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軟禁 ~セシル視点~
要するに、頭に血が上っていた。
俺がスカーレットの家で大暴れしてしまったのは、その程度の理由だった。
あの日、怒りで目の前が真っ赤に染まり、気の済むまで何かをしていたのだけは覚えている。
あの女――ティファニーとかいう公爵令嬢がその発端であったことは言うまでもないが、その女のせいで(キレた理由はあまり覚えていない)俺は正気を失った。
気づいたときには俺は拘束され、城の地下にある牢獄に入れられていたのだ。
冷たい石で出来た分厚い壁に、目の前には錆びた鉄格子。
鉛の足枷が鳥肌を立たせている。
俺は冷静に戻った頭を押さえながら、鉄格子の向こう側にいる看守に声をかける。
「おい」
「……はい」
渋々と言ったふうな表情を浮かべる看守。
「なんだその顔は?」
その顔を見て、俺は気分を害した。
「何か俺に言いたいことでも?」
「とんでもございません」
男は無表情を崩すことはない。
「私はただ職務を全うするだけですから」
「で」
俺は看守の言葉を無視した。
「これは一体どういうことだ? なぜ俺は牢屋に入れられている?」
「殿下が元婚約者であるスカーレット嬢の客室で横暴を働き、近衛兵団に通報なされました。そこで、近衛兵団が駆けつけ、あなたを拘束し――」
「そんな状況説明をしろと俺は言ったんじゃない。説明が下手くそか」
俺はため息をついた。
「俺が聞きたいのは、なぜこの俺が牢屋に入れられているんだ? 俺は第一王子だぞ」
「存じております」
「近衛兵団と貴族に、俺をここまで侮辱する権利はない」
「権利という話ではありません。あなたは罪を犯したから、ここにいるのです。すべてはあなたの問題ですよ」
「はぁ?」
「あなたは公爵の屋敷で大暴れし、物を壊した。器物損壊罪です。さらに言えば、あなたはティファニー嬢に乱暴を働こうとした。強制わいせつ罪に当たります」
「だとしても、俺をここに入れる必要はないだろ!」
俺は怒鳴った。
「一体どこのどいつだ! 見つけ出して絶対に殺してやる」
「あなたをここに入れるとすれば、唯一可能な人がいるでしょう」
看守はあくまでも涼やかだった。
「俺に指図出来るやつなんてこの世に――」
「怒りで我を忘れたとお聞きしましたが、そのせいで記憶喪失でもなさったのですか?」
看守は小馬鹿にしたように言った。
「あなたのご両親――両殿下がいらっしゃるでしょう。この国は現在、あなたのご両親が統治しておられます」
俺がスカーレットの家で大暴れしてしまったのは、その程度の理由だった。
あの日、怒りで目の前が真っ赤に染まり、気の済むまで何かをしていたのだけは覚えている。
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俺はため息をついた。
「俺が聞きたいのは、なぜこの俺が牢屋に入れられているんだ? 俺は第一王子だぞ」
「存じております」
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「はぁ?」
「あなたは公爵の屋敷で大暴れし、物を壊した。器物損壊罪です。さらに言えば、あなたはティファニー嬢に乱暴を働こうとした。強制わいせつ罪に当たります」
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