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守る ~ランス視点~

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「シャーロットを?」

「ああ」


 陛下は真剣な表情で頷く。

「シャーロットを、我が姪をお前の手で守ってほしい」


 というのも、と陛下は言う。

「最近、妙な噂を聞いた。我が王家の親族である、かの家に害をもたらそうと考えている不届き者がいると」


 国王の表情は陰る。

「ただでさえ、王族関係者である彼らは、政治的な目論見に巻き込まれやすい。彼ら自身があまり政治を好んでいないのにも関わらず、『王妃の実家』という立場によって、政治的立場に否応なしに立たされている。それゆえに、周囲にはその名前を狙って彼らに近づく者や、それを嫌って彼らを攻撃しようとする者まで現れている」


 だからこそ、特に姪であるシャーロットには巻き込ませたくなかった。


「シャーロットは、何も関係ない。それなのに、彼女は結局大人の薄汚い部分に巻き込まれてしまった。あのリアムとかいう男と、その父親が――いや、今それは関係ないな。とにかく、私は彼女を自分の娘のように思っている。可愛い子には旅をさせよとは言ったものだが、命の危険に晒す気はまったくない――そこで、だ。お前には貴族になり、彼女を近くで守る権力を持っていてほしいと考えているのだ」

「シャーロットを、守る……」

 俺は、ポツリと呟く。


「まだこの世界に入ったばかりのお前には、酷かもしれん。だが、決めねばならぬことだ。お前の人生を」

「……人生、ですか」

「お前は彼の家に拾われ、貴族同然の扱いを受けた。彼らは亡き友人のため、困った人間を救うためにそうしたのかもしれないが、彼らがお前に出来ることはそれだけだ。お前は自身の将来を、自身で決めなければならない――それに」


 陛下は一呼吸置いた。


「お前は、シャーロットのことをどう思ってるんだ?」

「……えっと」


 俺はすぐに答えられなかった。

「お、俺は……」

「私が今提案したものに関して、お前が責任を負う必要はない。あくまでこれは、私個人の『頼み』だ。だから、お前がシャーロットを思っていないのであれば、何もする必要はない。自分の好きなように生きるが良い。だが、もしお前がシャーロットを少なからず思っているのであれば。その気持ちを伝えることが出来ない一番の要因が、自分の身分であるならば――この件、お前にとってはなんら悪い話ではないだろう」

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