ヤンデレ王子とだけは結婚したくない

小倉みち

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第1章

初対面

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「あ、あの」


 だがひとまず、目の前のマクシミリアン殿下をどうにかしなければならない。


 なんでお父様と陛下は、私と彼を2人きりにしたのだろうか。

 私もそうだけど、幼少期のマクシミリアン殿下は結構大人しい性格だ。


 大人しい性格同士を無理やり2人きりにさせても、会話なんて生まれるはずがない。


「ええっと」

 私は引きつった笑顔を浮かべる。

「……とりあえず、どうしますか?」

「どうとは?」


 殿下はぶっきらぼうだった。


 いやいやいや。

 なんか提案してくれよ。

 そうじゃないと、この気まずい空気をどうも出来ない。


「ええっと」

 私は周囲を見渡す。


 ここは、城の中だった。


 どうしよう。

 何をすれば。

 この苦痛な時間を消費出来るだろうか。


 というか、この子。

 あまりにも対人能力なさ過ぎないか?


 推しとはいえ、接しているとだんだんイライラしてくるな。


 虐めるまでにはいかないけど、悪役令嬢ハリエットの気持ちもわからんでもないわ。


 私はなんとか考えに考えて、ひねり出す。

「わ、私。お城に来たの初めてなんで……。庭園に行ってみたいなあ、なんて」

「そう。じゃあ僕は忙しいから、ここで」

「えっ」


 マクシミリアン殿下はとんでもないことを言い出し、その場を立ち去る。


 私は呆然と、彼が去っていく様を見つめていた。


 ……凄いな、この子。



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