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編入
公爵家の使用人が急遽爵位を与えられ、編入したことについて、学園内外でかなり話題になった。
中には当然、
「無茶過ぎる」
「横暴だ」
という声も上がっているだろう。
しかし我が家にとって、横暴なのは王家の方だ。
王家の無茶ぶりを通すため、こちらが無理やり作った必要最低限の条件が、フィルの爵位と学園編入の許しだったわけだ。
爵位を与えられたと言っても、我が家では使用人のままでいる。
彼は未成年だから、一応公爵家の保護下にいるという立ち位置だ。
フィルは私の両親から与えられた新品の制服に身を包み、居心地悪そうな顔をしてメインストリートを歩いている。
当然私とその異質の少年は目立ち、チラチラと不躾な視線を送る者までいた。
しかし私はそんなものに気を取られている場合ではなく――。
ただただ、フィルが学園になじめるか心配だった。
「ねえ、フィル。もうちょっとネクタイをちゃんと締めた方が良いんじゃないかしら?」
「ねえ、フィル。少し制服が大きかったわね。お父様に頼んで、もう少し小さいサイズを特注してもらう?」
「ねえ、フィル。勉強はどれくらい進んでるの? きっと私のクラスに入れてもらえるんだろうけど、授業についていけるかしら」
「ねえ、フィル。私のクラスの人たちは、とても良い人たちだから心配しないで」
「フィルには爵位があるから、本来私よりもあなたの方が立場が上なのよ。だから後ろに下がっていないで、せめて私の隣を歩いてちょうだい」
「ねえ、フィ――」
「ああ、もう!」
とうとう私はフィルに怒られてしまった。
「良いか、お嬢様。そこまで心配してもらう必要なんかねぇよ」
「で、でも」
「俺は大丈夫だっつーの。あんたは俺の母親か!」
「うふふふ」
気づけば、目の前で楽しそうな笑い声が。
「ごきげんよう。スカーレット、それにフィル」
ティファニーが、私たちに挨拶をする。
「元気そうで何よりね」
「ごきげんよう、ティファニー」
「……ご、ごきげんよう」
フィルが凄く言いにくそうな顔をして一礼する。
「うふふ」
ティファニーは、凄く楽しそうだった。
「良いわね、似合ってるわ。その制服」
彼女はそう言って、フィルを上から下まで舐めるように凝視した。
「あ、ああ……」
「スカーレットの隣にいても、全く見劣りしないわ。自信を持っていれば大丈夫よ」
「自信ならあるさ。あんたが心配しなくても」
「それは良かった」
なんか私よりもティファニーの方が、フィルと波長が合っている気がする。
中には当然、
「無茶過ぎる」
「横暴だ」
という声も上がっているだろう。
しかし我が家にとって、横暴なのは王家の方だ。
王家の無茶ぶりを通すため、こちらが無理やり作った必要最低限の条件が、フィルの爵位と学園編入の許しだったわけだ。
爵位を与えられたと言っても、我が家では使用人のままでいる。
彼は未成年だから、一応公爵家の保護下にいるという立ち位置だ。
フィルは私の両親から与えられた新品の制服に身を包み、居心地悪そうな顔をしてメインストリートを歩いている。
当然私とその異質の少年は目立ち、チラチラと不躾な視線を送る者までいた。
しかし私はそんなものに気を取られている場合ではなく――。
ただただ、フィルが学園になじめるか心配だった。
「ねえ、フィル。もうちょっとネクタイをちゃんと締めた方が良いんじゃないかしら?」
「ねえ、フィル。少し制服が大きかったわね。お父様に頼んで、もう少し小さいサイズを特注してもらう?」
「ねえ、フィル。勉強はどれくらい進んでるの? きっと私のクラスに入れてもらえるんだろうけど、授業についていけるかしら」
「ねえ、フィル。私のクラスの人たちは、とても良い人たちだから心配しないで」
「フィルには爵位があるから、本来私よりもあなたの方が立場が上なのよ。だから後ろに下がっていないで、せめて私の隣を歩いてちょうだい」
「ねえ、フィ――」
「ああ、もう!」
とうとう私はフィルに怒られてしまった。
「良いか、お嬢様。そこまで心配してもらう必要なんかねぇよ」
「で、でも」
「俺は大丈夫だっつーの。あんたは俺の母親か!」
「うふふふ」
気づけば、目の前で楽しそうな笑い声が。
「ごきげんよう。スカーレット、それにフィル」
ティファニーが、私たちに挨拶をする。
「元気そうで何よりね」
「ごきげんよう、ティファニー」
「……ご、ごきげんよう」
フィルが凄く言いにくそうな顔をして一礼する。
「うふふ」
ティファニーは、凄く楽しそうだった。
「良いわね、似合ってるわ。その制服」
彼女はそう言って、フィルを上から下まで舐めるように凝視した。
「あ、ああ……」
「スカーレットの隣にいても、全く見劣りしないわ。自信を持っていれば大丈夫よ」
「自信ならあるさ。あんたが心配しなくても」
「それは良かった」
なんか私よりもティファニーの方が、フィルと波長が合っている気がする。
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