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検査
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次の休日を使って、私たちは城に集合した。
ピートとその従兄弟のDNA検査と顔面精査を行うためだ。
私は教会から、オスカーは騎士団宿舎から城へ向かう。
カトリーヌ王女は元々城に住んでいるし、隣国の王子であるノアは城にホームステイしている。
てっきりウィルもついてくるのかと思ったけど、
「今日は用事があるので失礼します」
と言っていた。
私は驚く。
あんなに私に向かって口酸っぱく、
「私の監視下の元でしかお友達と遊んではいけない」
と言っていたのに。
どうしたのだろうか。
急な心境の変化?
「用事って?」
私は尋ねた。
「あなたには関係のないことですよ」
ウィルはそう答える。
「教えてくれないの?」
「あなたは私の上司ですが、私のプライベートにまで介入するつもりですか?」
「……」
まあ、確かに。
そう言われてしまえば、そうなんだけど。
でも、私のプライベートには片足どころか全身突っ込んでいるくせに、自分の私的領域はちゃんと守ろうとするのは、ちょっと不公平じゃない?
「心配せずとも、私は聖女様のように1人でおかしな行動を取ることはありませんよ。それに、城にはセオドリック殿下もいらっしゃいますし」
「セオドリック殿下は公務で忙しいわよ」
「事前にご連絡したところ、私の代わりに、あなたたちの面倒を見てくださるとおっしゃっておられました」
この男、一国の王子を自分の代理にしやがった。
不敬にもほどがあるでしょうが。
「ともかく、私は行きませんので」
「……わかったわよ」
私は、もやついた心を抱えながら城へ足を運んだ。
城に集合したとはいえ、ノア以外の3人は、そのDNA検査や顔認識システムに関する専門知識などは一切持ち合わせていない。
ノアと専門家たちが機械をいじっているのをぼんやりと見学し、結果が出るまではカトリーヌ王女の部屋でお茶をしながら談笑していた。
そこに、ウィルの言っていた通りセオドリック殿下が加わる。
「申し訳ありません、王子殿下」
私は彼に向かって頭を下げた。
「ウィルが大変失礼なことを」
「良い。気にするな」
セオドリック殿下は可愛い笑顔を私に向けた。
「ウィルと僕は同士だからな。お互い助け合う関係なんだ」
へえ。
なんかこの2人、私に隠れて同盟を組んでいるのかしら。
「それより」
殿下は言う。
「聖女様が復学した理由が、勉学ではなく婚約者に復讐したいと聞いたんだが」
「うっ……」
そうだ。
この人には、本当のことをちゃんと言っていないんだった。
「ウィルから聞いた」
彼の笑顔が、だんだん怖いものに見えてきた。
あの野郎。
殿下にペラペラ喋りやがって。
「え、ええっと……」
私は殿下から視線を逸らす。
ど、どうしよう。
真面目な殿下のことだから、こんな不純な動機で復学しようとした私の魂胆を知られてしまえば、きっと嫌われてしまうと思って。
だが。
「勉学のことはこの際どうでも良い」
殿下は、予想とは違うことを言った。
「へ?」
「だけど、どうして僕に本当のことを教えてくれなかったんだ?」
殿下は悲しそうに目を伏せる。
「君の婚約者がそんな人間だとは、全く知らなかった。僕に相談してくれたら良かったのに」
「で、でも。殿下は忙しいお方ですし」
「僕の妹には助けを求めるのに? 僕と君は所詮そういう関係だったってわけか……」
本日の殿下は、随分とナイーブらしい。
ピートとその従兄弟のDNA検査と顔面精査を行うためだ。
私は教会から、オスカーは騎士団宿舎から城へ向かう。
カトリーヌ王女は元々城に住んでいるし、隣国の王子であるノアは城にホームステイしている。
てっきりウィルもついてくるのかと思ったけど、
「今日は用事があるので失礼します」
と言っていた。
私は驚く。
あんなに私に向かって口酸っぱく、
「私の監視下の元でしかお友達と遊んではいけない」
と言っていたのに。
どうしたのだろうか。
急な心境の変化?
「用事って?」
私は尋ねた。
「あなたには関係のないことですよ」
ウィルはそう答える。
「教えてくれないの?」
「あなたは私の上司ですが、私のプライベートにまで介入するつもりですか?」
「……」
まあ、確かに。
そう言われてしまえば、そうなんだけど。
でも、私のプライベートには片足どころか全身突っ込んでいるくせに、自分の私的領域はちゃんと守ろうとするのは、ちょっと不公平じゃない?
「心配せずとも、私は聖女様のように1人でおかしな行動を取ることはありませんよ。それに、城にはセオドリック殿下もいらっしゃいますし」
「セオドリック殿下は公務で忙しいわよ」
「事前にご連絡したところ、私の代わりに、あなたたちの面倒を見てくださるとおっしゃっておられました」
この男、一国の王子を自分の代理にしやがった。
不敬にもほどがあるでしょうが。
「ともかく、私は行きませんので」
「……わかったわよ」
私は、もやついた心を抱えながら城へ足を運んだ。
城に集合したとはいえ、ノア以外の3人は、そのDNA検査や顔認識システムに関する専門知識などは一切持ち合わせていない。
ノアと専門家たちが機械をいじっているのをぼんやりと見学し、結果が出るまではカトリーヌ王女の部屋でお茶をしながら談笑していた。
そこに、ウィルの言っていた通りセオドリック殿下が加わる。
「申し訳ありません、王子殿下」
私は彼に向かって頭を下げた。
「ウィルが大変失礼なことを」
「良い。気にするな」
セオドリック殿下は可愛い笑顔を私に向けた。
「ウィルと僕は同士だからな。お互い助け合う関係なんだ」
へえ。
なんかこの2人、私に隠れて同盟を組んでいるのかしら。
「それより」
殿下は言う。
「聖女様が復学した理由が、勉学ではなく婚約者に復讐したいと聞いたんだが」
「うっ……」
そうだ。
この人には、本当のことをちゃんと言っていないんだった。
「ウィルから聞いた」
彼の笑顔が、だんだん怖いものに見えてきた。
あの野郎。
殿下にペラペラ喋りやがって。
「え、ええっと……」
私は殿下から視線を逸らす。
ど、どうしよう。
真面目な殿下のことだから、こんな不純な動機で復学しようとした私の魂胆を知られてしまえば、きっと嫌われてしまうと思って。
だが。
「勉学のことはこの際どうでも良い」
殿下は、予想とは違うことを言った。
「へ?」
「だけど、どうして僕に本当のことを教えてくれなかったんだ?」
殿下は悲しそうに目を伏せる。
「君の婚約者がそんな人間だとは、全く知らなかった。僕に相談してくれたら良かったのに」
「で、でも。殿下は忙しいお方ですし」
「僕の妹には助けを求めるのに? 僕と君は所詮そういう関係だったってわけか……」
本日の殿下は、随分とナイーブらしい。
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