【完結】恋がしたい? どうぞご勝手に

小倉みち

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 警察は続ける。


「今回は、殺人未遂と過失傷害の両方でユーリ被告を逮捕することになります」


 ユーリは、私を殺そうとした。

 そのために、古代に暗殺でよく使用されていた毒を調合した。


「その時点で、殺人の計画を実行しようとしていることに値するので、殺人未遂罪が適用されます」


 しかし、殺人は行われなかった。

 私を殺そうとして用意したその毒は、彼らの不注意によって塩と間違えられ、パトリックが口に運んだ。


「ここでは、過失傷害罪も問うことが出来ます。ユーリ被告がきちんと毒を管理していれば、パトリック様が誤って口に入れることはなかったわけですから」


 ヒメナの罪については、微妙だとも話してくれた。

「彼女がその計画に関わっていた場合、ユーリ被告と同じ罪を背負うことになります。しかしもし、彼女が関わっていなかった場合、罪に問うことは出来ません。基本的に不作為犯として扱われるのは、親が子どもに食事を与えなかったなどの場合ですから」


 つまり。

 彼女がもし計画に関わっていなかった場合。

 計画を知っていても、その計画に関与が見られなかった場合。


 彼女は私を見殺しにしようとしたことにはなるが、その程度では罪にならないということだ。


「今回の事件は、1歩間違えれば大変なことになるかもしれない凶悪なものでした」

 その人は言った。

「公爵令嬢殺害未遂並びに、公爵子息に対する過失傷害罪。最悪の場合、2人の命が失われたということになりかねませんからね――それに、2人はパトリック様が飲んだ毒が自分たちの用意したものであると知っていながらも、黙っていたのです。自分たちのせいであるにも関わらず、それを知ったうえで自分の保身に走った。反省の色が全く見えません」

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