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「最悪だよ」
生徒会室にて。
私とユージーンは、先生から任された仕事をこなす傍ら、例の作戦についての話をしていた。
ユージーンは、死ぬほどうんざりだという顔をしている。
「何が?」
「あの作戦じゃ、僕は君の妹と付き合っているって設定だったよな?」
「ええ。そのつもりでお芝居してたけど」
私は資料をホッチキスで止めながら、片手間に会話する。
「最悪だ」
ユージーンは、頭を抱えた。
「わかってたけど。わかったうえで計画を受け入れたけど。それでもキツいな……」
「キツい? 何が?」
「あの女――失礼、君の妹のリリオーネと付き合っていたって周囲に誤解されることだよ」
ユージーンは、かなり私の妹のことが嫌いなようだ。
この点では、私と彼の意見は一致している。
「しかも、僕が彼女に捨てられるとか。嘘とはいえ、耐え切れない」
プライドの高い彼は、妹と付き合っていた雰囲気を醸し出すことさえ、自尊心を傷つける行いらしい。
「それは私も同じよ」
私は答える。
「あなたは今、今までの私と同じ目に遭ってるの。死んでも付き合いたくない男と婚約させられて、挙句の果てに浮気されて捨てられた私と」
私のプライドはズタズタだ。
「もしこれで、あのリリオーネに勘違いされて付きまとわれたりとかしたら……」
「目の前にその姉がいるっていうのに、よくそこまでコケに出来るわね」
呆れはするが、妹を庇う気は一切ない。
「変に勘違いをされないための、シナリオじゃない」
私は言った。
「過去に私とあんたは、あの馬鹿2人を好きだった。でも、2人して慰め合っているうちに、だんだんお互いのことを好きになっていった。先に浮気だのなんだのと糾弾されたのはこっち側だけど、もとはと言えばあいつらが悪いよっていうストーリーなの。確かに過去はそうだったかもしれないけど、今はあなたたちのこと全然好きじゃないってスタンスで行くの」
最悪の場合でも、と続ける。
「私たちはあくまで、噂を広げるだけ。嘘を真にするわけじゃない。何かあったときのために、ユージーンはリリオーネと付き合っているというのは誤解だと、あなたがみんなに訂正すれば良いわ」
生徒会室にて。
私とユージーンは、先生から任された仕事をこなす傍ら、例の作戦についての話をしていた。
ユージーンは、死ぬほどうんざりだという顔をしている。
「何が?」
「あの作戦じゃ、僕は君の妹と付き合っているって設定だったよな?」
「ええ。そのつもりでお芝居してたけど」
私は資料をホッチキスで止めながら、片手間に会話する。
「最悪だ」
ユージーンは、頭を抱えた。
「わかってたけど。わかったうえで計画を受け入れたけど。それでもキツいな……」
「キツい? 何が?」
「あの女――失礼、君の妹のリリオーネと付き合っていたって周囲に誤解されることだよ」
ユージーンは、かなり私の妹のことが嫌いなようだ。
この点では、私と彼の意見は一致している。
「しかも、僕が彼女に捨てられるとか。嘘とはいえ、耐え切れない」
プライドの高い彼は、妹と付き合っていた雰囲気を醸し出すことさえ、自尊心を傷つける行いらしい。
「それは私も同じよ」
私は答える。
「あなたは今、今までの私と同じ目に遭ってるの。死んでも付き合いたくない男と婚約させられて、挙句の果てに浮気されて捨てられた私と」
私のプライドはズタズタだ。
「もしこれで、あのリリオーネに勘違いされて付きまとわれたりとかしたら……」
「目の前にその姉がいるっていうのに、よくそこまでコケに出来るわね」
呆れはするが、妹を庇う気は一切ない。
「変に勘違いをされないための、シナリオじゃない」
私は言った。
「過去に私とあんたは、あの馬鹿2人を好きだった。でも、2人して慰め合っているうちに、だんだんお互いのことを好きになっていった。先に浮気だのなんだのと糾弾されたのはこっち側だけど、もとはと言えばあいつらが悪いよっていうストーリーなの。確かに過去はそうだったかもしれないけど、今はあなたたちのこと全然好きじゃないってスタンスで行くの」
最悪の場合でも、と続ける。
「私たちはあくまで、噂を広げるだけ。嘘を真にするわけじゃない。何かあったときのために、ユージーンはリリオーネと付き合っているというのは誤解だと、あなたがみんなに訂正すれば良いわ」
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