行方不明だった元婚約者が戻ってきたので、浮気三昧な現婚約者を捨てることにしました

小倉みち

文字の大きさ
65 / 73

守る ~ランス視点~

しおりを挟む
「シャーロットを?」

「ああ」


 陛下は真剣な表情で頷く。

「シャーロットを、我が姪をお前の手で守ってほしい」


 というのも、と陛下は言う。

「最近、妙な噂を聞いた。我が王家の親族である、かの家に害をもたらそうと考えている不届き者がいると」


 国王の表情は陰る。

「ただでさえ、王族関係者である彼らは、政治的な目論見に巻き込まれやすい。彼ら自身があまり政治を好んでいないのにも関わらず、『王妃の実家』という立場によって、政治的立場に否応なしに立たされている。それゆえに、周囲にはその名前を狙って彼らに近づく者や、それを嫌って彼らを攻撃しようとする者まで現れている」


 だからこそ、特に姪であるシャーロットには巻き込ませたくなかった。


「シャーロットは、何も関係ない。それなのに、彼女は結局大人の薄汚い部分に巻き込まれてしまった。あのリアムとかいう男と、その父親が――いや、今それは関係ないな。とにかく、私は彼女を自分の娘のように思っている。可愛い子には旅をさせよとは言ったものだが、命の危険に晒す気はまったくない――そこで、だ。お前には貴族になり、彼女を近くで守る権力を持っていてほしいと考えているのだ」

「シャーロットを、守る……」

 俺は、ポツリと呟く。


「まだこの世界に入ったばかりのお前には、酷かもしれん。だが、決めねばならぬことだ。お前の人生を」

「……人生、ですか」

「お前は彼の家に拾われ、貴族同然の扱いを受けた。彼らは亡き友人のため、困った人間を救うためにそうしたのかもしれないが、彼らがお前に出来ることはそれだけだ。お前は自身の将来を、自身で決めなければならない――それに」


 陛下は一呼吸置いた。


「お前は、シャーロットのことをどう思ってるんだ?」

「……えっと」


 俺はすぐに答えられなかった。

「お、俺は……」

「私が今提案したものに関して、お前が責任を負う必要はない。あくまでこれは、私個人の『頼み』だ。だから、お前がシャーロットを思っていないのであれば、何もする必要はない。自分の好きなように生きるが良い。だが、もしお前がシャーロットを少なからず思っているのであれば。その気持ちを伝えることが出来ない一番の要因が、自分の身分であるならば――この件、お前にとってはなんら悪い話ではないだろう」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。

佐藤 美奈
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。 三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。 だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。 レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。 イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。 「子供の親権も放棄しろ!」と言われてイリスは戸惑うことばかりで、どうすればいいのか分からなくて混乱した。

いいえ、望んでいません

わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」 結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。 だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。 なぜなら彼女は―――

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

処理中です...