婚約者のせいで友達が出来ないんですが

小倉みち

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第3章

求婚② ~とある令息視点~

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 俺は早速、彼女に手紙の返事を書いた。


 こういうものの返事は、早ければ早い方が良い。

 マナーだからというのもあるけど、一番は、そっちの方が熱意が伝わりやすいからだ。


 出来るだけ丁寧な言葉遣いで、彼女を労わる優しい文章。


 俺は執事に手紙を出しておくよう命令し、彼女からの返事を今か今かと待ち続けた。


 ――しかし。

 3日、1週間、2週間。

 いくら待っても、返事が来ない。


 もしや、手紙を無視されたのか?


 いや、そんなことはないはず。


 求婚は彼女の方からだったし、向こうは確実に殿下の後釜を探しているはず。


 俺の立場は、彼女よりも地位こそ低いが、伯爵家の長男。

 殿下に彼女にとっては、俺のような相手でも、喉が出るほどほしいはず。


 手紙を送っていないのかと執事を叱りつけてみたら、

「いえ。私はきちんとポストに入れました」

 そう弁明する。


 ほかの使用人に聞いてみても、確かに執事が手紙を受け取ってすぐ、ポストに入れに行ったのを目撃している者が何人もいた。


 貴族が手紙を出す際には、たいてい2パターン。


 1つ目は、速達飛脚を雇い入れて、彼らに手紙を運んでもらうというもの。

 確かに早く届きはするが、その分金がかかる。


 2つ目は、ポストに入れて、ほかの誰かの郵便物と一緒に普通郵便で送ってもらうというもの。

 
 速達よりも時間はかかるが、その分配達費用がかからない。


 今回は後者を選択したが、普通郵便と言えど、ここから城まではそこまで離れているわけではない。

 時間がかかったとしても、2、3日が限度だ。


 ポストに入れたはずなのに、届かない手紙――。


 俺の中で、1つの推論が現れる。


 誰かが、俺の手紙を盗んだ。


 だが、一体なぜ?

 なんのために?


 誰かが、俺とセレーナ嬢がくっつくのを嫌がっているのだろうか。

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