87 / 135
両親 ~セシル視点~
「は? 父上と母上が?」
俺は鼻で笑った。
「そんな馬鹿なこと、あるわけ――」
「では、聞いてみてはいかがですか?」
と、看守。
「ちょうど、ここにいらっしゃっているようですし」
看守にかまけていて気づかなかった。
彼の後ろの方で、こわばった表情をしている両親が立っている。
「ち、父上。母上」
俺は両親にすがる。
「これは一体」
「父と母なんて名称で我らを呼ぶんじゃない!」
父は怒鳴った。
「お前はもう息子でもなんでもないわ!」
「ちょ、ちょっと待ってください」
俺は慌てる。
「それは、勘当ということで」
「黙れ!」
国王陛下は、俺に掴みかからん限りの勢いで突進してきた。
しかし幸か不幸か鉄格子に阻まれ、あえなく失敗する。
俺はと言えば、父の勢いに気圧されて後ろに引き下がっていた。
「なんて情けないんでしょう」
と、母。
「今までなら、
『次期国王として――』
なんて説教しておりましたが。安心してちょうだいね。もう何も言うことはないわ」
母の信じられないくらい冷たい声に、俺は一気に不安になる。
「ど、どういうことですか? 俺は次期国王のはずじゃ」
「この状況で、まだそんな減らず口が聞けるんだな」
父は言った。
「お前のせいで国が滅ぶかもしれないというのに」
「は? いや、どういう意味で――」
「お前がしでかした一連の事件で、公爵家の援助が完全に切れた」
「は?」
「王家はもともと、多額の金銭を貴族たちから徴収している。それがなくなってしまえば、我が家はもうおしまいだ」
「この城の運営費も、食費も。遊興費だってなくなってしまいますわ。もう二度と、オペラにだっていけませんのよ」
両親は頭を抱えている。
その言葉に、俺は少し引っかかった。
「いやあの、遊ぶお金を貴族たちから集めていたんですか……? 今の今まで」
自分たちが遊ぶために、その金を他所から引っ張って来ていたのか?
それだけのために?
「当たり前だろう。我が家は王家だぞ!」
「王族に付き従う貴族たちが、王族の費用を出すのは当たり前のことでしょうに」
両親はこそこそと話をし出す。
「こうするのはどうでしょう? セシルを公爵家に突き出して、肉なり焼くなり好きにすれば良いと言ってしまうのは」
「それは良い案だな。向こうも機嫌を直してくれれば、またいつものように金が入ってくるだろう」
俺は絶句した。
この人たちは、自分たちの贅沢のために、この息子である俺を捨てようとしているらしい。
俺は鼻で笑った。
「そんな馬鹿なこと、あるわけ――」
「では、聞いてみてはいかがですか?」
と、看守。
「ちょうど、ここにいらっしゃっているようですし」
看守にかまけていて気づかなかった。
彼の後ろの方で、こわばった表情をしている両親が立っている。
「ち、父上。母上」
俺は両親にすがる。
「これは一体」
「父と母なんて名称で我らを呼ぶんじゃない!」
父は怒鳴った。
「お前はもう息子でもなんでもないわ!」
「ちょ、ちょっと待ってください」
俺は慌てる。
「それは、勘当ということで」
「黙れ!」
国王陛下は、俺に掴みかからん限りの勢いで突進してきた。
しかし幸か不幸か鉄格子に阻まれ、あえなく失敗する。
俺はと言えば、父の勢いに気圧されて後ろに引き下がっていた。
「なんて情けないんでしょう」
と、母。
「今までなら、
『次期国王として――』
なんて説教しておりましたが。安心してちょうだいね。もう何も言うことはないわ」
母の信じられないくらい冷たい声に、俺は一気に不安になる。
「ど、どういうことですか? 俺は次期国王のはずじゃ」
「この状況で、まだそんな減らず口が聞けるんだな」
父は言った。
「お前のせいで国が滅ぶかもしれないというのに」
「は? いや、どういう意味で――」
「お前がしでかした一連の事件で、公爵家の援助が完全に切れた」
「は?」
「王家はもともと、多額の金銭を貴族たちから徴収している。それがなくなってしまえば、我が家はもうおしまいだ」
「この城の運営費も、食費も。遊興費だってなくなってしまいますわ。もう二度と、オペラにだっていけませんのよ」
両親は頭を抱えている。
その言葉に、俺は少し引っかかった。
「いやあの、遊ぶお金を貴族たちから集めていたんですか……? 今の今まで」
自分たちが遊ぶために、その金を他所から引っ張って来ていたのか?
それだけのために?
「当たり前だろう。我が家は王家だぞ!」
「王族に付き従う貴族たちが、王族の費用を出すのは当たり前のことでしょうに」
両親はこそこそと話をし出す。
「こうするのはどうでしょう? セシルを公爵家に突き出して、肉なり焼くなり好きにすれば良いと言ってしまうのは」
「それは良い案だな。向こうも機嫌を直してくれれば、またいつものように金が入ってくるだろう」
俺は絶句した。
この人たちは、自分たちの贅沢のために、この息子である俺を捨てようとしているらしい。
あなたにおすすめの小説
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
彼女の離縁とその波紋
豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
[完結]貴方なんか、要りません
シマ
恋愛
私、ロゼッタ・チャールストン15歳には婚約者がいる。
バカで女にだらしなくて、ギャンブル好きのクズだ。公爵家当主に土下座する勢いで頼まれた婚約だったから断われなかった。
だから、条件を付けて学園を卒業するまでに、全てクリアする事を約束した筈なのに……
一つもクリア出来ない貴方なんか要りません。絶対に婚約破棄します。
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました
よどら文鳥
恋愛
ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。
ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。
ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。
更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。
再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。
ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。
後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。
ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。
いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた
奏千歌
恋愛
[ディエム家の双子姉妹]
どうして、こんな事になってしまったのか。
妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。
【完結】薔薇の花をあなたに贈ります
彩華(あやはな)
恋愛
レティシアは階段から落ちた。
目を覚ますと、何かがおかしかった。それは婚約者である殿下を覚えていなかったのだ。
ロベルトは、レティシアとの婚約解消になり、聖女ミランダとの婚約することになる。
たが、それに違和感を抱くようになる。
ロベルト殿下視点がおもになります。
前作を多少引きずってはいますが、今回は暗くはないです!!
11話完結です。
この度改編した(ストーリーは変わらず)をなろうさんに投稿しました。