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第4章
朝食作り
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フライパンの上で、ジューという美味しそうな音色が聞こえる。
火加減は中火。
こまめにひっくり返して確認する。
すると、だんだん白がきつね色に変わってくるのがわかる。
私は、吐息を漏らす。
自分でも、出来るんだ。
焼け焦げた可哀想な人参しかできなかった私が、ただパンを焼くとはいえ、綺麗な色合いを作り出している。
「上手く水分が抜けたら、皿に移せよ」
隣の冬馬さんの命令に、私は深く頷いた。
朝食作り。
冬馬さんが、私の一番初めの料理は、これでいいだろうと決定づけた。
私は食パンを注意深く焼く。
近くの調理場には、キャベツとトマト、オレンジが私を待ち構えている。
彼らは私に迫ってこない。早くやれとか、遅いとか、そんなことは言わないでくれている。
「だから、安心して食パンを焼いてくれ」
と、冬馬さんは言っていた。
「くれぐれも、焦るなよ」
冬馬さんの熱狂的とも言える指導のおかげで、私はそこそこ成長したように思う。
と言っても、地球滅亡から環境破壊にランクアップしただけだが、みんな死ぬわけじゃないレベルなのでしっかりと許容範囲である。
対して、冬馬さんは私の隣で、せっせと人参を煮込んでいた。
何をしているのだろうか。
人参特有の、あの臭みのある甘い匂いに吐き気がするも、これでもかと言うほど入れまくっていたレモン汁と砂糖のおかげで、何とか持ち越すことが出来た。
私、人参ちょっと苦手なんだよね。
味噌汁とかサラダに入ってるのは良いんだけど、ハンバーグに添えられているやつなんか、変に甘くて無理。
食パンがしっかり焼けたあとは、サラダである。
キャベツは千切り。
側面に向けて滑らせるように刃を下に落とすと、細く切る事が出来る。
ちょっと大きさがまちまちなのはご愛嬌。
別に料理家になるわけじゃないし。
トマトもオレンジも、くし切りにする。
中心から等分に切ればいいのだが、超絶不器用という名の称号を持つ私にとって、恐ろしいこと限りない。
ゆっくり包丁を入れていく。猫の手を忘れてはいけない。
慎重に、慎重に。
力を入れずに。
冬馬さんが先に包丁を研いでおいてくれたおかげで、いつもより格段に切りやすい。
ひと段落着いたのか、冬馬さんが私を見守ってくれている。
彼の新鮮を感じながら、一気に包丁を落とした。
……よし。
出来た。
多少の大きさのばらつきは、許してほしい。
真っ白な陶器の皿に、花の小皿を乗せる。
大きいフロアにはキャベツをどっさりと。
その上にはトマトを放射線状に並べる。
花の小皿には、何切れかオレンジを並べる。
それを二人分持って、テーブルの上に置いた。
完成だ。
ほっと一息ついた。傍から見れば、ただ食パンを焼いてサラダ作ってオレンジ切っただけにしか見えないだろうが、ご飯を炊くだけで炊飯器を壊していた昔の私に比べれば、ものすごい進歩である。
冬馬さんは鍋とドレッシングを持ってきた。
鍋には赤橙色の甘いどろどろが入っている。
ドレッシングは冬馬さんの手作りだ。
それにしても、鍋に入っている物体はなんなんだろう。
「「いただきまーす」」
手を合わせていつもの挨拶をし、まずはサラダを口に運ぶ。
うむ、上手い。
自分で作ったにしては、上手く出来ている。
切り方は少しばらばらだが、目立ってひどいわけではない。
一般人レベルに達しているのかもしれない。
それにしても、このドレッシング、めちゃくちゃ美味しい。
さっぱりした酢の味に、パンチの効いたごま油。
サラダがどんどん消えていく。
一体どうやって作ったんだろうか。
ちらっと冬馬さんを盗み見る。
彼は、鍋にスプーンをつっこみ、それをパンに塗り込んでいた。
「あの、それってな「ジャムだ」
毎回聞かれるのがお馴染みとなっており、私の質問にかぶせて彼は回答する。
「ジャムですか? でもさっき、人参入れてましたよね?」
私は、あの人参の匂いをまだ忘れていない。
「人参ジャムだ」
「人参でジャムができるんですか?」
冬馬さんはスマホの画面を見せてくれた。
よく聞くレシピサイトに、「野菜ジャム」という特集がされてあった。
人参の他に、カボチャ、トマト、パプリカ、さつまいもなんてのもあった。
玉ねぎもいる。
「へぇ。結構話題になってるんですねー」
特集記事の見出しの言葉を引用してそう答える。
「最近流行っているらしい。商店街の八百屋のおっさんに作ってくれって言われたから」
「へぇー」
おそらく一生作ることのない物体を眺める。
「冬馬さんも、ネットなんて見るんですねー」
何気ない言葉に、なぜか敏感に反応される。
「はあ?」
「ミシュランに載りたいんでしょう? だったら、ネットを使わずに有名なレストランのコックさんに弟子入りするとかが普通なんでしょう?」
詳しくは知らないが、何となくそんなイメージがある。
「あのなぁ」
思いっきりため息をつかれた。
「俺は、レストランとしてなりたいわけじゃねぇの。定食屋として、ミシュランに載りてぇの」
「えっ」
驚いて口を押さえる。
「だって、ミシュランってレストランしかなれないんじゃ? 私てっきり、店主さんを降ろしてからレストランに変身すると思っていました」
「ミシュランガイドには、レストランとホテルしか載らないのは知ってる。だけどな、その中に定食屋が載るのって、かっこよくないか?」
か、かっこいい……?
