身に覚えのない浮気が原因で婚約破棄されました

小倉みち

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一大イベント

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 噂は、貴族の餌みたいなものだ。


 その身分の高さゆえに、苦しい労働を強いられることがない。

 それなりの責任は有するが、何か問題が起こった場合、下級の者が足切りに遭うだけ。


 要するに、地位が天に近づけば近づくほど、人々は生きるための何かを強いられることはなくなる。

 何をしても良いし、反対に何もしなくても良い。


 つまりそれは、裏を返せば「ものすごく暇」になるというわけだ。


 そんな、暇を持て余した連中が好むのは――。


 事件。


 ちょっとしたものでも良い。


 例えば、誰かと誰かが揉めただとか。

 誰かが怪我をしただとか。


 そんな小さな事実でも、貴族たちは飛びつく。

 飛びつき、自分たちが思い望むままにそれを消費する。


 例え事実とは異なっていたとしても、自分たちが楽しめればそれで良いのだ。


 今回の事件は、彼らにとっての格好のゴシップネタだった。


 第三王子、そして公爵令嬢の姉妹と子息が登場人物。

 この国でもトップクラスの地位に属する者が、現在揉めに揉めている。


 暇な彼らにとっては、これ以上ないくらいの一大イベントだ。


 ――そして。


 そういう単純な存在である噂を好む人間も、また単純な思考をしている。


 こういう場合、みんなは一体誰の味方につくのであろうか。


 身分がより高い方か。

 それとも、容姿が優れている方か。


 ――違う。


 彼らはあくまで、善良だ。

 自分たちが慈悲深い人間だと思っている。


 だからこそ、この場合重要になってくるのは。


 一体どちらかが「被害者」かつ、周囲からの好感度が高い人物であるかということだ。

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