39 / 135
身分
「は? だから、私は殿下の――」
「確かに殿下の恋人ではあるでしょうけれど、それ以前にあなたは庶民ですよね。ただの」
「……」
レナは黙り込んだ。
自身が庶民であることに、コンプレックスでも抱いているのだろうか。
「上か下かなんて、私たちはそんなことを言っているわけではありません。あくまでもあなたに『さん』づけをして、きちんと1生徒として扱っています。しかしあなたが殿下だの王家だのと権力を用いようとするなら、こちらもそうするまでです。貴族の権限を用い、無理やりにでもあなたを罰するでしょう」
「我々は、あなたに注意しているんです」
と、生徒会長。
「良いですか? あなたは学園の生徒であり、それは殿下も我々も変わりません。ただの生徒として、我々はあなたの行動を咎めているということをお忘れなきよう」
「……」
レナは何も言わない。
しかし反論することもないから、話は一応これで終了したということなのだろうか。
謝罪も何も言わないが、そこはまあ仕方がない。
「以上で、我々の話は終わります。ほかに言うことがなければ、これで」
生徒会長の言葉で、みんなが空き教室から出て行こうとする。
そんな私たちに向かって、レナは震える声で言った。
「……殿下に捨てられたくせに」
どうやら、私に文句が言いたいらしい。
強張る一同を他所に、私はため息をついて後ろを振り返った。
「殿下に捨てられた、中古品のブスのくせによくも言えるわよね」
「中古品かブスかどうかという、今の言葉は聞かなかったことにします」
これ以上揉めても仕方がないので、私は暴言を受け流した。
「しかし一言アドバイス差し上げるならば、あなたは妃教育を受けていらっしゃいませんよね?」
「は? 何それ?」
「王子妃、ひいては王妃となるための特別な教育のことです。私は殿下と婚約した幼いころより、ずっと陛下より命じられて学んでいました」
「それが何? 自慢?」
「自慢ではありません。第一王子妃となる者として、当然の行いです」
私は続ける。
「あなたは、殿下に王妃を任されたと聞き及んでおります。実際私もこの目でしかと見ましたから、殿下の本心なのでしょう。しかしあなたは今その教育を受けていない。そうですよね?」
それはあくまで、レナは殿下の恋人でしかない。
婚約者でも、王家に認められた存在でもなく、ただ殿下と私的な関係にある人物として表される。
つまり、その殿下の言葉は口約束でしかないものだ。
「あなたは殿下の権力を笠に着ようとしていますが、現実それは不可能な話です。あなたの立場は薄氷にも満たない場所にある。いくら殿下と関係があろうが、貴族社会におけるあなたの存在意義はないに等しい。もしもこれからここで生きていきたいと考えるなら、分別をつけて、もっと周りを見て行動することですよ」
「確かに殿下の恋人ではあるでしょうけれど、それ以前にあなたは庶民ですよね。ただの」
「……」
レナは黙り込んだ。
自身が庶民であることに、コンプレックスでも抱いているのだろうか。
「上か下かなんて、私たちはそんなことを言っているわけではありません。あくまでもあなたに『さん』づけをして、きちんと1生徒として扱っています。しかしあなたが殿下だの王家だのと権力を用いようとするなら、こちらもそうするまでです。貴族の権限を用い、無理やりにでもあなたを罰するでしょう」
「我々は、あなたに注意しているんです」
と、生徒会長。
「良いですか? あなたは学園の生徒であり、それは殿下も我々も変わりません。ただの生徒として、我々はあなたの行動を咎めているということをお忘れなきよう」
「……」
レナは何も言わない。
しかし反論することもないから、話は一応これで終了したということなのだろうか。
謝罪も何も言わないが、そこはまあ仕方がない。
「以上で、我々の話は終わります。ほかに言うことがなければ、これで」
生徒会長の言葉で、みんなが空き教室から出て行こうとする。
そんな私たちに向かって、レナは震える声で言った。
「……殿下に捨てられたくせに」
どうやら、私に文句が言いたいらしい。
強張る一同を他所に、私はため息をついて後ろを振り返った。
「殿下に捨てられた、中古品のブスのくせによくも言えるわよね」
「中古品かブスかどうかという、今の言葉は聞かなかったことにします」
これ以上揉めても仕方がないので、私は暴言を受け流した。
「しかし一言アドバイス差し上げるならば、あなたは妃教育を受けていらっしゃいませんよね?」
「は? 何それ?」
「王子妃、ひいては王妃となるための特別な教育のことです。私は殿下と婚約した幼いころより、ずっと陛下より命じられて学んでいました」
「それが何? 自慢?」
「自慢ではありません。第一王子妃となる者として、当然の行いです」
私は続ける。
「あなたは、殿下に王妃を任されたと聞き及んでおります。実際私もこの目でしかと見ましたから、殿下の本心なのでしょう。しかしあなたは今その教育を受けていない。そうですよね?」
それはあくまで、レナは殿下の恋人でしかない。
婚約者でも、王家に認められた存在でもなく、ただ殿下と私的な関係にある人物として表される。
つまり、その殿下の言葉は口約束でしかないものだ。
「あなたは殿下の権力を笠に着ようとしていますが、現実それは不可能な話です。あなたの立場は薄氷にも満たない場所にある。いくら殿下と関係があろうが、貴族社会におけるあなたの存在意義はないに等しい。もしもこれからここで生きていきたいと考えるなら、分別をつけて、もっと周りを見て行動することですよ」
あなたにおすすめの小説
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました
よどら文鳥
恋愛
ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。
ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。
ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。
更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。
再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。
ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。
後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。
ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。
[完結]貴方なんか、要りません
シマ
恋愛
私、ロゼッタ・チャールストン15歳には婚約者がいる。
バカで女にだらしなくて、ギャンブル好きのクズだ。公爵家当主に土下座する勢いで頼まれた婚約だったから断われなかった。
だから、条件を付けて学園を卒業するまでに、全てクリアする事を約束した筈なのに……
一つもクリア出来ない貴方なんか要りません。絶対に婚約破棄します。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
(完結)あなたが婚約破棄とおっしゃったのですよ?
青空一夏
恋愛
スワンはチャーリー王子殿下の婚約者。
チャーリー王子殿下は冴えない容姿の伯爵令嬢にすぎないスワンをぞんざいに扱い、ついには婚約破棄を言い渡す。
しかし、チャーリー王子殿下は知らなかった。それは……
これは、身の程知らずな王子がギャフンと言わされる物語です。コメディー調になる予定で
す。過度な残酷描写はしません(多分(•́ε•̀;ก)💦)
それぞれの登場人物視点から話が展開していく方式です。
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定ご都合主義。タグ途中で変更追加の可能性あり。
捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。
彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。
さて、どうなりますでしょうか……
別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。
突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか?
自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。
私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。
それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。
7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。