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第1章
義務
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正式に王子の婚約者となった令嬢には、様々な義務が生じる。
当然未来の王子妃、私に至っては王妃となる存在だからだ。
それなりのものだけ身に着けていれば良いものではない。
未来の王子妃、王妃らしい振る舞いを、教養を身につけなければならなくなる。
第一王子の婚約者として正式に発表された次の日から、公爵令嬢ハリエットの人生は劇的に変化した。
まずは、勉学。
まだ学園に通う年齢でない私は、公爵家の屋敷で数人の家庭教師に授業してもらっていた。
それらは全て、学園に入ってから周囲に取り残されないようにするための、軽い予習みたいなものであった。
しかし、そんなぬるま湯では王子の婚約者は務まらない。
王家の意向で、すぐに家庭教師たちは辞めさせられるか、それとも数日前の優しい様子とは180度変わった鬼のような形相で、私に帝王学を叩き込んでいく。
朝から晩まで毎日、休む暇もなく勉強、勉強、勉強、勉強……。
食事や風呂の時間も、休むことは出来ない。
常に両親や王家からやってきたマナー講師の目線が光っているのだ。
少しでも私が王族らしからぬ振る舞いをすると、やり過ぎレベルで叱ってくる。
私は泣きそうだった。
いや、というか既に何度か泣いた。
人前で泣くとまた、
「王子の婚約者ともあろう人が、人前で泣くんじゃありません!」
と、叱られそうだったので、唯一の憩いの場である睡眠の時間に、布団の中で泣いた。
次の日、しっかり腫れ上がった瞼を見て、家庭教師たちは険しい顔をする。
「どうしたのですか? その顔」
「いいえ、なんでもありませんわ」
本当、やり過ぎだと思う。
王子の婚約者だと言っても、私はまだ5歳だ。
中身は違うけど、あくまで外見は5歳児だ。
そんな幼気な少女に厳しい教育を施そうとするだなんて、無慈悲にも程がある。
――しかし。
何よりも一番、私にとって苦痛だった義務とは。
定期的に、婚約者と顔を合わせ、話をすることだった。
当然未来の王子妃、私に至っては王妃となる存在だからだ。
それなりのものだけ身に着けていれば良いものではない。
未来の王子妃、王妃らしい振る舞いを、教養を身につけなければならなくなる。
第一王子の婚約者として正式に発表された次の日から、公爵令嬢ハリエットの人生は劇的に変化した。
まずは、勉学。
まだ学園に通う年齢でない私は、公爵家の屋敷で数人の家庭教師に授業してもらっていた。
それらは全て、学園に入ってから周囲に取り残されないようにするための、軽い予習みたいなものであった。
しかし、そんなぬるま湯では王子の婚約者は務まらない。
王家の意向で、すぐに家庭教師たちは辞めさせられるか、それとも数日前の優しい様子とは180度変わった鬼のような形相で、私に帝王学を叩き込んでいく。
朝から晩まで毎日、休む暇もなく勉強、勉強、勉強、勉強……。
食事や風呂の時間も、休むことは出来ない。
常に両親や王家からやってきたマナー講師の目線が光っているのだ。
少しでも私が王族らしからぬ振る舞いをすると、やり過ぎレベルで叱ってくる。
私は泣きそうだった。
いや、というか既に何度か泣いた。
人前で泣くとまた、
「王子の婚約者ともあろう人が、人前で泣くんじゃありません!」
と、叱られそうだったので、唯一の憩いの場である睡眠の時間に、布団の中で泣いた。
次の日、しっかり腫れ上がった瞼を見て、家庭教師たちは険しい顔をする。
「どうしたのですか? その顔」
「いいえ、なんでもありませんわ」
本当、やり過ぎだと思う。
王子の婚約者だと言っても、私はまだ5歳だ。
中身は違うけど、あくまで外見は5歳児だ。
そんな幼気な少女に厳しい教育を施そうとするだなんて、無慈悲にも程がある。
――しかし。
何よりも一番、私にとって苦痛だった義務とは。
定期的に、婚約者と顔を合わせ、話をすることだった。
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