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第1章
昼食
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「どんまい、マコ」
メールやSNSなら確実に(笑)がつくであろうテンションで、雛子は声をかけてきた。
私の隣人である。
ここは休憩室。
さっき松井さんに体中の穴という穴から様々な体液が出るくらいこってり絞られ、出がらしとしてオアシスから潤いを取り戻している最中。
私をマコ呼ぶこの女と一緒に、どうでもいいことをグダグダと話している。
自然に会話が切れたとき、雛子の繋ぎの一言がこれだった。
「どんまいってなによ、どんまいって。せめて助け舟を出してよー」
出せるはずもないノアの箱舟を乞い、苦笑いされる。
我ながら、かなりのわがまま。
「無理に決まってんじゃん。ババアに目つけられちゃったら、私辞めちゃうしかなくなっちゃうもん」
「もん」ってなんだよ、「もん」って。
可愛こぶっても通じる年齢はおよそ幼児期までだよバーカ。
彼女と私は数奇な関係だ。いわゆる幼馴染とかいうやつである。
正直、幼馴染はイケメンで賢くて優しくて、そんでもって私のことが大好きという三拍子そろった素敵な男性のほうがよかったのだが、そんな少女漫画的世界の星に生まれなかったので仕方がない。
だが、幼馴染であるのにもかかわらず、私たちにはミラクルで仕方のない事実がそこにあった。
幼馴染というよりは、あまりにも他人であったのだ。
彼女とは小学生のころから同じところに通ってはいたものの、ついにその存在を認識することのなく、中学に入ってから二言三言ほど声を交わした程度だった。
「高木さん、これ落ちたよ」
「ああ、ありがとう」
高校に入ってから所属するグループは違うものの、処世術を身に着け、本当の意味でのコミュニケーション能力を手に入れた私たちは、準友達の位置に落ち着いた。
そして現在、照らし合わせずして大学、就職先も同じだったことに驚き、運命だねと笑いあう関係になる。
「高木さん→真琴ちゃん→マコ」
と呼び名が変わるまでに、どれほど相手に対して気を遣って生活していったか知らないが、それも全部ひっくるめて、お互いの嫌なところひっくるめて、遅咲きの幼馴染ポジションに雛子を置いているのだ。
「でもさ、どうすんのよ?」
「へ?」
私が頭の中で、知らない誰かに雛子との過ぎ去りし日々を存分に語っている間、現実では彼女が相変わらずのマシンガントークを済ませていたようだ。
普段私が聞いているようで聞いていないぼんやりした人間だと思っている雛子は、そこまで不快にも思わずにさっきの話を要約する。
「松井さんから今日中にあの分厚い資料纏めておけって言われてるでしょ?あんなの普通無理よ。どうするの?」
女の会話なんてほとんど中身があってないようなものだ。私が心の中でべらべら喋っている間、彼女の一方的な会話の内容はこれっぽっちである。
「それは、やるしかないでしょ」
「私もそうだけど、他の同期も先輩も、多分手伝ってくれないわよ。ヒステリックババアに関わりたくないから」
ならそんな話しないでくれよ。
せっかく忘れようとしていたのに。
「適当でいいのよ。あんた真面目なんだから。あんなやつの言うことなんていちいちまともに受け止めていたら、身体が持たないわよ」
「……うん。そうね」
珍しく心配そうな顔をしている雛子。
そんな顔するなら頼むから手伝ってくれ。
「ほら、元気だしてよマコ。これあげるから」
いやあんたが私の元気を剥ぎ取ったんだろと本当のことを言うわけにもいかず、また目の前の宝石箱にテンションが急上昇し、私の心は複雑極まりない様子となる。
「神様仏様雛子様! ありがとうございますぅ」
「お礼なら私のお兄ちゃんに言ってよね」
「雛子様のお兄様、いつもいつもお世話になっております感謝感激雨あられ!」
いつもの光景である。
まともに料理ができない食事難民の私に、いつも雛子はお兄様特製のお弁当を持ってきてくれる。もちろん買いで。
今日のお弁当はスクランブルエッグ丼をベースにした「母のお弁当」スペシャル。
スクランブルエッグと白米だって?
と、考える人もいるかもしれない。
だが、たんぽぽ色でふわっふわな柔らかい羽織の卵の下に、艶々と陶器のように輝く、しかし優しさの雫のような白米。
スクランブルエッグの隠し味は恐らくチーズとマヨネーズ?
