そんなに別れたいとおっしゃるなら、承知いたしました

小倉みち

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復帰

 話し合いが終わったあと、男爵は逃げるように帰っていった。


 あんなプライドの高そうな人が、これでもかと言うほど自尊心をズタズタにされる姿は、正直見てられなかった。


 だけどまあ、あれは完全に自業自得だ。

 特に親しくもない赤の他人、しかもなぜか一方的に罵ってきた人間に対して優しく出来るほど、私も余裕があるわけではない。

 性格が悪いと思いつつも、溜飲が下がってすっきりした。


「あれでもう、あの男は我が家に関わろうとはしないだろうな」

 と、お父様。

「ああいうタイプは責任を追及されると、とことん逃げようとする。自分のせいじゃないと事実を曲げようとしたり、自分の行いを正当化しようとしたり、物理的に逃走したり」

「ああ……」


 見覚えがある。

 もちろん、レナの父親のことではなく。


 自分の力で追い払ったわけではないのでなんとなく悔しいけれど、ひとまずは安心する結果となった。


 ――そして。

 例の暴力事件から1週間ほど経ったのち、レナは学園に復帰した。


 王家は、結局彼女に対して謝罪すら行わなかったらしい。

 噂に聞いただけだから、真偽のほどは定かじゃないけれど。


 ただあの方々のことだから、信ぴょう性はかなりあると思っている。


 しかし驚いたことには、セシル殿下とレナの関係はまだ切れていないのだという。

 2人が友人たちと一緒に行動しているのを見た者がいるそうだ。


「どうして?」

「まだ王妃になれる未来を捨てきれないんじゃないかって」

「でも、正直言って殿下が未来の国王になるかどうかは……」

「意地になってるんじゃないの?」


 生徒たちがそんな噂話をしていたのを耳にした。


 意地なのかどうかは、レナに話を聞かないとわからない。

 だけど、なんとなく彼女は、殿下と別れる以前の私と同じ状況なんじゃないのかと思った。

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