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第2章
教室
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私は至極晴れやかな気持ちで教室の扉を開けた。
「おはよう!」
私は大声でクラスメイトたちに挨拶をする。
――が。
「……」
彼女たちは少し戸惑った顔で、私を見るだけだった。
そうだった。
殿下と別れたとはいえ、まだ私とクラスメイトたちの間には全くもって何もないんだった。
挨拶を交わせるまでには、好感度を上げる必要はある。
だがこの挨拶のせいで、先ほどの浮ついた心は大いに傷つき、私は黙って自分の席についた。
ホームルームが終わり、私が席に座ったまま1時間目の授業の準備をしていると、
「ねぇ」
と、1人の女子生徒に呼びかけられる。
私は顔を上げて、彼女の顔を見た。
その女子生徒ーー公爵令嬢アンは、私をキッと睨んで仁王立ちしていた。
「あら、おはよう」
意を決して放った私の「挨拶」を無視し、アンは尋ねてきた。
「ねぇ、殿下と別れたって本当?」
「ええ、そうよ」
私は正直に答える。
「は? 嘘でしょ?」
「嘘じゃないわよ。本当に別れたんだもの」
彼女の取り巻きのうちの1人が、
「だから言ったでしょう、アン様」
と言った。
「今朝の騒動は本当だったんですよ。私、見ましたもの」
「あんたは黙っててよ」
アンはその取り巻きを一瞥し、また私の方を向く。
「それで、なぜ婚約破棄をしたのよ?」
「それは殿下に新しい人が出来たからよ」
「新しい人?」
「私じゃなくて、他に付き合いたい人が出来たの。テレサさんという方よ」
「テレサって」
「あの頭おかしい女ですね」
と、さっきと違う令嬢が言った。
「頭おかしい?」
私は尋ね返すが、またそれをアンは無視する。
「ともかく、それ本当?」
「ええ、そうよ」
「それはないわ」
アンはばっさりと切った。
「あの女ーーテレサとかいう男爵令嬢と殿下がなんて、嘘よ」
「でも」
「あんた絶対勘違いしてる。殿下が浮気することは、一生ないわ」
なんでこの人、そんなことがわかるんだろう。
「ともかく」
と、アン。
「それはあんたの勘違いだから、今すぐ殿下に謝りに行きなさい」
「勘違い?」
「殿下があんたを離すはずない。それに、このままだと大変なことになるわ」
「大変なことって」
話が全然読めない。
というか、この子から前に果たし状もらわなかったっけ?
数年前この子たちに、体育館裏に呼び出されたことがある。
「殿下はあんたが思う以上にヤバいわ。わかったわね? 昼休み、私があんたを殿下の元へ連れていくから、そこでちゃんと謝りなさい」
アンはそう言って私の元から立ち去った。
話が読めない。
全然読めないけど。
今年に入って、初めて話しかけてくれた。
嬉しい。
「おはよう!」
私は大声でクラスメイトたちに挨拶をする。
――が。
「……」
彼女たちは少し戸惑った顔で、私を見るだけだった。
そうだった。
殿下と別れたとはいえ、まだ私とクラスメイトたちの間には全くもって何もないんだった。
挨拶を交わせるまでには、好感度を上げる必要はある。
だがこの挨拶のせいで、先ほどの浮ついた心は大いに傷つき、私は黙って自分の席についた。
ホームルームが終わり、私が席に座ったまま1時間目の授業の準備をしていると、
「ねぇ」
と、1人の女子生徒に呼びかけられる。
私は顔を上げて、彼女の顔を見た。
その女子生徒ーー公爵令嬢アンは、私をキッと睨んで仁王立ちしていた。
「あら、おはよう」
意を決して放った私の「挨拶」を無視し、アンは尋ねてきた。
「ねぇ、殿下と別れたって本当?」
「ええ、そうよ」
私は正直に答える。
「は? 嘘でしょ?」
「嘘じゃないわよ。本当に別れたんだもの」
彼女の取り巻きのうちの1人が、
「だから言ったでしょう、アン様」
と言った。
「今朝の騒動は本当だったんですよ。私、見ましたもの」
「あんたは黙っててよ」
アンはその取り巻きを一瞥し、また私の方を向く。
「それで、なぜ婚約破棄をしたのよ?」
「それは殿下に新しい人が出来たからよ」
「新しい人?」
「私じゃなくて、他に付き合いたい人が出来たの。テレサさんという方よ」
「テレサって」
「あの頭おかしい女ですね」
と、さっきと違う令嬢が言った。
「頭おかしい?」
私は尋ね返すが、またそれをアンは無視する。
「ともかく、それ本当?」
「ええ、そうよ」
「それはないわ」
アンはばっさりと切った。
「あの女ーーテレサとかいう男爵令嬢と殿下がなんて、嘘よ」
「でも」
「あんた絶対勘違いしてる。殿下が浮気することは、一生ないわ」
なんでこの人、そんなことがわかるんだろう。
「ともかく」
と、アン。
「それはあんたの勘違いだから、今すぐ殿下に謝りに行きなさい」
「勘違い?」
「殿下があんたを離すはずない。それに、このままだと大変なことになるわ」
「大変なことって」
話が全然読めない。
というか、この子から前に果たし状もらわなかったっけ?
数年前この子たちに、体育館裏に呼び出されたことがある。
「殿下はあんたが思う以上にヤバいわ。わかったわね? 昼休み、私があんたを殿下の元へ連れていくから、そこでちゃんと謝りなさい」
アンはそう言って私の元から立ち去った。
話が読めない。
全然読めないけど。
今年に入って、初めて話しかけてくれた。
嬉しい。
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