最っ高。
さっきチンして貰ったので、白い湯気がゆらゆらと立ち込めており、またそれが食欲をそそる。
香りも抜群だ。
さらに、横に添えられたウインナーとブロッコリーの炒め物がまた素晴らしい。
大量生産では出来るだずのない、いい塩梅の焼き色。
息子の健康のために、朝からブロッコリーという火の通りにくいものをお弁当に入れるお母さんの姿が見えて、涙が出てくる。
まさに「母の味」。
はよ食えよと言いたげな雛子の視線を感じ、急いでお弁当を掻き込む。
まずはスクランブルエッグ丼。
まずは何も掛けずに一口いただく。
やはりチーズとマヨネーズであった。
彼らが卵と白米の本来の味を押し殺さず、だがクリーミーな風味となり口いっぱいに広がる。
マヨネーズのほのかな酸味は甘い白米とよく合い、すっきりとした後味を生み出している。
醤油を掛けてもいい。
醤油の塩分が丼にアクセントを与えてくれる。
三角食べなんてものを意識せずに、いつの間にか目の前の丼はいなくなってしまった。
次はウィンナーとブロッコリーの炒め物だ。二つとも同時に頂く。
「んーっ」
思わず声が漏れ、口から笑みが零れ落ちる。
文句なしだ。
ウィンナーのパリッとした食感、中からじわりと溢れ出てくる肉汁。
よく火の通ったブロッコリーは、油をたっぷりと吸い込み、柔らかくしなって私の喉の奥へと吸い込まれていく。
完食。
いやあ、今日も素晴らしかった。
「やーん。雛子のお兄様と結婚したーい」
雛子は苦笑いで答える。
「いやあんた、結婚前提で付き合ってる彼氏いるじゃん」
だが、私の雰囲気に嫌なものを感じ取ったのか、
「え?いや、あの……まじで?」
一気に気まずい雰囲気になる。
私は無言で首を垂れた。
「……え、だってさ。プロポーズ、らしきこともされたんだよ、ね?」
「ちょっと聞いてよ、それがさー」
ここが会社であることもすっかり忘れてしまい、なぜ別れたのか、相手がどんなに最低なのかを泣き叫びながら雛子に訴え、私はまた松井さんに怒鳴られることとなった。
メールやSNSなら確実に(笑)がつくであろうテンションで、雛子は声をかけてきた。
私の隣人である。
ここは休憩室。
さっき松井さんに体中の穴という穴から様々な体液が出るくらいこってり絞られ、出がらしとしてオアシスから潤いを取り戻している最中。
私をマコ呼ぶこの女と一緒に、どうでもいいことをグダグダと話している。
自然に会話が切れたとき、雛子の繋ぎの一言がこれだった。
「どんまいってなによ、どんまいって。せめて助け舟を出してよー」
出せるはずもないノアの箱舟を乞い、苦笑いされる。
我ながら、かなりのわがまま。
「無理に決まってんじゃん。ババアに目つけられちゃったら、私辞めちゃうしかなくなっちゃうもん」
「もん」ってなんだよ、「もん」って。
可愛こぶっても通じる年齢はおよそ幼児期までだよバーカ。
彼女と私は数奇な関係だ。いわゆる幼馴染とかいうやつである。
正直、幼馴染はイケメンで賢くて優しくて、そんでもって私のことが大好きという三拍子そろった素敵な男性のほうがよかったのだが、そんな少女漫画的世界の星に生まれなかったので仕方がない。
だが、幼馴染であるのにもかかわらず、私たちにはミラクルで仕方のない事実がそこにあった。
幼馴染というよりは、あまりにも他人であったのだ。
彼女とは小学生のころから同じところに通ってはいたものの、ついにその存在を認識することのなく、中学に入ってから二言三言ほど声を交わした程度だった。
「高木さん、これ落ちたよ」
「ああ、ありがとう」
高校に入ってから所属するグループは違うものの、処世術を身に着け、本当の意味でのコミュニケーション能力を手に入れた私たちは、準友達の位置に落ち着いた。
そして現在、照らし合わせずして大学、就職先も同じだったことに驚き、運命だねと笑いあう関係になる。
「高木さん→真琴ちゃん→マコ」
と呼び名が変わるまでに、どれほど相手に対して気を遣って生活していったか知らないが、それも全部ひっくるめて、お互いの嫌なところひっくるめて、遅咲きの幼馴染ポジションに雛子を置いているのだ。
「でもさ、どうすんのよ?」
「へ?」