かっこいいか?
よくわからないけれど、彼にとってはそうなのだろう。
とりあえず私は首を縦に振った。
「まあそんな話はいいから。ほら、さっさと食え」
冬馬さんは、しきりに鍋を私に見せる。
仕方がないので、スプーンでひと匙掬いとった。
パンの内側に塗り、がぶりと食らう。
「美味しっ」
パリっとしたパンの耳。
柔らかな内側の部分。
その上にたっぷり塗った人参ジャム。
この人参ジャム、本当に美味しい。
あの煮たときの嫌な甘みではなく、キャロットジュースのような、人参の総いいとこ取りである。
嫌な部分だけが全て払拭され、甘ったるくて食べたもんじゃないことはなく、しかしとにかく甘い。
食パンに乗せるにはちょうどいい甘さ。
「野菜ってだけで健康的ですよねー」
果物ではない。
野菜なのだ。
こんなに甘いとはいえ、野菜。
栄養素もさぞかしたくさん入っていることだろう。
「まあ、人参は加熱しても栄養素は壊れないからな。老化防止にも役立つし」
「えっ、なら人参ジャム完璧じゃないですか! 美味しくて栄養も取れるなんて」
「砂糖大量に必要だから、ほとんど意味ないだろうがな」
「あ、そっか……」
火加減は中火。
こまめにひっくり返して確認する。
すると、だんだん白がきつね色に変わってくるのがわかる。
私は、吐息を漏らす。
自分でも、出来るんだ。
焼け焦げた可哀想な人参しかできなかった私が、ただパンを焼くとはいえ、綺麗な色合いを作り出している。
「上手く水分が抜けたら、皿に移せよ」
隣の冬馬さんの命令に、私は深く頷いた。
朝食作り。
冬馬さんが、私の一番初めの料理は、これでいいだろうと決定づけた。
私は食パンを注意深く焼く。
近くの調理場には、キャベツとトマト、オレンジが私を待ち構えている。
彼らは私に迫ってこない。早くやれとか、遅いとか、そんなことは言わないでくれている。
「だから、安心して食パンを焼いてくれ」
と、冬馬さんは言っていた。
「くれぐれも、焦るなよ」
冬馬さんの熱狂的とも言える指導のおかげで、私はそこそこ成長したように思う。
と言っても、地球滅亡から環境破壊にランクアップしただけだが、みんな死ぬわけじゃないレベルなのでしっかりと許容範囲である。
対して、冬馬さんは私の隣で、せっせと人参を煮込んでいた。
何をしているのだろうか。
人参特有の、あの臭みのある甘い匂いに吐き気がするも、これでもかと言うほど入れまくっていたレモン汁と砂糖のおかげで、何とか持ち越すことが出来た。
私、人参ちょっと苦手なんだよね。
味噌汁とかサラダに入ってるのは良いんだけど、ハンバーグに添えられているやつなんか、変に甘くて無理。
食パンがしっかり焼けたあとは、サラダである。
キャベツは千切り。
側面に向けて滑らせるように刃を下に落とすと、細く切る事が出来る。
ちょっと大きさがまちまちなのはご愛嬌。
別に料理家になるわけじゃないし。
トマトもオレンジも、くし切りにする。
中心から等分に切ればいいのだが、超絶不器用という名の称号を持つ私にとって、恐ろしいこと限りない。
ゆっくり包丁を入れていく。猫の手を忘れてはいけない。
慎重に、慎重に。
力を入れずに。
冬馬さんが先に包丁を研いでおいてくれたおかげで、いつもより格段に切りやすい。
ひと段落着いたのか、冬馬さんが私を見守ってくれている。
彼の新鮮を感じながら、一気に包丁を落とした。
……よし。
出来た。
多少の大きさのばらつきは、許してほしい。
真っ白な陶器の皿に、花の小皿を乗せる。
大きいフロアにはキャベツをどっさりと。
その上にはトマトを放射線状に並べる。
花の小皿には、何切れかオレンジを並べる。
それを二人分持って、テーブルの上に置いた。
完成だ。
