 私は妖精たちと一緒に楽しく過ごせるし、あの人たちに対しても――。


 私がいなくなったことを、心底後悔してほしいと思ってるから。




「なるほど」


 ビリビリと張り詰めた空気。

 緊張感漂う様子。


「お前は、私に魂を抜いてくれと願っているのか?」

「は、はい……」

 私は頷く。

「よろしければ、妖精たちの仲間に入れてほしいのです」


 ルビーとサファイアは、私を妖精王の元へ案内してくれた。

 彼は森の奥深く、人間では見ることの出来ない妖精たちの住みかがあり、そこで暮らしている。


 私は一度だけ、彼と会ったことがある。


 妖精たちと仲良くなり始めたころ、突然この住みかに招待された。

 妖精王は注意深く幼い私を観察した後、


「お前のような子どもが、我が眷属たちを害することはないだろうな」

 とだけ、言った。


 今思えば、あれは歓迎してくれていたということなのだろうか。


「良いでしょう? 妖精王様」

「へテーゼが来てくれたら、私たち嬉しい」

「嬉しい」


 こんな状況なのに、ずっとルビーとサファイアは楽しそうだった。


「……」

 妖精王は、少し考えるそぶりを見せる。

「へテーゼ、お前はそれで良いのだな? どうも、こいつらがお前を無理やりここに連れてきたように見えるが」


「酷ーい」

「妖精王様、酷い!」


 騒ぐ2人。


「あっ、はい」

 私は頷いた。

「確かに2人からの提案でしたけど、本当に私は人間を辞めたいんです。もう疲れてしまって」

「そうか……」


 妖精王は、玉座から立ち上がった。


「我が妖精族の友人よ、承知した。お前はいつも我が眷属たちと仲良くしてくれている。今日はその礼をしてやろう」

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