すべてが嫌になったので死んだふりをしたら、いつの間にか全部解決していました

小倉みち

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家出 ~フィリア視点~

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 あの日以来、お姉様は帰ってこなくなった。


 あの日はお姉様に、

「殿下を譲れ」

 と、詰め寄ったときのことだ。


 お姉様は相変わらず不愛想で、冷たかった。

「忙しいの」

 と、冷たい言葉を言い放つお姉様。


 それに苛立った私は、つい、

「お姉様に虐められているって、みんなに告げ口してやりますから!」

 と、言った。


 事実そうだ。

 お姉様は冷たい。


 だからみんなに嫌われている。


 反対に、明るくて優しい私が殿下と結ばれるのも当然のことだった。


 しかしその日、お姉様は帰ってこなくなった。

 お姉様が屋敷から出る様子をみんな見ていたらしいが、いつもの通りどこかで時間を潰しているのだろうと気にも留めなかった。


 1日、2日、3日、4日……。

 お姉様が屋敷に戻ってくることはなかった。


 自分の仕事もしないでどこをほっつき歩いているんだとお父様もお母様も怒っていた。


 私が、

「もしかすると、私が殿下と付き合っているのが気に入らなかったのかも」

 と、泣きながら言うと、

「だとしても、あいつが悪い」

「あの子が殿下を引き止められなかったのが悪いのよ。魅力がないから」

 そう2人とも言ってくれていた。


 あの2人は、昔から私の味方なのだ。


 その慰めにより、少し私はホッとする。


 なんだ。

 あの言葉のせいじゃなかったんだ。


 そうだとしても、私は悪くない。


 だって本当のことを言っただけだもん。


 それを聞いて傷ついたふうに家を出たお姉様が悪い。

 あの人は、みんなの気を引きたいだけ。


 どうせすぐ、音を上げて戻ってくるわ。

 だってあの人は、仕事をしなきゃ生きていけない人だし――。


 1週間後。

 確かにお姉様は帰って来た。


 いや、お姉様の身体だけは。


 使用人が、森の中で倒れているお姉様を連れて帰ってきたのだ。

 もう既に冷たく、息もしない空っぽのお姉様を。
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