ほっと一息ついた。傍から見れば、ただ食パンを焼いてサラダ作ってオレンジ切っただけにしか見えないだろうが、ご飯を炊くだけで炊飯器を壊していた昔の私に比べれば、ものすごい進歩である。
冬馬さんは鍋とドレッシングを持ってきた。
鍋には赤橙色の甘いどろどろが入っている。
ドレッシングは冬馬さんの手作りだ。
それにしても、鍋に入っている物体はなんなんだろう。
「「いただきまーす」」
手を合わせていつもの挨拶をし、まずはサラダを口に運ぶ。
うむ、上手い。
自分で作ったにしては、上手く出来ている。
切り方は少しばらばらだが、目立ってひどいわけではない。
一般人レベルに達しているのかもしれない。
それにしても、このドレッシング、めちゃくちゃ美味しい。
さっぱりした酢の味に、パンチの効いたごま油。
サラダがどんどん消えていく。
一体どうやって作ったんだろうか。
ちらっと冬馬さんを盗み見る。
彼は、鍋にスプーンをつっこみ、それをパンに塗り込んでいた。
「あの、それってな「ジャムだ」
毎回聞かれるのがお馴染みとなっており、私の質問にかぶせて彼は回答する。
「ジャムですか? でもさっき、人参入れてましたよね?」
私は、あの人参の匂いをまだ忘れていない。
「人参ジャムだ」
「人参でジャムができるんですか?」
冬馬さんはスマホの画面を見せてくれた。
よく聞くレシピサイトに、「野菜ジャム」という特集がされてあった。
人参の他に、カボチャ、トマト、パプリカ、さつまいもなんてのもあった。
玉ねぎもいる。
「へぇ。結構話題になってるんですねー」
特集記事の見出しの言葉を引用してそう答える。
「最近流行っているらしい。商店街の八百屋のおっさんに作ってくれって言われたから」
「へぇー」
おそらく一生作ることのない物体を眺める。
「冬馬さんも、ネットなんて見るんですねー」
何気ない言葉に、なぜか敏感に反応される。
「はあ?」
「ミシュランに載りたいんでしょう? だったら、ネットを使わずに有名なレストランのコックさんに弟子入りするとかが普通なんでしょう?」
詳しくは知らないが、何となくそんなイメージがある。
「あのなぁ」
思いっきりため息をつかれた。
「俺は、レストランとしてなりたいわけじゃねぇの。定食屋として、ミシュランに載りてぇの」
「えっ」
驚いて口を押さえる。
「だって、ミシュランってレストランしかなれないんじゃ? 私てっきり、店主さんを降ろしてからレストランに変身すると思っていました」
「ミシュランガイドには、レストランとホテルしか載らないのは知ってる。だけどな、その中に定食屋が載るのって、かっこよくないか?」
か、かっこいい……?
かっこいいか?
よくわからないけれど、彼にとってはそうなのだろう。
とりあえず私は首を縦に振った。
「まあそんな話はいいから。ほら、さっさと食え」
冬馬さんは、しきりに鍋を私に見せる。
仕方がないので、スプーンでひと匙掬いとった。
パンの内側に塗り、がぶりと食らう。
「美味しっ」
パリっとしたパンの耳。
柔らかな内側の部分。
その上にたっぷり塗った人参ジャム。
この人参ジャム、本当に美味しい。
あの煮たときの嫌な甘みではなく、キャロットジュースのような、人参の総いいとこ取りである。
嫌な部分だけが全て払拭され、甘ったるくて食べたもんじゃないことはなく、しかしとにかく甘い。
食パンに乗せるにはちょうどいい甘さ。
「野菜ってだけで健康的ですよねー」
果物ではない。
野菜なのだ。
こんなに甘いとはいえ、野菜。
栄養素もさぞかしたくさん入っていることだろう。
「まあ、人参は加熱しても栄養素は壊れないからな。老化防止にも役立つし」
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