そんなに別れたいとおっしゃるなら、承知いたしました

小倉みち

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話し合い

 その日はフィルの言葉に反論出来ず、すごすごと引き下がっていった男爵だったが。


 その後も何度か、学園の近くでうろつくことがあった。


 一番参ったのは、下校中に私に接触してきたことだ。


 フィルと一緒に道を歩いていると、突然知らない人に声をかけられた。


「公爵令嬢スカーレットだな」

「えっ」


 振り返った私に、男爵は掴みかかろうとする。


「ひっ」

「何してんだお前!」


 フィルが男爵の前に立ちはだかり、男爵の手を払いのけた。

 フィルの顔を見るなり、男爵は気まずそうな顔をした。


「……これはこれは、先日はどうも」

 フィルは嫌味ったらしく言った。

「それで? スカーレット嬢になんのご用です?」

「いや、あの、それは……」

「突然掴みかかるなど、失礼にもほどがありますが」

「……」


 フィルに押されている男爵を見て、私はなんとなく既視感を覚えた。


 そうだ。

 この人、殿下に似ているんだわ。


 フィルとはまた違った部分で、殿下と男爵は共通項があるような気がする。


 私には強気で来るのに、他の人には何も言えなくなるところとか。


 多分ティファニーに言わせれば、それがモラハラの一種なのだろう。


「……そうか」

 突然、男爵は言った。

「お前があの、新しく男爵になったとかいう」

「先ほどからそう申しておりますが」

「そうか、お前もそこのスカーレットとグルなのか!」


 よくわからない。

 この人が一体なんで怒っているのか。


 というかどうして私のせいになっているんだろう。


「騙しやがってこの野郎! 表出ろ!」


 こんな場所で話していてもキリがない。


 仕方がないので私は、

「そこまで我が家に何かおっしゃりたいのであれば、父にお会いになられてはいかがですか? 話し合いの機会を設けましょう」

 と、返した。

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