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第2章
今朝のアレ
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「アレ、ですか?」
「そうだ。婚約破棄の件だ」
急いでいるのか、殿下はいつも以上に早口だ。
「なんだって聞かれても」
私はなんと答えれば良いのかわからず、困惑する。
「婚約破棄ですけど」
「なぜそんなことをしたんだ?」
コーネリアス殿下の言葉に、ますます私は首を傾げる。
「なぜって」
それは、殿下とテレサが好き同士だからでしょう。
殿下も私と別れ、テレサと付き合いたいと思っている。
だから私は殿下に婚約破棄を申し出たのだ。
殿下の言う意図がわからず、しばし悩んで私は、あっと気づいた。
なるほど。
殿下は、恐らく自分に責任が行くかどうか心配しているのだ。
コーネリアス殿下の不貞について、私の側からは特になんとも思っていないが、世間からはそう見られない。
王子が女に惑わされ、自分の婚約者を捨てたとあれば、王子という特権階級の殿下であろうとも非難されることは確実だ。
将来彼が王位を継ぐ際に、それが足枷になるかもしれない。
それを殿下は嫌がっているのだろう。
しかし、杞憂だ。
心配しなくても、私が殿下に責任を押し付けるわけがない。
殿下がテレサを選んでくれたおかげで、私は変に周囲の令嬢から敵視される目に遭わなくなるというのに。
「ご心配なさらないでください」
私は穏やかに微笑みながら答える。
「心配?」
「殿下とテレサ嬢が愛し合っているのはわかっています。私はその愛にとても感動し、心を動かされました。ご心配なさらずとも、私は殿下の味方ですよ。殿下の不都合がないように、きちんと殿下とお別れした所存です」
「待ってくれ、セレーナ。それの意味がわからないんだ。僕がまるで浮気をしたみたいに」
「とんでもないです。私、そんなことはおっしゃっていません。殿下は真実の愛を見つけられたのですよ」
「真実の愛……?」
殿下は頭を抱え、ふらふらとよろめいた。
「何を言う。真実の愛など、僕は君を――」
「コーネリアス殿下」
横から、震える女の声が聞こえる。
そちらに顔を向けると、何かに怯えている様子のアンが声を発したようだ。
「……君か」
コーネリアス殿下は、アンの顔を見て少し目を細めた。
「何か用か?」
「で、殿下」
アンは少し身震いし、また口を開く。
「セレーナ嬢は先日から少し体調がお悪いようですわ。だからちょっと正常な判断が」
「正常な判断? ――まるで僕の婚約者が馬鹿だと言いたげだな」
「そ、そんなことはございません! そういうわけではなく、ただ彼女は少し熱っぽくて、そのせいであのテレサとかいう男爵令嬢の話をうのみにしてしまったのかと。この件に関しては私から彼女にお話ししますので、殿下はどうか次の授業のご準備を」
殿下はそこで初めて、教室に備えつけられた掛け時計を確認した。
あと数分で次の授業が始まるみたいだ。
「……わかった。では、君に任せよう。その代わり、セレーナに何かしたらどうなるか、わかっているね」
「は、はい。もちろんでございます……」
殿下は何か不穏なことを言い、にっこりと笑って教室を出て行った。
「そうだ。婚約破棄の件だ」
急いでいるのか、殿下はいつも以上に早口だ。
「なんだって聞かれても」
私はなんと答えれば良いのかわからず、困惑する。
「婚約破棄ですけど」
「なぜそんなことをしたんだ?」
コーネリアス殿下の言葉に、ますます私は首を傾げる。
「なぜって」
それは、殿下とテレサが好き同士だからでしょう。
殿下も私と別れ、テレサと付き合いたいと思っている。
だから私は殿下に婚約破棄を申し出たのだ。
殿下の言う意図がわからず、しばし悩んで私は、あっと気づいた。
なるほど。
殿下は、恐らく自分に責任が行くかどうか心配しているのだ。
コーネリアス殿下の不貞について、私の側からは特になんとも思っていないが、世間からはそう見られない。
王子が女に惑わされ、自分の婚約者を捨てたとあれば、王子という特権階級の殿下であろうとも非難されることは確実だ。
将来彼が王位を継ぐ際に、それが足枷になるかもしれない。
それを殿下は嫌がっているのだろう。
しかし、杞憂だ。
心配しなくても、私が殿下に責任を押し付けるわけがない。
殿下がテレサを選んでくれたおかげで、私は変に周囲の令嬢から敵視される目に遭わなくなるというのに。
「ご心配なさらないでください」
私は穏やかに微笑みながら答える。
「心配?」
「殿下とテレサ嬢が愛し合っているのはわかっています。私はその愛にとても感動し、心を動かされました。ご心配なさらずとも、私は殿下の味方ですよ。殿下の不都合がないように、きちんと殿下とお別れした所存です」
「待ってくれ、セレーナ。それの意味がわからないんだ。僕がまるで浮気をしたみたいに」
「とんでもないです。私、そんなことはおっしゃっていません。殿下は真実の愛を見つけられたのですよ」
「真実の愛……?」
殿下は頭を抱え、ふらふらとよろめいた。
「何を言う。真実の愛など、僕は君を――」
「コーネリアス殿下」
横から、震える女の声が聞こえる。
そちらに顔を向けると、何かに怯えている様子のアンが声を発したようだ。
「……君か」
コーネリアス殿下は、アンの顔を見て少し目を細めた。
「何か用か?」
「で、殿下」
アンは少し身震いし、また口を開く。
「セレーナ嬢は先日から少し体調がお悪いようですわ。だからちょっと正常な判断が」
「正常な判断? ――まるで僕の婚約者が馬鹿だと言いたげだな」
「そ、そんなことはございません! そういうわけではなく、ただ彼女は少し熱っぽくて、そのせいであのテレサとかいう男爵令嬢の話をうのみにしてしまったのかと。この件に関しては私から彼女にお話ししますので、殿下はどうか次の授業のご準備を」
殿下はそこで初めて、教室に備えつけられた掛け時計を確認した。
あと数分で次の授業が始まるみたいだ。
「……わかった。では、君に任せよう。その代わり、セレーナに何かしたらどうなるか、わかっているね」
「は、はい。もちろんでございます……」
殿下は何か不穏なことを言い、にっこりと笑って教室を出て行った。
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