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第4章
年越し
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お腹いっぱいになるくらいまでお汁粉を無言で飲み続けていると、あっという間に待ち時間が過ぎたようで、別の神職の方に神主さんは呼び出され、泣く泣く外に出ることになった。
私が無言で汁をすすっている間、スマホをいじったり眠ったりと、おのおの好き勝手に行動していた雛子家は、名残惜しく汁椀を見つめる私を急き立てて玄関から外に出る。
私も、ガラガラと引き戸を閉めて、神社に向かった。
しばらく見なかろうが、相変わらず真っ黒な外の世界は、除夜の鐘をわざわざ聞きに来た近所の連中でごった返していた。さすがに寒いようで、誰もかれも口をつぐんでいる。唯一、元気な大学生どもの声が、ただっぴろい境内に響いていた。
始まった。
鐘の隣に、ハチマキを巻いた男の人が撞木に手をかけた。
よく見たら神主さんだった。
あんたかよ。
ていうか、神職だろうが。
もう何でもあり状態なのに、もはや誰もツッコまないのは田舎特有のゆるさなのだろうか。
何が面白いのかわからない除夜の鐘を、みんな真剣に見つめている。
ゴーン、ゴーンと重低音が、規則正しく周囲を震わせる。
地面が揺れる。
鼓膜がピリピリする。
一回、二回、三回……。
何となく、心の中で数え始めた。
人間というものは殊勝な者で、最初は、
「何が面白いんだ、こんなもの」
と言いたげな表情をしていた、私含め若い連中も、一音一音丁寧に鳴る鐘を見て、自分の心の内にある欲望が浄化される気がしていく。
ゴーン、ゴーンと、それを合図に新しい自分に生まれ変わるような気がした。
脱皮している。次の年のため、古くて汚いものを過去に置いていくのだ。
手をこすり合わせた。
もったいぶって、いつもより丁寧に自分の身体を扱っている。
みんなそうだった。
重々しい表情で、いつもなら、
「あーあ、早く終わってくれないかなー」
なんて言いそうな雛子も、厳粛な面持ちで音に耳を澄ませている。
冬馬さんも、じっと、一心に鐘だけを見つめている。
一通り周りの様子を眺めた後、私も彼らと一緒に除夜を想った。
ふと、私はこの人たちと一緒に年を越すのだと、改めて感じた。
私が無言で汁をすすっている間、スマホをいじったり眠ったりと、おのおの好き勝手に行動していた雛子家は、名残惜しく汁椀を見つめる私を急き立てて玄関から外に出る。
私も、ガラガラと引き戸を閉めて、神社に向かった。
しばらく見なかろうが、相変わらず真っ黒な外の世界は、除夜の鐘をわざわざ聞きに来た近所の連中でごった返していた。さすがに寒いようで、誰もかれも口をつぐんでいる。唯一、元気な大学生どもの声が、ただっぴろい境内に響いていた。
始まった。
鐘の隣に、ハチマキを巻いた男の人が撞木に手をかけた。
よく見たら神主さんだった。
あんたかよ。
ていうか、神職だろうが。
もう何でもあり状態なのに、もはや誰もツッコまないのは田舎特有のゆるさなのだろうか。
何が面白いのかわからない除夜の鐘を、みんな真剣に見つめている。
ゴーン、ゴーンと重低音が、規則正しく周囲を震わせる。
地面が揺れる。
鼓膜がピリピリする。
一回、二回、三回……。
何となく、心の中で数え始めた。
人間というものは殊勝な者で、最初は、
「何が面白いんだ、こんなもの」
と言いたげな表情をしていた、私含め若い連中も、一音一音丁寧に鳴る鐘を見て、自分の心の内にある欲望が浄化される気がしていく。
ゴーン、ゴーンと、それを合図に新しい自分に生まれ変わるような気がした。
脱皮している。次の年のため、古くて汚いものを過去に置いていくのだ。
手をこすり合わせた。
もったいぶって、いつもより丁寧に自分の身体を扱っている。
みんなそうだった。
重々しい表情で、いつもなら、
「あーあ、早く終わってくれないかなー」
なんて言いそうな雛子も、厳粛な面持ちで音に耳を澄ませている。
冬馬さんも、じっと、一心に鐘だけを見つめている。
一通り周りの様子を眺めた後、私も彼らと一緒に除夜を想った。
ふと、私はこの人たちと一緒に年を越すのだと、改めて感じた。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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