私が頭の中で、知らない誰かに雛子との過ぎ去りし日々を存分に語っている間、現実では彼女が相変わらずのマシンガントークを済ませていたようだ。
普段私が聞いているようで聞いていないぼんやりした人間だと思っている雛子は、そこまで不快にも思わずにさっきの話を要約する。
「松井さんから今日中にあの分厚い資料纏めておけって言われてるでしょ?あんなの普通無理よ。どうするの?」
女の会話なんてほとんど中身があってないようなものだ。私が心の中でべらべら喋っている間、彼女の一方的な会話の内容はこれっぽっちである。
「それは、やるしかないでしょ」
「私もそうだけど、他の同期も先輩も、多分手伝ってくれないわよ。ヒステリックババアに関わりたくないから」
ならそんな話しないでくれよ。
せっかく忘れようとしていたのに。
「適当でいいのよ。あんた真面目なんだから。あんなやつの言うことなんていちいちまともに受け止めていたら、身体が持たないわよ」
「……うん。そうね」
珍しく心配そうな顔をしている雛子。
そんな顔するなら頼むから手伝ってくれ。
「ほら、元気だしてよマコ。これあげるから」
いやあんたが私の元気を剥ぎ取ったんだろと本当のことを言うわけにもいかず、また目の前の宝石箱にテンションが急上昇し、私の心は複雑極まりない様子となる。
「神様仏様雛子様! ありがとうございますぅ」
「お礼なら私のお兄ちゃんに言ってよね」
「雛子様のお兄様、いつもいつもお世話になっております感謝感激雨あられ!」
いつもの光景である。
まともに料理ができない食事難民の私に、いつも雛子はお兄様特製のお弁当を持ってきてくれる。もちろん買いで。
今日のお弁当はスクランブルエッグ丼をベースにした「母のお弁当」スペシャル。
スクランブルエッグと白米だって?
と、考える人もいるかもしれない。
だが、たんぽぽ色でふわっふわな柔らかい羽織の卵の下に、艶々と陶器のように輝く、しかし優しさの雫のような白米。
スクランブルエッグの隠し味は恐らくチーズとマヨネーズ?
最っ高。
さっきチンして貰ったので、白い湯気がゆらゆらと立ち込めており、またそれが食欲をそそる。
香りも抜群だ。
さらに、横に添えられたウインナーとブロッコリーの炒め物がまた素晴らしい。
大量生産では出来るだずのない、いい塩梅の焼き色。
息子の健康のために、朝からブロッコリーという火の通りにくいものをお弁当に入れるお母さんの姿が見えて、涙が出てくる。
まさに「母の味」。
はよ食えよと言いたげな雛子の視線を感じ、急いでお弁当を掻き込む。
まずはスクランブルエッグ丼。
まずは何も掛けずに一口いただく。
やはりチーズとマヨネーズであった。
彼らが卵と白米の本来の味を押し殺さず、だがクリーミーな風味となり口いっぱいに広がる。
マヨネーズのほのかな酸味は甘い白米とよく合い、すっきりとした後味を生み出している。
醤油を掛けてもいい。
醤油の塩分が丼にアクセントを与えてくれる。
三角食べなんてものを意識せずに、いつの間にか目の前の丼はいなくなってしまった。
次はウィンナーとブロッコリーの炒め物だ。二つとも同時に頂く。
「んーっ」
思わず声が漏れ、口から笑みが零れ落ちる。
文句なしだ。
ウィンナーのパリッとした食感、中からじわりと溢れ出てくる肉汁。
よく火の通ったブロッコリーは、油をたっぷりと吸い込み、柔らかくしなって私の喉の奥へと吸い込まれていく。
完食。
いやあ、今日も素晴らしかった。
「やーん。雛子のお兄様と結婚したーい」
雛子は苦笑いで答える。
「いやあんた、結婚前提で付き合ってる彼氏いるじゃん」
だが、私の雰囲気に嫌なものを感じ取ったのか、
「え?いや、あの……まじで?」
一気に気まずい雰囲気になる。
私は無言で首を垂れた。
「……え、だってさ。プロポーズ、らしきこともされたんだよ、ね?」
「ちょっと聞いてよ、それがさー」
ここが会社であることもすっかり忘れてしまい、なぜ別れたのか、相手がどんなに最低なのかを泣き叫びながら雛子に訴え、私はまた松井さんに怒鳴られることとなった。
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