そんなに別れたいとおっしゃるなら、承知いたしました

小倉みち

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寝耳に水 ~セシル視点~

 両親に呼び出された俺は、顔を合わせて早々父に思いきり顔を引っぱたかれた。


「痛っ」


 まさか殴られるとは思わず、俺は横に吹っ飛ばされる。


 部屋にいた大臣が悲鳴をあげた。


「へ、陛下! 落ち着いてください!」


「これが落ち着いていられるか!」


 国王は大臣に怒鳴り散らす。

「こいつの、こいつのせいで、我が国は……」

「ひっ」


 大臣は情けない声をあげて後ずさりした。


「あなた、あなたねぇ」


 母の声は小刻みに震えている。

 怒りを通り越してほとんど泣きそうになっていた。


 俺は殴られた意味を全く理解出来ず、ただ固まってしまっていた。


「お前と言う奴は……!」


 もう一度殴りにこようとする国王を、俺は制す。


「な、なんですか? 一体。お、俺が何をしたって――」

「しらばっくれるな!」


 父親の声で鼓膜が破れそうになる。


 だが一体何に対して怒っているのか、全く見当もつかない。


「だ、だから、なんなんですか急に。急に俺を殴ったりして。場合によっては虐待ですよ!」

「虐待だと!? いけしゃあしゃあと。己のした過ちを謝罪せずに、お前は自分の権利だけを述べようと言うのか!」

「だから、本当に知らないですって! なんの話なんですか!?」


 俺は助けを求めて、大臣の方に視線を向ける。


 両親は完全に頭に血が上っていた。

 この人たちに何を言おうが、まともに会話が成立することはないだろう。


 大臣はしどろもどろになりながら、俺に説明し始めた。


「……殿下が、元婚約者であるスカーレット嬢に対して公共の場で尋常じゃないほどの侮辱をしたと学園と侯爵家から苦情が入っています」

「は?」

「特に公爵家からは、

『王家が我々をないがしろにする気であることはわかった。対応によっては、もう二度と王家を援助し支える気はない』

 との言葉が返ってきています」


 全く話が見えない。

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