そんなに別れたいとおっしゃるなら、承知いたしました

小倉みち

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両親 ~セシル視点~

「は? 父上と母上が?」


 俺は鼻で笑った。

「そんな馬鹿なこと、あるわけ――」

「では、聞いてみてはいかがですか?」

 と、看守。

「ちょうど、ここにいらっしゃっているようですし」


 看守にかまけていて気づかなかった。

 彼の後ろの方で、こわばった表情をしている両親が立っている。


「ち、父上。母上」


 俺は両親にすがる。

「これは一体」


「父と母なんて名称で我らを呼ぶんじゃない!」


 父は怒鳴った。

「お前はもう息子でもなんでもないわ!」


「ちょ、ちょっと待ってください」


 俺は慌てる。

「それは、勘当ということで」

「黙れ!」


 国王陛下は、俺に掴みかからん限りの勢いで突進してきた。

 しかし幸か不幸か鉄格子に阻まれ、あえなく失敗する。


 俺はと言えば、父の勢いに気圧されて後ろに引き下がっていた。


「なんて情けないんでしょう」

 と、母。

「今までなら、

『次期国王として――』

 なんて説教しておりましたが。安心してちょうだいね。もう何も言うことはないわ」


 母の信じられないくらい冷たい声に、俺は一気に不安になる。


「ど、どういうことですか? 俺は次期国王のはずじゃ」


「この状況で、まだそんな減らず口が聞けるんだな」

 父は言った。

「お前のせいで国が滅ぶかもしれないというのに」

「は? いや、どういう意味で――」

「お前がしでかした一連の事件で、公爵家の援助が完全に切れた」

「は?」

「王家はもともと、多額の金銭を貴族たちから徴収している。それがなくなってしまえば、我が家はもうおしまいだ」

「この城の運営費も、食費も。遊興費だってなくなってしまいますわ。もう二度と、オペラにだっていけませんのよ」


 両親は頭を抱えている。


 その言葉に、俺は少し引っかかった。

「いやあの、遊ぶお金を貴族たちから集めていたんですか……? 今の今まで」


 自分たちが遊ぶために、その金を他所から引っ張って来ていたのか?

 それだけのために?


「当たり前だろう。我が家は王家だぞ!」

「王族に付き従う貴族たちが、王族の費用を出すのは当たり前のことでしょうに」


 両親はこそこそと話をし出す。


「こうするのはどうでしょう? セシルを公爵家に突き出して、肉なり焼くなり好きにすれば良いと言ってしまうのは」

「それは良い案だな。向こうも機嫌を直してくれれば、またいつものように金が入ってくるだろう」


 俺は絶句した。

 この人たちは、自分たちの贅沢のために、この息子である俺を捨てようとしているらしい。

 

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