どう頑張っても死亡ルートしかない悪役令嬢に転生したので、一切頑張らないことにしました

小倉みち

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プロローグ

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 私――公爵令嬢レティシアは、とんでもなくイライラしていた。


 7歳の誕生日、私は自分の屋敷で誕生会を開いてもらう手はずだった。


 色とりどりの大きなケーキに、美味しそうなローストビーフやシーザーサラダ、ビーフシチューなどの豪勢な料理。

 部屋には色んな人たちから贈られた、たくさんの誕生日プレゼント。


 ――それなのに。

 私を祝ってくれる人は、誰もいない。


 ダイニングには、私1人だけ。

 誰も。


 お父様もお母様も、お兄様もいない。


 みんな私を置いて、どこかへ行ってしまっている。


「どうしてよ!」


 私は怒りのあまり、メイドたちに八つ当たりする。

「なんでみんないないのよ!」

「申し訳ございません!」


 メイドたちは、1列になって私に謝罪する。

「みなさま、本日はそれぞれご予定がおありのようで……」

「だからって、どうして自分の娘の誕生日すら祝わないのよ!」


 私は叫び、手当り次第物を投げつける。

「クビよ! あんたたち、全員クビ!」

「も、申し訳ございませんでした! ご慈悲を、どうかご慈悲を!」

「私には今1歳の息子が」

「老いた母がいるのです。仕事をクビになれば、私たち家族は路頭に迷いますわ!」


 その怯えた、媚びを売るような顔を見て、さらに苛立ちを募らせる。


 なんで私が悪いみたいに。

 私は悪くないのに。


 この日のために、ずっと頑張って来たのに。


 なのになんで……っ。


 我慢ならず、私は雨降る外に飛び出す。

「レティシア様! お待ちくださいませ!」


 止める執事たちの声も聞かず、私は全身ずぶ濡れになりながら走る。


 7歳の身体の割に、重たいドレス。

 雨に濡れて、さらに重量が増す。


 でも、私は気にせずに駆けた。


 このまま、どこかへ行きたい。

 このまま死んでしまって、別の誰かに生まれ変わるんだ。


 そうすれば、いくらあの冷たいお父様もお母様もお兄様も、多少は泣いてくれるかもしれない。


「あっ」


 私はドレスの裾に足を取られ、転倒する。

「お嬢様!」


 遠くの方から、私を呼ぶ声が聞こえるが。


 激しい雨のせいで、誰なのかわからない。


 私は座り込んだまま、情けなくて泣けてくる。


 どうしてこうなんだろう。

 どうして私は、どうして――。


「お嬢様、危ない!」


 キャーッという悲鳴が聞こえ、私は上を見上げる。


 ――すると。


 鼓膜が破れるほどの大きな轟音、それに網膜を焼き尽くすほどの酷い光が、私に襲いかかって来た。


 
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