前前世、前世で私を殺した婚約者と、今世もまた婚約するそうですが

小倉みち

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第3章

盗聴

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 盗聴?


 一体どういうこと?

 盗聴器がこの部屋に?

 誰が?

 どういう目的で?


 血の気が引いていく。

 背筋が凍り、その代わりに心臓がバクバクと脈打つ。

 ゾッとした。


 ということは、今までの会話や何もかも、誰かに全部聞かれて――。

 いや、落ち着こう。

 落ち着け、私。


 私は部屋で何もおかしなことは言っていないはずだ。

 それっぽい独り言も言っていないはずだし、そもそも前の私には協力者もいないので、内なる心を言葉にする機会がなかった。


 それに、盗聴ということはあくまで音だけを聞かれているということ。

 部屋の中で私がどういう行動を取ったり、いつ部屋を抜け出しているのかまでは把握していないはず。


 ――良かった。

 とりあえずクロードが私の味方のようで、ひとまず安心する。


 早い段階で知れて良かった。

 もしこれが少しでも遅ければ、クロードがそのことに気づかなかったら、大変なことになっていただろう。


 私はとりあえず、クロードが寄越したものであろうメモに従って1日を過ごす。

 ほかの授業中や昼食、夕食の時間もいつも通りに過ごした。


 変に大人しかったり無邪気な子どもを演じれば、余計に疑われそうで怖かった。


 そうしていつものように授業を終えた私は、目を瞑って時間が過ぎるのを待つ。


 ――そして。

 午前2時。


 いつも以上に神経を張って疲れているけれど、興奮して一睡も出来なかった私は、重い身体を引きずってベッドから起き上がり、ゆっくりと音を立てずに自分の部屋から出た。


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