崖っぷちOL、定食屋に居候する

小倉みち

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第4章

初詣

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「マコ」

「ん?」

「起きて」

「え? もう朝?」


 私は目をつぶったまま、布団の中をごそごそと動く。


「朝じゃないけど、今から出かけるから」

「えっ、私も?」

「当たり前でしょ」
  

 優しく揺り動かされ、私は目を開けた。


  あまり深く眠れていないので、頭がぼぉっとする。電灯が目をチカチカさせる。
  

 どこ行くのよ、眠いなあと、頭をかきつつゆっくりと身体を起こす。


「何ゆっくりしてんのよ。時間は待ってくれないわよ」
  
 雛子はしびれを切らしたのか、私を急き立てる。

「はいはーい」
  
 ざっくらばんに返して、私は適当な服を着込んだ。

  

 外へ出ると、他の三人が待っていた。

 三人ともカラフルなジャンパーに身を包み、寒そうに手を擦り合わせている。

「遅いぞ」
  
 冬馬さんはそう言って顔をしかめる。
  

 遅いって言われても。

 今、深夜なんですが。


「どこに行くんですか?」
  
 何となくむかつくので冬馬さんを無視して、微小をうかべる夫婦に尋ねる。


「初詣よ。マコちゃん、行ったことない?」
  
 と、奥さん。
  

 もちろんある。

 
 しかし、なぜ今初詣?
  

 スマホで時間を確認する。


 どう考えてもまだ三十一日だ。


「初詣はなぁ、大晦日に行って、神社で除夜の鐘を聞くのがいいんだよ。夜更かししてテレビを見るより、よっぽど健康的だろ?」
  
 と、旦那さん。
  

 いやまあ、確かに健康的だけど。私はやっぱりテレビが捨てられないんだよなー。
  

 深夜の乾ききった空気のせいで、さっきから震えが止まらない。

 このままだと風邪引くんじゃないの? 私。
  

 よく見れば、雛子はばっちり化粧をしている。
  

 言ってくれよ。

 私だけすっぴんとか、恥ずかしいんですけど。
  

 まあ、でも、いいか。

 今までしたことないし。


「どうすんの? 行かないの?」

「行くよ。もう外出てるし」
  
雛子の問いにちゃんと答え、私は彼らの後ろについて行った。
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